医療経営コンサルタントをしていると、医療業界に進出したい企業の方から「今の病院経営の最大の課題はなんですか?」とよく尋ねられます。そのたびに、私は「人材確保」と答えています。たぶん、多くの病院経営者もそう答えるのではないでしょうか。経営改善のコンサルティングをしていても、毎回のように人材確保は議題にあげられます。
周知のとおり病院は労働集約型産業です。人がいなければ収入に結びつきません。特に、医師と看護師に関しては診療報酬上、収入に直接結び付くため、医師・看護師が不足すれば大幅に収入が減少してしまいます。最近、病棟閉鎖という言葉を耳にするようになりましたが、患者の減少というよりは医師と看護師の不足により病院側が対応できなくなったという理由のほうが圧倒的に多い状況です。
そのような中、人材を確保するために、医療系の人材紹介会社に登録する病院も増えてきています。病院としては、人材紹介会社に登録している医療従事者と条件に合えば、人材を紹介してもらえるため、人材の確保の労力と手間を省けるメリットがあります。
ただ、私が担当している病院も人材紹介会社に登録しているのですが、紹介されて入職しても、1年未満でやめてしまう人も多くいるそうです。また、地方の病院によくあることですが、主要都市での勤務を希望する人材が多いため紹介会社に登録しても、まったく紹介されない(できない)病院もあります。(特に医師の紹介は難しいようです)
このように、人材紹介会社を活用しても、人材確保の課題の解決は難しいようです。ただ、人材の確保ができない病院側にも問題はあります。やはり人材確保のための広報活動の充実と定着化を図るための労働環境の充実が必要です。
広報活動の事例として、瀬戸内海にある島の病院がアトピーの子供を抱える医師に対して、勤務医の募集をかけたところ、定員1名のところに5人の応募があったそうです。環境のいいところで子供を育てたいという医師のニーズを捉えた広報戦略です。やはり、広報戦略のポイントとしては、自院にしかない「病院の売り」を如何に明確にして、的確に伝えられるかにかかっていると思います。
労働環境の充実では、女性医師や看護師のために院内保育所を開設したり、ワークシェアリングを導入したりする病院が増えてきています。こういった施策も、「病院の売り」になります。
私も人材確保をコンサルティングメニューに加えるときは、こういった院内の改善から始めるようにしています。人材確保対策を通して、魅力的な病院が増えていけばいいですね