安倍総理の記者会見を受けて、解散総選挙の「大義」について考える | 武藤貴也オフィシャルブログ「私には、守りたい日本がある。」Powered by Ameba

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国家主権、国家の尊厳と誇りを取り戻す挑戦!品格と優しさ、初志貫徹の気概を持って(滋賀四区衆議院議員武藤貴也のブログ)

 昨日夜19時、安倍総理が記者会見を行った。増税を延期する理由と解散総選挙に打って出る理由について、自分の言葉で語り、国民に対しわかり易く説明できたと思う。

 内容を簡単に言えば、増税による景気悪化が予想以上で、アベノミクスを成功させてデフレから脱却するためには現段階で消費税を再度引き上げるべきではないという結論に至ったという事である。そしてそのためには再度国民の信任を得たいということだ。それは前の民主党政権が、選挙で掲げたマニフェストを反故にして国民の支持を大きく失ったことに由来する。自民党は前回の2012年総選挙で「三党合意」に基づき、消費税の増税を掲げた。その公約を変えるわけだから、再度選挙が必要だという理屈だ。消費税は他のテーマと異なり、大変重要なテーマなので、国民に再度信任を仰ぐことは理にかなっていると私は思う。

 民主党政権時代、いやそれ以前から財務省は消費税の引き上げを目指してきた。そして今回3%増税の時もありとあらゆる理屈で根回しを行い、消費税の増税に至った。彼らが、消費税を3%上げるとき「ショックを和らげる対策を十分に行うので景気は悪化しない」と言い張ったことを、当時説明を受けた私も鮮明に記憶している。もちろん現実に、彼らが分析した通りにならなかったことは、今回の結果を見れば明らかである。

 正直に言えば、彼らの「財政再建」という目的自体は理解できなくはない。誰だって歳入と歳出のバランスを取ることは当然だという事は理解できる。しかし今回の数字で示されているように、増税した結果GDPがマイナスになり、景気が悪化して税収が減ってしまえば「財政再建」は成功しない。そもそも「デフレ下で増税をすれば必ず景気悪化を招く」という事はかなり前から多くの経済学者が主張していた意見である。私もその説を支持し、最初から増税には反対の立場を取ってきた。従って、今回のGDPマイナスは多くの経済学者が主張していた通りだと言わざるを得ない。つまり財務省の読みは甘かったということだ。

 しかしそれでも財務省は未だに増税を法律通り断行しよう根回しを繰り返している。安倍総理としては「国民の力」を借りなければ、再増税を延期できないと感じただろうと予想がつく。つまり今回の選挙は「財務省対国民」というとらえ方も出来るかも知れない。昨日の記者会見で総理が再増税を1年半後とする期限を設け、更に「景気弾力条項の削除」と「財政再建の旗を降ろさない」ということを明言したのは、そうした財務省、与党の増税派、野党やマスコミなどが「安倍総理は財政再建の旗を降ろした」と批判キャンペーンをやることを封じる意図があると思う。加えて言えば、アベノミクスを1年半後までに成功させデフレから確実に脱却させるという強い決意の表れかも知れない。

 話は変わるが今回総理が総選挙に打って出た大きな理由はもう一つある。来年になれば支持率を下げかねない二つのテーマがあるということだ。それは原発再稼働と集団的自衛権にかかる法改正だ。

 我々は代替エネルギーが無いのにもかかわらず、無責任に原発を止め続けることは出来ない。化石燃料購入に消える毎年5兆円という予算は無駄の極みであり、他国依存のエネルギー・資源政策をとり続けることは日本の安全保障上も良くない。経済成長を支えるために安定して安価なエネルギーを供給する体制を整えることは、今の政府・与党にとって喫緊かつ重要な責務である。従って来年は、世界で最も厳しい安全基準を満たした、つまり「3・11」が再び起こったとしてもびくともしない原発のみに限って稼働させる必要があるだろう。

 また集団的自衛権にかかる法改正に関しても同様の事が言える。我が国の尖閣諸島周辺、フィリピン近海、ヴェトナム近海における中国の領海侵犯、資源強奪などを見ると、協力して中国を抑止するための集団的自衛権を含めた法整備が必要不可欠である。中国を抑止し、東アジアの安全、安定を確保することも、年明けの日本政府・与党に課せられた喫緊の課題である。

 しかし、多くのマスコミは原発再稼働にしても集団的自衛権にかかる法改正にしても、こうした政府の立場に立たず、反対意見ばかりを報道し続けるだろう。そして国民はそうした繰り返される反安倍政権の報道を見て、少なくない影響を受ける可能性が高い。そうなれば内閣支持率、政党支持率は低下し、安倍政権もどんどん追い込まれていく可能性がある。

 それならば、支持率がまだ高い現段階で衆議院を解散し総選挙に打って出た方が良いと考えるのは当然なことだ。議員は議員であり続けることが目的ではない。議員になって自分の目的を達成することが最も大切なことだ。目的とは、一言で言えば「日本国民の安全と繁栄」である。私もそのことを肝に銘じて、今度の総選挙へ臨もうと思う。