さすらいさんちの話 1/16 | 武蔵野舟木組 2024

武蔵野舟木組 2024

               さすらい

 

神田神保町にある喫茶店「さぼうる」

山小屋風の純喫茶として有名店ではあるが、「純喫茶」という定義には実は当てはまらない。

純喫茶とはアルコール類を置かない純粋な喫茶店を指すので、純喫茶とは言い難い。

 

先日新聞で「さぼうる」のご主人が亡くなり、後を継いだご夫婦の記事があった。

「あぁご主人亡くなっていたんだ」と感慨深く読んだ。

 

 

最後に「さぼうる」に行ったのは、すでにもう10年ほど前で、その時はいつも居られるご主人の姿はなく会う事は出来なかった。実はこの「さぼうる」に初めて行ったのは、既に20年近く前で、俳優の和田浩治さんが、俳優になる前から良く来ていた店であると聞いて尋ねた。

 

1955年に創業したお店で、東洋音楽学校に通っていた和田浩治さん、本名和田愷夫(ひでお)は、近く住んでおり、良くこの店に友人たちと来ては、たむろしていたと聞いた。

ご主人に、ヒデ坊(和田さんの愛称)のファンだと告げると、写真を出してくれ、話もいろいろ伺ったものだった。

 

 

 

窓際の席は、ヒデ坊がいつも座る定位置で、木製のテーブルを、ドラムのスティクで叩いていたと聞いた。サービスでコーヒーのお替りもしてくれたのを思い出す。

 

ヒデ坊の父親はジャズピアニストの和田肇さんで、ヒデ坊の実母との結婚前に淡谷のり子さんと結婚離婚をしている。

ヒデ坊は、石原裕次郎に似ているという事で日活にスカウトされ、1959年に16歳で「無言の乱斗」西河克己監督で初主演し、その後も西河監督の作品に立て続けに出た。

 

日活では、山内賢さん達と「日活ヤング&フレッシュ」を結成し、ドラマーとして幾つもの作品に出演しているので、その演奏ぶりもご覧になった方は多いと思う。

舟木さんとは「青春の鐘」での共演で、特に仲が良くなったと話を聞いた事がある。

 

さすらいは、若い頃に、ある俳優さんから「君は和田浩治のNGって顔してるね」と言われたのがきっかけでファンになった。(笑)