しかるに早(はや)瀬(せ)管(かん)長(ちょう)はこの切迫した現実を前にしながら、先(せん)生(せい)が血を吐く思(おも)いで提出された建(けん)白(ぱく)書(しょ)を無視し続いた挙(あげ)句(く)、昨年私が重ねて要請した事(こと)にも何ら具(ぐ)体(たい)的(てき)な対応を講じようとしなかった。
 新(しん)御(ご)宝(ほう)蔵(ぞう)建(けん)設(せつ)に資(し)金(しん)面(めん)での差し支えがあるというなら、顕正会が全(すべ)て御供養させて頂(いただ)く事(こと)も合わせて伝えました。
 先(せん)生(せい)は、毎朝勤行の度に「諸(しょ)天(てん)善(ぜん)神(じん)、南無本(ほん)門(もん)戒(かい)壇(だん)の大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)を守(しゅ)護(ご)し奉(たてまつ)り給え」と御祈念され、戒(かい)壇(だん)の大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)の御(ご)安(あん)危(き)を深く憂(うれ)いておられました。
 油断だらけで危(き)機(き)意識のない宗門僧侶の姿勢を嘆かれ、かといって、どうにも手を出せないやるせない思(おも)いを幾(いく)度(ど)となく口にしておられました。
 私は、胸が張り裂けるような思(おも)いでそれをうかがっておりましたが、今そのお姿が脳裏をよぎります。
 そもそも奉安堂の設計者は耐震工学や文化財保護、免(めん)震(しん)技術の専門家ではありません。
 同氏は宗門機関誌『大(だい)日(にち)蓮(れん)』で奉安堂の耐震性能について「一般の鉄骨造のビルの約2倍(ばい)の強度を確保した」と強調し「東海地(じ)震(しん)と富(ふ)士(じ)川(がわ)河(か)口(こう)断(だん)層(そう)帯(たい)地(じ)震(しん)【マグニチュード7級】を模(も)擬(ぎ)波(は)とし、その1.5倍(ばい)【700ガル】以上でも倒壊しないように設計した」と記(しる)しております。
 しかし、この想定で耐震設計された奉安堂では来るべきマグニチュード8乃(ない)至(し)マグニチュード9台の富(ふ)士(じ)川(がわ)河(か)口(こう)断(だん)層(そう)帯(たい)巨(きょ)大(だい)地(じ)震(しん)には到底耐えられない。
 繰り返しますが、マグニチュード8はマグニチュード7の約32倍(ばい)、マグニチュード9は約1000倍(ばい)のエネルギーだからであります。
 また、先日の熊(くま)本(もと)地(じ)震(しん)ですら加(か)速(そく)度(ど)は2,400ガルをゆうに超しておりました。
 700ガルを前提とした耐震性能では全(まった)く不足している事(こと)は明白であります。
 たとえ倒壊を免(まぬが)れたとしても、戒(かい)壇(だん)の大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)に直接激烈な地(じ)震(しん)動(どう)が伝わる構(こう)造(ぞう)である事(こと)自体が重大な問題なのであります。
 建(たて)物(もの)を建てる時に守るべき最低限の基準を定めた法律である建築基準法は、震(しん)度(ど)7程度の大(だい)地(じ)震(しん)でも建(たて)物(もの)を倒壊させず、人命を守る事(こと)を最優先としています。
 これに則(のっと)って頑丈に作った人命優先の建(たて)物(もの)と、大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)に地(じ)震(しん)動(どう)を一切伝えぬ事(こと)を最優先とする建(たて)物(もの)とでは、設計思想が根本的に異なる事(こと)はいうまでもありません。
 大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)に加(くわ)わる激烈な地(じ)震(しん)動(どう)を遮断するには免(めん)震(しん)構(こう)造(ぞう)を採用する以外に道はない。これは、文化財防災の常識であります。
 そして、先の日曜勤行において『妙(みょう)法(ほう)比(び)丘(く)尼(に)御(ご)返(へん)事(じ)』を引かれて先(せん)生(せい)が仰(おお)せ下(くだ)さったように、大(だい)聖(しょう)人(にん)様(さま)は三度の諌暁の後に直ちに鎌倉をお去りになり、身延の山にお入(はい)りになってから一歩も山をお出にならなかった。
 これ、国主の謗法を許さぬゆえであり、また、衆生が憍(きょう)恣(し)厭(えん)怠(だい)の心を抱くゆえであります。
 その御(み)心(こころ)のままに、広宣(こうせん)流布(るふ)の暁(あかつき)まで戒(かい)壇(だん)の大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)を秘仏として御(ご)宝(ほう)蔵(ぞう)の奥深くに秘(ひ)蔵(ぞう)厳(げん)護(ご)し奉(たてまつ)ってきたのが富(ふ)士(じ)大石寺の伝統であり、厳格な掟(おきて)でありました。
 日興(にっこう)上人(しょうにん)・日目(にちもく)上人(しょうにん)の御(ご)在(ざい)世(せ)には御(ご)開(かい)扉(ひ)などは全(まった)くなかった事(こと)を思(おも)えば、正本堂に対抗して作られた5千人収容の巨(きょ)大(だい)伽(が)藍(らん)など必要ない。
広宣(こうせん)流布(るふ)の暁(あかつき)まで大(だい)御(ご)本(ほん)尊(ぞん)を秘(ひ)蔵(ぞう)厳(げん)護(ご)し奉(たてまつ)る。ただその一(いち)事(じ)に徹すればよいのであります。


令和8年 8月25日 8月度 総幹部会 浅井会長指導

令和8年 8月27日 8月度 男子部班長会 行成総男子部長指導