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 前回、一本歯高下駄で舗装した山道を登り下りしたことについては書きました。
 
 
 本当にオフロード(舗装されていない山道)を、天狗のように一本歯高下駄で歩くことができるのだろうか?疑問に思いながら、二度ほど記事にしている国府山(甲山)に挑戦してみました。結論から言いましょう。
 
 
 
 無謀です。
 
 安全な低山の山道が、高下駄ひとつで恐怖の難関に・・・
 
 
 
 登山口から一本歯高下駄に履き換えました。初めてで完遂できるかどうかも定かでないのに、行き交うハイカー全員の視線が私の足元に注がれ、それだけでもプレッシャーでした。NHKの大河ドラマ「軍師 官兵衛」の影響大です。午前5時くらいの平日に登るべきでした。
 
 しかし、実体験をやらないとわからないこともあるので、いくつか記しておきましょう。一本歯は進行方向に対して横方向に歯が付いています。最初、捻挫に気をつけながら歩く稽古をしていた頃は、「前後にふらつくことはあっても、左右に倒れることはない。」構造と言うことになります。
 
 ところが、舗装されていない山道を登っていて危険だったのは、上から下への雨水の流れ等によって、山道がV字型に削れたところ。進行方向への傾斜は慣れてくると一本歯でかなりのバランスを取ることができるのですが、平らだと思って踏んだ地面が横方向に傾いていると、大きく左右にバランスを崩して転倒しそうになります。一本歯のうち、右端か左端の一点で、自己の全体重を持ちこたえるような感触です。そのときに、足指、足首、膝へ強烈な負荷がかかります。私はスキーをしませんが、スキーで靭帯を切る話をよく聞きます。似たような事故になりかねません。また、滑落の原因を増やします。
 
 もうひとつ危険だったのは、進行方向に対して横に走る土から露出した木の根です。通常、落ち葉がかかっているので、柔らかい土なのか、木の根なのか判別はできません。足を上げて踏み出したとき、一本歯が木の根を乗り越えずに引っかかってしまうと、バランスを崩します。また、落ち葉の下は、柔らかい腐葉土だと思い込み踏み込んだところ、ちょうど木の根の上に立ってしまうと、非常に危険です。根の上はツルツル滑る上に、平らではないのでバランスが取れません。国府山にはありませんでしたが、木の根ではなく、竹の地下茎の上に歯が乗ってしまうと、もっと滑ると思います。
 
 結局15分、1430歩で山頂に着きましたが、下山は無理であることを悟りました。おそらく一本歯高下駄でオフロード下山できる方は、竹馬でも下山できるくらいのレベルの方だと思います。例えばの話、勾配のある落ち葉の上を踏んで、実はその下が岩肌や、木の根だったら簡単に転倒・滑落してしまいます。
 
 行きは一本歯高下駄、帰りは登山靴でしたが、何とか怪我をせずに山歩きを終えました。またやってみたい、とは思いません。もっと勾配の緩い山を見つけたら、考えてみます。
 
※今回の一本歯高下駄による山歩きには、錫杖や木製杖、トレッキングポール等を使用していません。
 
※追記 一本歯高下駄は、スニーカーやトレッキングシューズのように、大股でウォーキングできません。踵から地面に着地して、つま先で蹴るような歩きができません。普段よりも目線が高くなるので、独特の高揚感はあります。本文で紹介した「落ち葉で隠れた木の根」や「落ち葉で隠れた岩肌」と同様に、「下り坂で濡れたグレーチング」、「落ち葉で隠れた下り坂のグレーチング」は、滑ってかなりの危険を伴います。