CRUNCH『ふとした日常のこと』 | MUSIC TREE

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邦ロックを中心に批評していく
音楽ブログです。更新不定期。

こういうボーイズバンドが出てきて ほしい、と思うようなガールズバンドが日本でも出てきだして数年が経つ。寧ろ男子では、スリーピースのフォーメーションで、今までに無い音楽の魔法を生み出すことは困難になりつつあるのかもしれない。しかし、このバンドはもうガールズバンドではない。何の装飾も無いギターのリフや、正にロックとしてのカッコ良さだけに向き合っているようなシンプルなベースラインと、それを淡々と着実に支えているドラム。感情を楽曲に投影する方法論というよりも、メロディーに沿って言葉を繋いでいく様は、GIRLとBOYお互いの固有性をいい意味で曖昧にしている。また、ツインボーカルスタイルによって、洋の艶やかさと、和の気品さをバランスよくブレンドすることで、単に英国ロックのオマージュにとどまらず、オリジナルの魅力を示せているのもこのバンドの特長だ。さらにremixも収録されていることから、バンドとして、古典を踏襲するだけで無くしっかりと今を見据えた姿勢が伺える。彼女たちが今の日本のシーンでサバイブするとしてどの様なアプローチを示せれるか、まだ未知数なところはある。しかし、ロックバンドとしての根源的な可能性を秘めた彼女達は、今後のロックの方向性を模索していく中で、僕たちにとって必要なバンドになっていくだろう。