大型キスが舞う季節 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは


今年の冬は寒かったせいか水温も上がらず、例年よりもキスのシーズンが遅れている。昨日は23cmを越える良型もあがり始めいよいよ最盛期に入る。これから12月初旬までキスは釣れ続くが、旬は初夏から夏にかけてだ。キスは流線型で美しく調理もしやすい。その白身の魚はそのまま食べても甘味が強い。生態は、波打ち際から40mくらいまでの砂地を好み、ストローみたいな口で砂や泥の中のゴカイなどを好んで食べ、カレイと食生活がよく似ている。砂浜からのキスの投げ釣りはこれから夏にかけての風物詩だ。家族でのんびりと砂浜に寝転びながらキスのあたりをまっている光景をよく見かける。餌はゴカイでこれが女性にとっては難関だ。海のミミズのようなものだから触れない人が多い。カップルで釣りに行けば当然旦那さんや彼氏が餌付けの役割を担うことになる。船の場合は投げずに真下に仕掛けを落とし、少しづつ船を流しながら広範囲を釣って行く。水深5mから10mまでの間が一番釣りやすい。釣り方は簡単で5分も説明を受ければおばあちゃんでも幼児でも出来る最も初心者向きの海釣りだ。浜からの投げ釣りは投げる技術がいるから案外と難しいが、船の場合は仕掛けを落としてリールを巻くだけだから誰にでも出来る。昼食の材料調達の2時間強の釣りで、女性子供でも平均10匹くらいは釣り、慣れた人ならその倍以上は釣っている。釣りたてのキスは刺身が一番だが、天ぷらにすると大雑把にやっても材料の鮮度が良ければプロが作る天ぷらよりもはるかに美味しい。天つゆは一切使わず海水から作った塩をつけて食べるのが最高の食べ方だ。いくらでも食べられる。骨は案外柔らかくすべて「骨せんべい」にしてしまう。後で子供たちに何が旨かったか聞くと、例外なく「骨~!」と答えが返ってくるから、大人が身を食べて子供に骨せんべいを食べさせていれば丁度良い。骨も丈夫になるはずだ。頭も二つ割りにしてから揚げにする。捨てるところは内臓とウロコしかない。これから卵を持つようになると、小さいがそれも集めてホイルで蒸し焼きにすると美味しい。