ノルウェイの森 | ASAKATSU2020~朝活~

ASAKATSU2020~朝活~

【MISSION STATEMENT】
朝活を通して、勧誘やビジネス抜きに、純粋に自身の目標設定や価値観の共有を誰でも気軽に行えるようになる世の中を作る

管理者自身が朝活を行いながら、朝活に興味がある全ての方が気軽に、継続的に朝活を行えるきっかけになる場所です

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日常生活というレベルから見れば右翼だろうが左翼だろうが、偽善だろうが偽悪だろうが、それほどたいした違いはないのだ

だから彼と話をしていると、僕は自分がとても面白い人間でとても面白い人生を送っているような気になったものだった

死は僕という存在の中に本来的に既に含まれているのだし、その事実はどれだけ努力しても忘れ去ることのできるものではないのだ。あの十七歳の五月の夜にキズキを捉えた死は、そのとき同時に僕を捉えてもいたからだ。
僕はそんな空気のかたまりを身のうちに感じながら十八歳の春を送っていた。でもそれと同時に深刻になるまいとも努力していた。深刻になることは必ずしも真実に近づくことと同義ではないと僕はうすうす感じとっていたからだ。しかしどう考えてみたところで死は深刻な真実だった。僕はそんな息苦しい背反性の中で、限りのない堂々めぐりをつづけていた。それは今にして思えばたしかに奇妙な日々だった。
生のまっただ中で、何もかもが死を中心にして回転していたのだ。

他人と同じものを読んでいれば他人と同じ考え方しかできなくなる。そんなものは田舎者、俗物の世界だ。まともな人間はそんな恥ずかしいことはしない。

しかしもちろんあらゆる口づけがそうであるように、ある種の危険がまったく含まれていないというわけではなかった。

あの思春期の少女独特の、それ自体がどんどん一人歩きしてしまうような身勝手な美しさとでも言うべきものはもう彼女には二度と戻ってはこないのだ。

最初にも言ったように、あの子を助けたいと思うんじゃなくて、あの子を回復させることによって自分も回復したいと望むのよ。

「私たちがまともな点は」とレイコさんは言った。「自分たちがまともじゃないってわかっていることよね」

「~結婚して六年、幸せだったわよ。彼は九十九%まで完璧にやってたのよ。でも一パーセントが、たったの一パーセントが狂っちゃったのよ。そしてボンッ! よ。それで私たちの築きあげてきたものは一瞬にして崩れさってしまって、まったくのゼロになってしまったのよ。~」

そしてそのとき彼女がもたらした心の震えがいったい何であったかを理解した。それは充たされることのなかった、そしてこれからも永遠に充たされることのないであろう少年期の憧憬のようなものであったのだ。僕はそのような焼きつけんばかりの無垢な憧れをずっと昔、どこかに置き忘れてきてしまって、そんなものがかつて自分の中に存在したことすら長い間思い出さずにいたのだ。ハツミさんが揺り動かしたのは僕の中に長い間眠っていた<僕自身の一部>であったのだ。そしてそれに気づいたとき、僕は殆ど泣きだしてしまいそうな哀しみを覚えた。彼女は本当に特別な女性だったのだ。誰かがなんとしてでも彼女を救うべきだったのだ。

「自分に同情するな」と彼は言った。「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」

なあキズキ、俺はもうお前と一緒にいた頃の俺じゃないんだよ。俺はもう二十歳になったんだよ。そして俺は生きつづけるための代償をきちっと払わなきゃならないんだよ。

私たちは(私たちというのは正常な人と正常ならざる人をひっくるめた総称です)不完全な世界に住んでいる不完全な人間なのです。

放っておいても物事は流れるべき方向に流れるし、どれだけベストを尽くしても人は傷つくときは傷つくのです。人生とはそういうものです。偉そうなことを言うようですが、あなたもそういう人生のやり方をそろそろ学んでいい頃です。あなたはときどき人生を自分のやり方にひっぱりこもうとしすぎます。

どのような真理も、どのような誠実さも、どのような強さも、どのような優しさも、その哀しみを癒すことはできないのだ。我々はその哀しみを哀しみ抜いて、そこから何かを学びとることしかできないし、そしてその学びとった何かも、次にやってくる予期せぬ哀しみに対しては何の役にも立たないのだ。

まわりを通りすぎる人たちは僕たちのことをじろじろと見ていたけれど、僕にはもうそんなことは気にならなかった。我々は生きていたし、生きつづけることだけを考えなくてはならなかったのだ。



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