Music Train〜汽車の巫女編 Vol.1〜
「…車掌。これ何ですか。」
「…?何って、制服だよ。」
「いや、そうではなく…。」
「何で巫女衣装なんですかーーー。」
颯爽と走る汽車の車内に雄叫びが響き渡った。
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「次の目的地は、自然が奏でる遊具が特徴のテーマパークで、その丘の上にあるカフェ&雑貨屋さんに停車予定だよ。」
「はいはい。それはよく分かりましたが、制服にするなら、もっと衣装の選択に余地はなかったのでしょうか。」
「ふふふ。よく似合っているよ。」
「変態さんですか。変態さんなんですか。わたし、次停まりますボタン押します。」
「…次停まりますボタンって何だい?」
「…え?何でしょう?」
「ふふふ。そこのカフェなんだけど、オシャレなイタソア製の最新窯で焼くピザが美味いって有名らしいんだ。それを是が非でも。」
「イタソアってどこですか?えっと、前から思っていましたが、車掌って食い意地が人並み外れていますよね。」
「何を言う。美味しいは幸せの最高峰だよ。美味しいがあるところには人が集まる。人が集まるところには情報も集まる。これは利害の一致だよ。」
「むぅ。私も美味しいものは好きですが、色々と丸め込まれている気がします。」
「ふふふ。気のせいだよ。」
頬を膨らませる汽車の巫女の背景には豊かな山々と森が青々と輝いていた。
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