しかし、さらに私がこの一切いっさいにんしゅうみな善心ぜんしんく」の象徴として感ずることおや関係かんけいですね。これが崩れちゃった。これが崩壊ほうかいし始めた。
 てい崩壊ほうかいしたらやがてこっが危なくなっちゃうんですね。
 ですから、まずその前提としておや関係かんけいが崩れた。
 どうですか、おやどもころす。どもおやころす。こんなことが昔はなかったですよ。昔のにっぽんにはこんなこと件はなかった。
 それが、何というか新聞しんぶんてもあまり驚かなくなってきたんですね。
 昨年が2011年でありまするが、この一年のようぎゃくたいの統計が数日前に警察けいさつちょうはっぴょうしておりますが、全部でもって398人(約400人ですね)。それがぎゃくたいされたようの数である。
 でそのうちの39人がころされているんですね。おやころされているんですね。
 これも氷山の一角です。警察けいさつに届けたものだけ。検挙けんきょされたものだけでありますから、その陰にどれほどのぎゃくたいがあったかわかるものじゃない。
 こういうようなこと。これは特殊とくしゅ社会しゃかいげんしょう、要するに、これはくにの亡ぶぜんちょうですよ。
 そうでしょう。おやどもあいする。命にかけても育てる。この本能というのは誰にも教わるものじゃない。本来人間にんげんが持っているものでしょう。
 いや人間にんげんだけじゃない。鳥やけだものだってっている。
 だからだいしょうにんさまが『ぎょう部左衛ぶさえ門尉もんのじょうにょうへん』におおせになっておられる。
 ことに「はは恩徳おんとく」ということおおせになって、その時に、鳥やけだものおやどもに対するあいじょうをおきになっておられるんですね。
 そうですね。鳥やけだものが子を育てる。自分の身をせいにしてもどもを助けますよ。自分はべなくてもどもべさせる。
 その鳥やけだものの姿をて、だいしょうにんさまはあまりの痛々しさ、その切なさ、そのあいじょうの強さにてられず、たましいえぬべくをぼへそうろうおおせになって、そのおやどもに対するあいじょうおおせになっておられます。
 いかにいわんや、母親ははおやどもを育てる。だいしょうにんさまはこれを「はは恩徳おんとく」とおおせになっておられまするが、これは大変たいへんなものなんでしょう。
 ところが、今は母親ははおやが平気でどもころす。こんなことがあるんでしょうか。
 数日前にも大分おおいたでもって、きゃくしつじょういんを務めておった女が2歳のどもころして、さんちゅうたい遺棄いきした。それが警察けいさつに捕まって「なぜこんなことをしたんだ」と聞いたところ「自分はどもを産んでから自分のじっに戻って子育てをやっておったけれど、夫と二人で過去かこ生活せいかつに戻りたかったんだ。夫と二人で早く暮らしたい。そのためにどもころした」と答えたという。こんなことがありますか。
 あるいはおやども洗濯せんたくれて回してころしたなんてことがあった。
 こういうようなことは、これは人間にんげんのやるしょぎょうじゃないですよ。これが平然へいぜんおこなわれてくる。
 さらにもっとあるならば、自分を産み育ててくれたおやどもころす。
 こういうことが平然とおこなわれる世の中というのはやがて崩壊ほうかいするのであります。


平成24年 2月19日 浅井先生指導