中国船によるサンゴ密漁問題 言葉だけではない毅然とした対応が必要 | 武藤貴也オフィシャルブログ「私には、守りたい日本がある。」Powered by Ameba

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国家主権、国家の尊厳と誇りを取り戻す挑戦!品格と優しさ、初志貫徹の気概を持って(滋賀四区衆議院議員武藤貴也のブログ)

 10月5日、自民党の部会で「中国船のサンゴ密漁」に関する対応について協議を行った。この問題は、今年9月の中旬以降、小笠原諸島周辺海域で多数の中国船が高値で取引される赤サンゴの密漁を行っている問題である。日本政府はこれまで中国政府に対して強く抗議を行ってきたが、収束するどころか拡大しており、10日3日の時点で中国船の数は200隻を超え、日本の海上保安庁の船数隻ではもはや対応しきれず、次々と逃げられてしまっているという現状がある。

 中国政府は日本政府の抗議に対し今後も取締りを強化していくとしているが、全く信頼は出来ない。更には日本に対して「日本側が法執行過程において、必ず文明的かつ理性的に、自制を持って法に則った対処をし、関係する事態に適切に対処することを希望する」と日本側に注文を付けている始末である。尖閣諸島などにおいて法を遵守しない中国が、逆に日本に法を守るように注文を付けるとはもはや馬鹿にされているとしか言いようがない。

 密漁の被害にあっている赤サンゴは現在中国において非常に高値で取引されており、その価格は5年前の5倍、平成24年の平均取引額は1キロ約150万円に上るという。一度密漁して採取したサンゴは中国において総額億単位で取引されるのに対し、日本での密漁の罰金は最大でも1000万円程度。更に排他的経済水域(EEZ)での違法操業容疑などで船長を逮捕しても、保釈金にあたる「担保金」を支払えば釈放され、押収された漁獲物も返還される。裁判に出廷すれば担保金が戻され、改めて罰金など刑事罰が科されるが、担保金を積んだまま出廷しないケースもあるという。従ってこれまで一度逮捕された船長も、罰金を払いながらも密漁を繰り返して来た。日本の罰金は全く抑止効果が無いという訳である。

 自民党の部会ではこれに対応するため、罰則強化のための法改正(罰金の引き上げや担保金の引き上げなど)と、海上保安庁の体制強化のための予算措置を検討するよう議論が進められたが、目の前のサンゴを緊急に守り、密漁を繰り返させないためには、もはや海上保安庁ではなく海上自衛隊による海上警備行動しかないと私は考える。ここまで大規模、かつ悪質な場合は普通他国であれば銃撃し拿捕するのが常識だ。法的にも可能であるにも関わらず、日本政府が海上自衛隊の派遣に非常に慎重なのは中国への配慮だというが、正直私には合点がいかない。中国に配慮したところで、中国側はそれを配慮と受け取らないばかりか、軽く見て自国の取締りを緩める可能性すらあるからだ。

 更に言えば、今回の密漁事件について、200隻を超える大規模な船舶の数や、捕まった船の中に密漁目的でないものもあったということから、専門家の中では「単なる密漁ではなく、日本の海上警備体制がどのように取られるかを確認するという軍事目的もあるのではないか」という指摘がある。つまり政府も関係しているという指摘だ。また、実際態勢強化を打ち出した海上保安庁は、沖縄県尖閣諸島との「二正面作戦」になり、難しい対応を迫られていることから、尖閣諸島の警備に隙をつくろうとしているのではないという指摘もある。評論家の宮崎正弘氏は今回の漁船の乗組員たちについて「彼らは海上民兵と見るべきだ。中国漁船は遠洋航海用のレーダーを装備している。中国ではレーダーを装備した船はすべて海軍の管理下にある」と主張している。

 私も自民党内部や国会で以上述べたことを含めて指摘しようと思うが、政府はこの問題に対し、しっかりと現状を認識し、言葉だけではなく物理的に毅然とした対応をして欲しいと強く思う。政治は結果責任であり、国家の仕事は国民の生命のみならず財産をも守ることにある。小笠原諸島は世界自然遺産にも登録された美しい島々であり、その周辺の海やサンゴをはじめとした海洋資源も日本人にとって先祖から受け継いできた貴重な財産である。