Music Train〜汽車の巫女編 Vol.2〜
蒼々と色付いた樹々が巡り、幾重もの木漏れ日が入り交わしている。
汽車は森の香りの中を駆け抜けていた。
「ほら、見えてきたよ。あれが次の目的地だよ。」
様々な木工の遊具が集まる自然豊かなテーマパークの中を抜けると、丘の上に丸太作りの暖かい雰囲気の建物が見えた。建物に隣接するように駅もあるようだ。
「よし、ここで停車しよう」
プシューーーー。
汽車が停まると、一目散に駆け出す巫女の姿が見えた。
「車掌ーー。可愛い雑貨屋さんですよー。」
汽車の巫女は、大きく手を振ると颯爽と建物に入っていった。
「…やれやれ。あれ?もういない。」
雑貨屋に足を踏み入れるも、既に巫女の姿はなかった。
新しい目的地に着くと必ず逸れる。これはもはや決定事項である。
「では、私も早速、イタソア製の最新窯で焼いたピッツァを頂くとしましょう。」
ただ今、食しているのはマルゲリータ。ナポリピッツァの代表と言われる。トマトソースの上に、モッツァレラチーズやバジル葉を載せて焼いたピッツァである。
口の中で、モッツァレラの濃厚なチーズの旨味とバジルの香り、そこにフレッシュなトマトの甘みが水々しく踊っている。もっちりと焼かれた生地の上で、食材達とレッツ・イン・ダンス!!!
「んんんーーーぅまいッ!!!」
森の駅グルメを堪能した後、雑貨屋辺りに巫女がいないのを確信し、テーマパークへ足をのばした。
様々な木工の手作り遊具は、職人達の遊び心満載で、多くの子ども連れで賑わっていた。
「それにしても、こうも広いと巫女を探すのも一苦労しそうだな……。……いや、前言を撤回しよう…」
異様なほど子どもで群れている一角があるのは、誰の目にも瞭然。あそこに巫女はいると私のセンサーが激しく反応している。
少し近づくと、控えめな煙が立ち、仄かに甘い香りが漂ってくるのに気が付いた。
「おや?この香りは…?」
甘い香りに吸い寄せられた先には…
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