インシテミル (文春文庫)/米澤 穂信


読んだ本:『インシテミル』 

著者:米澤 穂信

出版社:文藝春秋

読んだ日:2010/11/15~11/19

ページ数:522頁


まとめ:

私にとって初めての本格的なミステリ小説。

大学の友人からの紹介で貸してもらったのだが、

渡されたときは思わず「分厚っ!」と心の声が飛び出してしまった。

結構なページ数である。

しかし、読み始めた途端、私の “怠惰な懸念” は “猛烈な好奇心” に入れ替わっていた。

ここまで先を先をと読み進めたくなった小説は久しぶりだ。

個人的には、作者のユーモアと言葉回しがツボにはまり、

あっという間にラストまで読んでしまった。


終盤にかけた主人公の急展開により、結果的に空気の弛緩がラストまで

薄らと続いてしまったため、読了後の若干の拍子抜け感は否めないが、

前半は本当に手に汗握り、息を軽く止めるほど熱中した。


推理としては、様々なルール設定が鍵なのだが、

鍵としては前半部分で存在感がやや大きく、先が読めてしまう人もいるかもしれない。

だが、例え分かったとしても、十分に楽しめる展開構成になっていると思う。



RPGのような娯楽的な展開の “明るさ” と舞台である実験施設に漂う気味の悪い “暗さ” が

ミスマッチだけれど心地よい対比を成していて、読んでいて不遜に笑えてくる。

若き作者のセンス、侮れ難し。

私の友人的にも個人的にも、かなりお薦めだ。



本題
(:今回は「殺人」について多く触れていますので苦手な方はご遠慮ください)


時給:11万2千円

期間:7日間

仕事内容:ある人文科学的実験の被験者




もし、このような条件の “怪しい” アルバイトがあるとしたら、応募するだろうか。

あまつさえ、仕事の内容に「殺人」の可能性が含まれているとしたら...


私だったら絶対に参加しない。

おそらく、このようなアルバイトに参加する人は正気の沙汰ではないだろう。


お金欲しさ、好奇心、自己顕示、冗談のつもりで、といった様々な理由で

このアルバイトに応募した“正気の沙汰”ではない12人の登場人物たちは、

アルバイト一日目にして、わずかに残った正気を奪われていく。


一人ひとりに与えられた「鍵のない部屋」と「凶器」。

そして、参加者を殺すことで報酬が増えるボーナスルール。

「殺し合い」を前提とされた実験施設<暗鬼館>で、7日間の悪夢が始まる...




快楽殺人を除けば、「人を殺したくない」と思うのが人間の真理だと思う。

しかし、殆どの参加者は、実験施設<暗鬼館>によって植え付けられた「疑心暗鬼」によって

“殺されるか、さもなくば、殺すか”という腹づもりを共有することとなる。

そのような認識を、参加者の一人である主人公とともに共有してしまった私は

誰かに狙われているのではないかという不安と恐怖、

そして、自分に与えられた凶器の有効的な使い方を考えることに、

終始、思案を巡らせていた。


つまり私は、然も当然の如く、人を殺すことを考えていたのだ。


今考えると恐ろしいことだけれど、

“殺されるか、さもなくば、殺すか” という状況下では、

たとえ小説であっても、自然と“過剰な自己防衛”の考えが生まれてくる。

これは、おそらく私だけではないはず。


だが、それは想像の範囲内であって、

実際問題としては、自己防衛のために「人は人を殺さない(殺せない)」と思うのだ。


現に、小説の中では、(以下の二行はネタバレのため、読んだ方のみ反転させてください。)

誰かを救うお金のため、愛する人を失った仇討ちのために、人殺しをした人はいたが、

「死にたくない」から意図的に人殺しをした人は一人もいなかった。



「自分の命のため」という理由付けは、意外にも条件として弱い。

それよりも人は、他者のために、若しくは、他者の存在によって、

人を殺すことができてしまうのだ。


逆もまた然り、と言われれば完全に否定は出来ないけれど、

「人は人を殺したくない」

これだけは、真理として認められると私は思う。


殺人が免責される戦争でさえ、

殺人をしてしまった兵士は嫌悪感、罪悪感、重度のトラウマに悩まされる。

我々は今一度、ゲームや映画で描き出されることによって、

“リアル”ではなくなってしまった「殺人」を見つめ直さなければいけない。


本作で、「殺人」をゲームと捉えながら、殺人の “痛み” をしっかりと描いているラストに

違和感を得た私は、おそらく「殺人」をリアルから切り離していた一人なのかもしれない。


「人は人を殺したくない」

この“リアル”な情緒を、我々は絶対に忘れてはならないのだ。











ありがとうございました。


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未来の魔法のランプ/池田 隆則


読んだ本:『未来の魔法のランプ』 

著者:池田 隆則、藤岡 敬三

出版社:説話社

読んだ日:2010/8/1~8/21

ページ数:60頁


まとめ:

この本が届いたときの感想...

「うすい!小さい!かわいい!」

本のキャッチコピー『「魔法のランプ」取扱説明書』で表されているように、

まさに、ちょっとした取扱説明書のような本。

オシャレなイラストが入った絵本形式で、内容が分かりやすいので気軽に何度も読めるし、

何よりも、この本には、何度も読み返す価値があると、私は思う。


ページ数はたったの60ページ。

通勤、通学の電車の中ですぐに読めてしまう。

この手軽さが本当に良い。


私が今まで読んできた成功哲学書や引き寄せの法則の本は、

分厚いハードカバーに小さな字がびっしりと書かれていたり、

本は薄くても、要点だけを端的にまとめた総体的な内容だったり...

奥深い分野だけに、本格的にまとめると分厚くなってしまうし、

端的に表すと、物足りなさを感じてしまう。


その点、この本は「気軽さ」と「程よい潔さ」を持っているので、

本に書かれている法則を実践したり、復習したりするのに、非常に役立つ。

また、困難にぶつかって、希望に対して「疑心」や「恐れ」を抱いたときにも、

サッと本を開いて、プロローグを読むだけでも、とても救われると思う。


以下、プロローグからの一部抜粋...

“ポジティブな思いで運を良くしたいと願ったとき、

逆にもっと悪くなってしまうことがあります。

誤解してはならないことは、ネガティブなことに遭遇する現象は、

新しいステージへ移って最初に思い浮かべたポジティブな思いを実現させるために

必要不可欠な過程であるかもしれないのです。”



成功法則を知って、実践し始める段階で辛いことが起こり、

悩んだり、諦めてしまっている人は、結構多いはず。

法則実践の最初の段階において、ネガティブなことに遭遇するのには、

ちゃんとした意味があることを、この本では、前置きとして述べている。


ページ数も文字数も少ないだけに、本当に大切なことだけが凝縮して述べられているので、

一字一句、どの言葉にも深い意味が込められている。

読み返すたびに、新たな発見があり、自分の変化に気付かされる。




引き寄せの法則、シンクロニシティ、セレンディピティなどを知らない人には“入門書”として、

知っている人には、“おさらい”として読まれると良いと思う。

とくに、「魔法のランプ」を知らない方にはおすすめである。

主人公である、全てを失った青年とともに、

この取扱説明書で、自分の「魔法のランプ」の使い方を“思い出す”ことができれば、

人は真に自由な人生を歩むことができるだろう。










ありがとうございました。


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