冷蔵庫で4ヶ月生き延びたキャベツ | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

キャベツ

昨年の夏、冷蔵庫の野菜室からキャベツが見つかった。一人暮らしで不精者、さらに夏は海の繁忙期で冷蔵庫の整理もしていなかった。白いビニル袋に包まれたままの妙なものがあり開けてみてビックリ! 見たこともない得体の知れないモノがニョキニョキ繁っていた。逆さまにしてわかった 「キャベツだ!」・・・春に庭で収穫、そのまま冷蔵庫の底で忘れ去られていたキャベツだった。4ヶ月間よく頑張ったものだ。キャベツの生命力に脱帽~!

それまでは冷蔵庫でよく野菜を腐らせていた。買ってきたキャベツは時間が経つと芯から腐り溶けていたはず。このキャベツは庭で無肥料で育てた・・と言うより勝手に出来たシロモノで、青虫もいたが放っておいた。ヒヨドリやキジバトが来て青虫を食べて糞の置き土産をしていったせいか、小さくてもちゃんと収穫が出来た。確か以前に何枚かはいで食べた記憶がある。しかし・・4ヶ月は半端じゃない。1年の3分の一だ。水もやってないのに何でこんな王冠みたいな芽が勢いよく立ち上がるのか まさに「クラウン」だ。しかも方向が違うではないか。根っこのほうに向かって逆さまに伸びている。しばらく置物のようにテーブルに飾っておいた。来訪者もその異様な勇姿を見て「ギャ~!何これ?」と面食らう そしてやがて笑いに変わってしまう。生まれて初めて見た異様な姿だったろう。つくづく・・野菜とはいえ命あるものを食べているのだと実感した。色艶も良く新鮮で美味しそうだ。葉を一枚と立派なクラウン一つを生で食べてみたが旨い! 未練はあったが、そのたくましいキャベツに敬意を払いながら土にもどしてあげた。近くにあるピラミッド農園のキャベツは、根を残しておいたら全て再生して3つくらいに枝分かれして成長している。このまま一株から3個出来そうな勢いだ。斜めで窮屈そうだが放ってある。