木曜の入院金曜の手術、そして土曜に退院。

これまでの面白おかしい人生の中でも内容の濃い、濃密な3日間でした。

土曜は、ほぼ無事に退院できました。

 

紹介状を携えて妙に大きくて妙にきれいなラピュタのロボット兵のような病院に行った瞬間から、ベルトコンベアに乗せられるように、この状態になったわけで。

あれよあれよといわれるがままされるがままに過ごしたので、退院してから、やっと、思考回路が正常に動き出しています。

 

恐怖やら喪失感やら、そういった負の感情が湧き起ったのは、正直、その後からです。

退院した日はとにかく家でふて寝。(入院中からふて寝ばかり)

日曜日はひとりでいたくなくて、それから寒い日だったので、温かい図書館に終日逃げ込みました。

 

手術にはいろいろあると思いますが、わたしが入院していた病棟では、体内にできてしまった余計なものを取り除く手術や、正常な働きができなくなったところを正常にするために切ったり貼ったりする手術をする方々が入院していました。

わたしの場合は、自分の体の一部を切り取るという手術でした。

実際、「切り取られて、もう自分の体には属さなくなってしまったものモノ」も自分の目で確認しました。

見た瞬間は、感じなかった喪失感を、いま感じています。

死ぬまでわたしの体であっただろう、その一部が、こんな形で切り取られてしまって、ごめんなさい。

健康診断はずっとオールAだったのに、突然こんなことになってしまって、ごめんなさい、と。

 

しかし、生理食塩水に漬け込まれたそれは、わたしにいろいろなことを教えてくれました。

 

これまで考えもしなかったこと、自分にとって大事なものは何か、大事な人は誰か、本当に好きなものは何か。

ほんの一瞬でも、健康を損なうことは、誰にとってもつらいことだけど、そこを乗り越えることで得られることってたくさんあるのだと、実感しました(ありきたりな言葉しか出ませんが)。

 

だから、生理食塩水に漬け込まれたそれを、わたしは一生忘れません。

もう会えない大事な仲間として。

 

先生に切ってもらった直後のわたしの心は、多方面への感謝の気持ちで満たされて忘れていましたが、切り取られた部分は、ぽっかり空洞になっているの? 

どうなるかと聞けば、、、再生するのだそうです。

人間の体ってすごすぎる。そう思ったらすごいパワーが湧いてきました。

 

だから、月曜から日常の仕事だって、へっちゃら。

(2日仕事休んだ分の仕事量は半端なかった、寒いのに汗かいた、デスクワークなのに)

 

さて、土曜日の退院は、当初の予定では、朝、診察で術後の経過を診ていただいて、問題なければ、10時に退院ということになっていました。

妹には、「まるでホテルのチェックアウトだね」といわれながら。

しかし、前日から、夜中から朝まで数回看護師さんが取り換えてくれていた点滴が、終わらないのですよ。

液体が入っていかないの。夜中も看護師さんが、何度も首を傾げたり、チューブを点検したり、そして、私の皮膚が、ひーってなるくらい引っ張られたり触られたりしたけれど、漏れてもいないし。

スローなんですね、受け入れ態勢が。何らかの液体の受け入れ態勢が。

やっぱり、口から入るもの以外栄養と認めません! 状態なのか、どうなのか。

それで、晴れての退院は、うざったいチューブと針と戦った挙句、12時半とあいなりました。

 

その日も5:30には目が覚め、朝食のおいしかったこと。何せ、味噌汁がでたのですよぉ。

具もほとんどない、薄味の味噌汁でしたけど、あ~、味噌汁。味噌汁は幸せの味だー。この先もし外国に住むことになったら(ないと思うけど)、おらぁ、そしたら、味噌を自分で仕込むどー! そこまで思考が回り。超絶味噌汁偏愛者となっておったのです。だって、夕ご飯は番茶なんだもん。

 

 

入院三部作はこれにておしまい。

 

これからは、こんなトピックのブログを書かなくていいように、日々笑い、よく食べ、よく眠り、よく働き、元気に過ごしてまいりたいと思います。

(でも、入院するとき、あ、ネタ満載と思ってしまった自分がいるのも事実です)

 

今日は、です、ます調な気分でした。

 

退院から4日後、奥の方から湧き出る愛を飲み込みながら。

黒川豆