never young beach 『YASHINOKI HOUSE』 | MUSIC TREE

MUSIC TREE

邦ロックを中心に批評していく
音楽ブログです。更新不定期。

~夏は嫌いでもロック~

 軽やかなリズムで始まる「どうでもいいけど」ジャケットの絵からメロディーそして歌詞までが、The 夏を彷彿させ続ける。
作品名がYASHINOKI HOUSEとは…
「ちょっと待ってよ」で80年代のシュチュエーションを感じさせたあと、「あまり行かない喫茶店」でストレートなロックを提示する。

でも、やっぱり彼らを表すのに、はっぴーえんどが引き合いに出されるが、そういう日本の70S感が妙に幅を利かせている。現代風にアップデートされているとのことだが、どうだろう。
「散歩日和に布団がパタパタ」ゆったりとしたサイケ感が流れ、なんでも無いシュチュエーションが漂う。
「無線機」では、単調なビート感とトーンの低いボーカルが途切れ途切れの交信のように響く。

そして「夏がそうさせた」は正に、はっぴーえんどを生々しく感じられる曲である。
次の「どんな感じ」では、ウルフルズのトータス松本感を匂わせるブルースへの隣接から、ですますロックへの展開が特徴的な曲。
「駅で待つ」はイントロからサザエさんを頭に描いてしまうが、今作で唯一夏感がない曲へ。

全編を通してあるのは、いにしえの日本感だ。しかし元をたどれば、映画などを通して伝わってきたアメリカ的イメージが背景に混じり合っている。それがこの作品のハイカラさを際立たせているのだ。
ラストの「Chill Morning」夏!を押してきた作品が、最後は肌寒い朝。でも、このパターンでなくては!なのだ。夜と悲しみを交差させ、Fufufu~という遠吠え的な叫びに至るあたり。このブルース感と「悪気は無いけど、それしか出来ないの」ということば。この無抵抗感こそ、一番ロックである。

夏は嫌いです。でも夏は色んな意味で失う季節、だからイコール、ロックなのだ。彼らもそういうバンドな気がする。







YASHINOKI HOUSE/Roman Label / BAYON PRODUCTION

¥2,160
Amazon.co.jp