東嶋屋(入谷)のライスカレー | 夢酔亭主人のオムライス食日記

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上野、浅草など下町中心にオムライスや美味しいランチの食日記。

「昔のカレーは黄色だったよな」
 
中高年のオジサンたちによく出てくる会話だが、本当に黄色いカレーを食べた世代は昭和でもかなり古い世代のはず。
 
粉末の即席カレーが誕生したのは昭和20年。
 
その後次々に固形の即席カレールーが発売され一般家庭に普及するのは昭和40年代前後からだ。
 
よくカレールーとカレーソースを混同する人がいるが、ルーとは「・・・の素」の意味なので市販の固形物がルーで、調理してライスに掛けるのはカレーソース。
 
即席カレールーができる前というとカレー粉と小麦粉を炒めて作った。
 
わが家は今でもS&Bの赤缶と小麦粉で作るが、ほとんどの家庭では市販のカレールーを使っていると思う。
 
と言うことは、黄色いカレーは昭和40年前後で、家庭からは絶滅したといってもいいだろう。
 
しかし、一部の飲食店では昔ながらのカレーを作り続けているお店もある。
 

  お店紹介

 
明治25年創業から6代続く老舗。入谷にある蕎麦屋「東嶋屋」さん。
 
カウンター席にご案内。
 
この店の名物はライスカレー。
 
カレー評論家の間では「世界一美味しい蕎麦屋のカレー」と称えられている。
 
1人前づつ手作りだ。

 

  お品書き

 
カツカレーと味噌汁を注文。
 
お清めは欠かせません。

 

  お料理到着

 
●ライスカレー+味噌汁(710円+200円)
 
ありゃりゃ・・・
 
おじさんオーダーを間違えてカツカレーじゃなくライスカレーを持ってきちゃったよ。
 
「間違えてすいません」と頭を下げるおじさんに作り直してくれとは言えない。
 
「これでいいよ」とライスカレーでのランチになりました。
 
サジはお水の中。
 
昭和の世代に絶滅した黄色いカレーが見事に生き残っていた。
 
ある意味で感動さえ覚える。
 
それではいただきますナイフとフォーク
 
味噌汁は単品で追加注文。
 
蕎麦屋らしいダシが効いていて美味しい。
 
七色を軽くパッパッパッ・・・
 
わが家と同じS&Bの赤缶を使っているのがわかる。
 
ただ油が違う。わが家ではバターだが、おそらくラードで炒めているのだろう。
 
小麦粉でとろみをつけ、カレー粉以外では塩だけしか使っていないという。
 
様々なスパイスを駆使した現代のカレーがより本格的で美味いのは間違いなく、はっきり言うと過去の遺物。
 
だけど、オープンと同時に満席になり、蕎麦屋なのにほとんどの客がライスカレーを注文するのは決して懐かしさだけではないだろう。
 
現に若い客も半数以上だ。
 
具は豚肉と玉ねぎ。
 
後半戦はソースとか醤油とかで味変を楽しむも良し。
 
黄色い海に浮かぶ真っ赤な福神漬けも口休めにちょうどいい。
 
完食した時にはお腹もパンパン。
 
後継者はいないらしく、明治25年から続いたこの店も、そしてライスカレーを食べることができるのも長くはない。
 
このまま絶滅してしまうのはいかにももったいない。
 

美味しい食事に感謝をこめて

「ごちそうさま!」

 

本日の名曲コーナー 

 

 

長渕剛「昭和」

長渕剛が昭和から平成に代わった時に発表した曲。

 

私も昭和という時代が終わった時には少なからずショックを受け、大喪の礼の日は飲食チェーン店の店長をしていたが、全社通達により、黒の袖章を付け、正午と共に全従業真の作業を止めさせ、一列に並ばせ皇居に向かって黙祷をした。

 

正午の時間なのでお客の中にはクレームを言いだすバカもいるのは覚悟していたが、パートのおばちゃんは号泣し、食事中の客も一斉に立ち上がり黙祷してくれた時には、日本人の心の美しさに感動したものだ。

 

もうあれから34年も経つのか。

 

 お店情報

・東嶋屋
・東京都台東区竜泉1-29-3
・営業時間 11:15~115:00 17:30~20:00
・店休日 日曜日、祝日