ようやく看板に明かりが灯った。
新宿アルタ裏の「サントリーラウンジ イーグル」さん。
昭和42年創業で新宿を代表するバーだった。
近くにあった系列店の「昴」や池袋の「ヘルメス」が武漢ウィルスの影響で相次いで閉店し、「イーグル」も耐えきれなくなり会社は倒産。
30人いた従業員は全員解雇になった。
ずっと看板は消えたままになっていたが、新しいオーナーの元でついに復活。
地下への階段を降りるとそこは大人の別世界。
もう30年近く通ったいつものカウンター席の端に着席。
バーテンダーも懐かしい顔が戻ってきた。
いつのまにかみんな白髪が目立つようになってきたね。
●オールド水割り
20代の頃はいつもオールドの水割りばかり飲んでいた。
安かったからね。
ウィスキーの味もろくすっぽ分からなかったのだろうが、今飲んでみると「オールドってこんなに旨かったっけ」としみじみ懐かしい。
●霜降りビーフ
昭和49年創作の名物料理。
バーテンダーが1枚ずつ丁寧に白髪ねぎを巻いてくれる。
肉も美味いがソースが絶品。
残りのお肉も全て巻いてもらってボリューム満点。
●白州
オールドも旨いけど白州はやっぱりすごい。
最初に知った時「しらす」と呼んで大恥をかいたのも懐かしい思い出。
●爽春
私が若い頃、男たちの間ではこんな格言があった。
「イーグルで口説いて脈がなければ諦めろ」
大人のゴージャスな雰囲気の中で美味しいお酒と料理、二人の間を盛り上げてくれるバーテンダーの粋な会話。
ここで口説けなければ何回アタックしても無駄だというわけだ。
その言葉通り何度玉砕したことか・・・
●レーズンバター
この店はバーには珍しくメニューがある。
薬膳ナッツを注文しようとしたがアイテムから消えた。
再開にあたりメニューのアイテムも1/4ほどに絞り込んだらしい。
手作りのレーズンバターが残ってくれたのは嬉しい。
●レクイエム
冒頭に書いた系列店も次々に姿を消し、正月には90歳を過ぎてもホールに立っていた創業者もコロナ過の中亡くなられたそうだ。
この店はただの飲み屋じゃない。
新宿の文化と言っても過言ではない。
「イーグル」だけは何があっても潰しちゃならない。
●ビーフ・ストロガノフ
〆の蟹グラタンもメニューから消えていたので代打のビーフ・ストロガノフ。
日本が華やかだった時代に生まれた気品に満ちた料理。
私が知る限り世界一美味いビーフ・ストロガノフだ。
●ピニャカラーダ
昔、女性が何を飲もうかと迷ったらこれを勧めた。
オッサンになって飲んでも魅力的なカクテルだ。
2年ぶりの訪問につい浮かれすぎて食べすぎたようだ。
いつも美味しいお酒に感謝を込めて
「ごちそうさま!」
【本日の名曲コーナー】
モーツァルト作曲「レクイエム」より、「怒りの日」、「涙の日」。
指揮はコバケン。
【お店】 ★★★
・サントリーラウンジ イーグル
・東京都新宿区新宿3-24-11
・http://locoplace.jp/t000031743/