カジイチゴの森 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

カジイチゴ

野生のキイチゴは種類が多い。5月からはキイチゴの季節。一般的なモミジイチゴ、西日本は葉の小さいコバノモミジイチゴ、ニガイチゴ、クマイチゴ、エビガライチゴ、ヤナギイチゴ、バライチゴ、クサイチゴ、カジイチゴ、フユイチゴ、ナワシロイチゴ、他にもまだある。5月から出始め、初夏のナワシロイチゴ、秋冬のフユイチゴまで楽しめる。皆バラ科の樹木に属する。一般的なイチゴは昔「オランダイチゴ」と呼んでいたが草に属する。バラ科には皆トゲがあり、採取時には必ずチクチクとやられてしまうが、唯一トゲのないキイチゴが海岸性の「カジイチゴ」だ。果実は大粒な黄色でモミジイチゴに味が近い。繁殖力が非常に強く、地下根を広げ、あっと言う間に広がって行くから畑に植えたら大変だ。このカジイチゴでクズと並ぶやっかいな雑草の王者「セイタカアワダチソウ」を抑える実験をした。海岸線の埋立地5m×40m、約60坪にカジイチゴの苗木10本を植えたら3年でアワダチソウを駆逐、5年で人も入れないような森が出来た。大きいもので背丈3mを越える。葉は大きく、太陽を遮るので下には何も生えてこない。鈴なりだった実も効率が悪くなった。密生しすぎたのだ。適当に通路を作って管理すれば毎年実りをもたらしてくれる。多いときの収穫量は100キロを超える。シャーベットに加工してレストランで出した。5月の連休明けから5月後半まで収穫出来る。今は白い花が満開だ。今年は放置をやめて来年の為に思い切り「散髪」してやった。キイチゴ類は、古い枝は枯れ、今年伸びた枝に来年は実がつく。収穫期は鳥との競争だ。ほんのりとした自然な甘さがあり美味しいキイチゴだ。カジイチゴの森は子供でも安心して夢中になれる森だ。