「カツ丼誕生物語」~早稲田・三朝庵~ | 夢酔亭主人のオムライス食日記

夢酔亭主人のオムライス食日記

上野、浅草など下町中心にオムライスや美味しいランチの食日記。

昨日の「ソロモン流」は久しぶりに見ごたえのある内容だった。


今回の賢人は浅草の老舗洋食店ヨシカミの吾妻店長だったが、これからも浅草の顔として更なる活躍を期待している。


今回の遠征は早稲田。



今年から入学された愛子内親王様が通われる学習院中等科の前を過ぎ、ゆるい坂道を下りるとこのお店が見えてくる。


蕎麦の「三朝庵」さん。


江戸時代から続く老舗だが、早稲田の学生でこの店を知らない人はいないというほど有名な店だ。


天皇陛下を守る近衛師団は全国から選抜された優秀な兵隊が集まる軍隊だが、その中でも近衛騎兵連隊と言えばエリート中のエリート。


大隈家とはもちろん早稲田大学の創設者大隈重信で、三河屋と名乗っていたこのお店を「三朝庵」と命名したのも大隈さんだそうだ。



学生食堂のように最初に食券を買うシステム。


色紙は「あ」から始まり、「や」の列のようで、山田太一さんに山田洋二さんらが並ぶ。


ここに座ってるおばあちゃんって、私が最初に訪れた十数年前からちっともトシとってないというより、むしろ若々しくなってるような気がする(笑)


ビールとカツ丼の定食を注文。


店内はまさに早稲田大学一色。


有名人の卒業生には事欠かない大学なのでお宝グッズも満載。


お運びのおばちゃんも50年前の看板娘から、今が盛りの看板娘(学生バイト?)まで元気いっぱいの笑顔で出迎えてくれる。


壁の中心に貼ってある早慶戦ももちろん一大イベント!


「あ~、そうけ~!」なんて冷めた客は一人もいません(笑)


私も六大学は早稲田贔屓。


ビールはアサヒとキリン、どちらになさいますか?


かわいいバイトチャンのこの一言が嬉しい。


もちろんキリンでございます。



酒のネタにここでクイズを一つ。


現在では誰もが知っている料理だが、このお店が発祥なのはなんでしょう?


A:カレー蕎麦(うどん)
B:カツ丼
C:冷やしたぬき


正解は、全てこのお店が元祖。


カツ丼が来るまで、アッシがカツ丼誕生の物語でもきかせやしょう。


時は大正7年。


大勢の宴会があるということで、この日のメインは洋食屋から取り寄せたとんかつ。


その宴会が直前で突然キャンセルになり、大量のとんかつが余った。


当時のとんかつは今とは比較にならないほど高価で捨てるのももったいない。


一夜明けた翌日、明治37年にはすでにカレー蕎麦を開発していたアイデアマンの店主は考えた。


冷めたとんかつを玉子と蕎麦つゆで綴じ、温かいご飯に乗せ丼として、お腹を空かせた早稲田の学生にふるまってあげた。


それを食べた学生から学生へと評判になり、正式にこの店のメニューに登場したらしい。



当時から変わらない、店主の優しさが溢れるカツ丼が出来上がったようだ。


●カツ丼定食(1,000円)


ビールにも沢庵が付いてくるので2つになっちゃった。


見た感じ普通のカツ丼でしょう?


始めてくる客の期待が大きすぎる事も多いので、入口にもこんな張り紙がある。
「当店のカツ丼は普通のカツ丼です」


蕎麦は小さめとはいいながら、老舗有名店の1人前の量はあるかも。


それではいただきます割り箸



お椀の具は提灯の吸い物?と思ったが照明が映ってるだけでわかめとネギ。


なんと言っても早稲田の学生相手の商売。


とんかつだってこれぐらいのボリュームはあたりまえだのクラッカー。


これこそ絶品のカツ丼!


そう言いたいが至って普通のカツ丼。


でも、玉子だって表面は熱で固まっていても、内側はとろ~り半熟。


これがごはんに絡まって食べてみると不味いわけがない。


太陽にほえろ!を始め刑事ドラマのカツ丼もこの店がモデルらしいが、シミジミ懐かしい味。


お蕎麦もこれといった特徴がないのが特徴かな?


普通に旨いし、風味やのど越しも満足できるレベルだ。


こんなお店だが、蕎麦湯の入ったやかんにズッコケそうになったが、カワイイかも?(笑)


ネギを浮かべてズズズ・・・


大満足のランチでございました。


元祖=美味い!・・・という訳でもないのは経験上たくさんある。


料理は70点といったところだが、雰囲気100点、おばちゃんたちの笑顔あふれるサービスも100点。


合計90点という事で、このお店の功績に敬意を払う意味でも★を差し上げましょう。

読者の方も、歴史のある早稲田をぶらり散歩しながら、お腹がすいたら三朝庵元祖のカツ丼やカレー蕎麦なんて粋な休日はいかが?


【お店】 ★ 
・三朝庵
・東京都新宿区高田下町62








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