さすらいさんちの話 11/8 | 武蔵野舟木組 2024

武蔵野舟木組 2024

               さすらい

 

京都・愛宕念仏寺の祭りに行ったのは、2019年の丁度今頃だった。

嵯峨野の一番奥の方、8000体の石仏で有名な化野念仏寺までは行った事はあったが、そのまだ奥にある愛宕念仏寺までは行った事が無かった。

 

ここにも1200体の石仏羅漢像がある。

この日は、天狗の宴という祭りで、多くの客が訪れる中、天狗ぬ扮した山伏がホラ貝と共に登って来る。今年も11月12日に行われる。

羅漢像の中に、父にそっくりな羅漢像を見つける。父は満州で負傷して片目が見えなくなり、眼球はあるものの、細い眼をしていた。

 

父は毎年5月、京都へは剣道をする為に平安神宮側にある武徳殿にやって来ていた。隻眼の剣士であった事を知る人は、殆どいなかった。

何度も一緒に京都に来て居たのだから、父にこの羅漢像を見せたかったと思っている。

 

やっと秋になった。

ただ、まだ気温が高く、平年の秋とは違い、秋の虫の音が聞こえてこないし、紅葉も遅れている。昨夜は、台風並みの大荒れの天気でもあった。

 

嵯峨野は紅葉の名所が沢山ある。

天龍寺、祇王寺、常寂光寺、二尊院・・・

その中でも、二尊院の参道のモミジの紅葉、そして参道にハラハラと落ちているモミジの葉には、美しさを感じ、日本人で良かったと思ったものだった。