16日朝飛び込んできたニュースは、パリのノートルダム寺院の火災のニュースだった。
TVは、もくもくと黒煙を上げる寺院と屋根の真っ赤な炎を映し出した。
あぁ、あの素晴らしいステンドグラスは無事なのだろうか?
そう思う間に、炎に包まれた尖塔が崩れ落ちる。
800年以上、フランスの歴史と共にあったノートルダム寺院がこうしてたった1日、いや数時間で焼失するものなのか?
あまりにも悲しい出来事だ。
ところで5か月も続いているパリの『黄色いベスト運動』はノートルダム寺院火災をきっかけに終息するだろうか?
抗議者たちは生活費(燃料費)の高騰、政府の税制改革の負担が労働者や中産階級に及んでいることを主張し、マクロン大統領の辞任を要求している。
昨年の12月に始まったデモは抗議ではなく暴動であったと報じられている。
100台以上の車が燃やされ、凱旋門も破壊されたそうだ。
ルーヴル美術館、エッフェル塔、パリオペラ座も閉鎖され、多くの店が襲撃を予想して、店に板を打ち付けたという。
警察は暴徒化したデモに装甲車で対抗。
何人もの逮捕者も出ている。
その終わることのない抗議活動は火災の起こる3日前の4月13日も続いていた。
このような長い抗議活動は、フランス史上でも例がないのだという。
パリ市民は、燃え上がるノートルダム寺院を見て何を思っただろう?
政治家も暴徒化していた市民も、私利私欲に傾いていた自分を恥じたのではないか?
私には、炎を上げる聖堂から大音量のグレゴリオ聖歌が鳴っているように感じた。
そして『パリ市民よ、一致団結せよ。誇りを持て!』と寺院が強烈なメッセージを送っているかのように思えた。