LOSTAGE『Guiter』 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
音楽ブログです。更新不定期。

”ロックは死んだ”と”美しき敗北者達よ”は、よく似ている。何故ならロックは生きているし、僕等は美しき敗北者にはなれないからだ。LOSTAGEはオルタナティブ・ロックでありながら、ロックンロールな佇まいにこだわり続けている。精神論的にはパンクな価値観も有しているが、そんなバンド、日本では彼らくらいだ。だからその象徴的な楽器の『Guiter』をタイトルにしたのだろう。

サウンド的にはギターがサイレンのように鳴り響きながら、ボーカルの五味岳久の歌声は遠吠えのように聞こえ、ベースはダイナモの重低音の如く永遠の時間を刻む。

彼らの曲が心地よい理由は、爆音で流れてるのに何処から聞こえているかわからない、やまびこのように伝わるからで、だから耳を澄ましてしまうという、魔法が内在している。これは、画家フェルメールのピントぼかし手法と少し似ている。骨太な音楽をやってるはずなのだが、なんか芸術肌な感じがある。奈良県を拠点にしていることで、そうならざるを得ないのかもしれない。

ギターを主体で音楽を奏でることは、古典といえるところまできた。でも、ロック好きはそれを疑っていない。”ドブネズミ 輝いた 僕等はいつでも答えを”という歌詞。ギターロックは死んでいないし、それを求める僕等も敗北者になるつもりはない。信じるに値する答えが、ロックにはあるのだ。