アイドルの話をしようpart2-AKBの存在価値の大きさと彼女達が取り戻した大衆音楽の現在 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
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引き続きアイドル特集の第二回目である。今回はAKBについて思っていること。

いきなりだけど僕は正直AKBは結構好きな方である。
特に推しメンとかがいるわけではないし、彼女達の歴史や苦労は上辺だけしか知らないが。知らないからこそ言えることもある。まぁ下記に挙げる主な2つの理由から彼女達の存在を支持したいと思う。

①音楽業界への大きな貢献力
なんと言ってもこれが大きい。この際、売り方が汚いとかそんな話はどうでもいい。音楽は所詮ビジネスである。
下降の一途をたどる音楽業界がまだなんとか踏ん張っていられる理由の一つには彼女達のビッグセールの存在が必ずあると思う。そうやって音楽業界が若干でも潤うことで、新人やほそぼそとやってるミュージシャンのプロモーション及び業界維持を実現できているのではないだろうか。もっと言えばAKBが消えれば日本経済にも大きな影響があるという見方もできる。そう考えると好き嫌いは抜きにしてもAKBの存在を否定することは僕には出来ない。
つまり、音楽性を除いた上で言えば、AKBはよくわからないがたくさん稼いでくれる女の子集団であり、業界にも日本にも欠かせない存在にまでなっている。ということがまず言えると思う。

②大衆性の大きなJPOPらしいJPOPを定期的に発表している点
最近で言えば恋するフォーチューンクッキーは特に素晴らしかったと思う。



70、80年代頃のヒット曲を思わせるディスコチューンの雰囲気が思いださせるのはかつて日本経済が元気だったあの時代であり、偶然にもアベノミクスの効果が一部で感じられ、気持ちだけでも景気が上向きの今とデジャヴする。また裏ストーリーとしては指原の復帰もあり、そんな記念すべきシングルがこれだけ多くの支持を得られたという事実は感慨深いものがある。

そこで歌われる「未来はそんなに悪くないよ」の歌詞も僕は好きだ。
3.11以降のイエスかノーの絶対的な選択を迫られる世界は正しいように見えてどこか窮屈な印象があるが、恋チュンはいいことが起こりそうな”予感”を歌っているだけでいい意味の無責任感や安心感がある。
イエスかノーを提示するのはアイドルやJPOPの役目ではないと思うし、僕はこのメッセージ性にすごく共感できるのだ。

「根拠はないけど良くなる」という考え方、前向きな姿勢というものは結構大事だ。上手くいかないと思ってることはやっぱり上手くいかない。「経済だってこのままずっと上向きかどうかはわからないけど良くなってほしい。何が正しくて何が悪いのかわからないけど日本の未来は明るくあって欲しい」と言った多くの日本人にこの曲は抜群に響いたのだ。そして覚えやすいメロディや振り付け(みんなで踊るPVもいい)という要素も加わって、結果として恋チュンはみんなの歌になった。

また、続いてリリースされたハートエレキもよかった。


60年台GSが持つ歌謡ロックの雰囲気がたまらないナンバー。センターにこじはるを起用したのもイメージ的には大当たりだったと思う。なにかの焼き直しかもしれないけど、雰囲気だけは素晴らしいし、なんだか聞いてて売れそうな予感がしてくるからミリオンヒットしてもなんの違和感もなかった。

他にもヘビーローテーション、フライングゲット、10年桜、大声ダイヤモンドなどなど・・・完全に懐古な作風ではなく、どこか懐かしく、そして今っぽい良質なJPOPを定期的にリリースできている点で僕は彼女達を高く評価したいのだ。特に恋チュンに関しては10年後に聴いても、大方の人間が2013年という時代を思い出す大きな力を持った1曲になっているはずだ。


さて、ここ数年でシングルを出して、それをミリオンヒットさせ、みんなの歌に出来たJPOPがいくつあるだろうか?僕がすぐに思い浮かぶのはやっぱりAKBだ。
別にAKBが作詞作曲してるわけじゃないけど曲作ってるおっさんが歌っても売れるわけじゃないんだからそこを議論しても仕方ない。
売り方とかやり方とかどうでもいいし、言い訳はいらない。JPOPは売れたら勝ちだ。
「AKBなんて所詮、売り方が汚くて外見だけのアイドルだ」と考えている輩の一体何%が彼女達の音楽を冷静に聞き、評価しただろう?パッケージと外見しか見てないのはオタクではなく、そういう輩だ。

そう考えると改めてAKBは色んな意味ですごいパワーを持ったグループであり、秋元康の計算とそれを実行する能力は一流だと思う。

しかしここまで絶賛しておきながら、残念ながら僕はアイドルとしては彼女達を支持することは出来ないし、その手の魅力もほぼ感じないというのが本音である。それは前回述べた松浦亜弥をアイドルの理想として考えた時にAKBはあまりにそこからかけ離れた人達であるからだ。
ただ彼女達の存在価値や楽曲が持つ力を否定することはできず、今回の記事を書いた次第である。

というわけで以上が僕のAKBに対する印象の概要である。最後まで読んでくれてありがとうございました。