beyond 400 ② | さまようブログ

beyond 400 ②

 以前、日本の観測点で大気中CO2濃度が400ppmを突破したと紹介しましたが、CO2濃度の基準観測点と言えるハワイ・マウナロア観測点でも400ppmを突破する日が来てしまいました。
http://www.nature.com/news/global-carbon-dioxide-levels-near-worrisome-milestone-1.12900
 CO2濃度は基本的に高緯度側ほど高いので、比較的低緯度に位置するハワイでは日本よりは遅れてCO2濃度が上昇しています。


左:過去約50年のCO2濃度変化。右:今年4月の1時間平均・1日平均・1週間平均のCO2濃度変化。nature newsより。

 キーリングによる観測開始時は約310ppmでしたから、わずか50年で100ppm近く上昇したことになります。そして、CO2濃度が400ppmを突破するのは実に数百万年ぶりのことになります。


新生代(6,500万年)における気温(上段)およびCO2濃度の推移、doi:10.1038/ngeo1186より(再掲)

 400ppmという数字自体にあまり意味はないことは前回書いた通りですが、温暖化の影響を+2℃以下に抑えるとの目標を達成するには、CO2濃度はだいたい400ppm以下を維持する必要があるとされています。
 温暖化の警告がなされて数十年。残念ながら温暖化対策は十分に進んでいるとは言えず、この状況が改善する兆しも見えてきません。いよいよ、温暖化そのものを抑制する「原因療法」だけでなく、現実におきつつある温暖化による被害に対する「対症療法」を重視せざるを得ない時期になってきたのかもしれません。あるいは、危険を伴う「外科手術」―すなわち地球工学的手法も視野に入れざるを得なくなってきたのかもしれません。
 しかしそれでも原因療法は当然重要です。COP19もスタートしました。いろいろもめてはいるようですが、アメリカが積極的なのは朗報です
(むろん思惑はあるのでしょうが)。対症療法は必要にせよ、体質改善努力も怠らず、なんとか外科手術までは必要ない状況に持って行ければいいのですが。