ムル☆まり同盟 -264ページ目

ギャップ

 先週突然電話がかかってきて、今週から突然ある「仕事」が始まった。モスクワに行く前何年間もしていた仕事のひとつだが、この数年間、ここ数ヶ月の生活とのあまりのギャップの大きさに、これまでのことは全部夢の中のできごとだったのではないかと疑ってしまう。

 仕事の内容はコンピュータ周辺機器のマニュアル作成。仕様書や前機種の取説を分析して必要な情報を集めマニュアルにする。モスクワでの音楽三昧の生活、帰国後の「ロシア愛好家」の集まりであるロシア語会話クラスとは、およそ180度違う世界だ。

 昔どおりの資料に昔どおりの作業、今でもずっと同じ仕事をしている元同僚。もしかすると、自分はずーっとここに住んでいてずーっとこの仕事をしていたのではないかと錯覚しそうなここ数日間だった。

 希望としては、昔どおりの仕事と生活を徐々に取り戻し、モスクワで吸収したものをプラスしながら活動の幅を広げていきたいんだけどな。まず日本のペースを取り戻し、次にモスクワのペースを取り戻しって感じかなぁ。。。ムルカはずっと一緒だけど。

おしごと

玄関  

今日に限って朝から大雨、あちらこちらで警報まで出ているとのこと、とっても運が悪い。

 実は、電話でだけ帰国の挨拶をしてあった古いお取引先からお声がかかり、今日は打ち合わせに出かけたのだ。どこからどこまでタクシーに乗ろうか、だとか、今日行かずにしかも仕事だけもらえる手はないか、だとか、色々グズグズ考えた末に、結局、普通に(タクシーは使わずに)出かけて帰ってきた。雨が降っているのに朝から出かけるなんて、うーん、日本で働いている私って感じ。(←こんなことくらいで感心していてどうするっ☆☆☆)徐々に社会復帰は進む。

 いつもは玄関にあまり興味を示さないムルカだが、こんな日に出かけるなんて扉の向こうにはどんなに良いことが待っているのだろうっと思ったらしい。・・・やたら玄関に興味を示し、しばし座り込みに出た。

 

「チャーム・スクール」

チャーム・スクール (上)

ネルソン・デミル, 田口 俊樹

 

 

 一言で言うと「アメリカ人がロシアを舞台に書いたスパイ小説」だ。ひょんなことから、アメリカ人旅行者がモスクワ郊外にあるKGB工作員養成施設からの脱走者と遭遇、施設の存在が明るみに出る。拘束された300名のアメリカ人捕虜を巡って米国のCIAや国防総省、ホワイトハウスの間で、様々な思惑が・・・。もちろんKGBも施設を守ろうと必死である。

 思想とかモラルとか深く考えることは何もない。旧ソ連体制のもとで繰り広げられるCIA対KGBのスリルとサスペンスに満ちた対決を思う存分楽しめる。2時間でスカッと終わるハリウッドのスパイ映画よろしく、この小説も、ただただハラハラ、ドキドキしているうちに終わってしまう。どんでん返しは最後の最後まで続き、読者を退屈させない。

 私個人としては、すっかりはまってしまい、読み始めたが最後、文字通り「寝食を忘れて」読みふけった。先が気になって気になって、最後には毎週楽しみに見ているテレビドラマも新聞もそっちのけで読み続けた。

 おまけとしては、当時のモスクワの様子がよくわかるのもよい。モスクワに住んだ経験のある人にとっては、お馴染みの場所が拷問場所や死体置き場だったことがわかったり、外国人向け英字新聞「The Moscow Times」で読んだことのある「地図に掲載されていない軍事基地や研究施設」の具体例としてこの本の内容を考えたり、と、少々身の毛のよだつ内容でもある。モスクワに住んでいるときに読んでいれば、もっと外を出歩くのに気を遣ったことだろう。外国人の目から見たロシア人気質やロシアの文化の描写も細かく、異国情緒を懐かしみながらサスペンスを楽しめた。



ムルカ用もぐらたたき

もぐらたたき  


 お気に入りのおもちゃの復刻版を手に入れた。きてぃは、これを「ムルカ用もぐらたたき」と呼んでいる。段ボール箱にいくつか穴が開いていて、その穴の内側からボールペンの先や紙切れなどを人間が出し入れする。それをムルカがすばやく見つけ叩くのだ。「獲物」が内側に引っ込むのが早いか、ムルカが叩くのが早いか。なかなか猫の本能をくすぐるおもちゃだが、日本のゲームセンターに行くと、これは人間のおもちゃとしても定番なのだそうだ。

 この「もぐらたたき」、モスクワでお気に入りのおもちゃの1つだったのだが、きてぃは今日になってようやく復刻版を作ることを思いついたようだ。遅いよっ!でも、思い出してくれてありがとう。日本での生活もそのくらい落ち着いてきたってことかな。。。【ムルカ】

くつろぎの度合い

 ムルカの性格は「内弁慶」で「臆病」だ。うちに来たときは誰にでもなつく無邪気な性格だったのだが、その後、私があまりにも来る人来る人見せては自慢するため、うんざりしてきたらしい。見せられた人、あるいはそのお子さんは必ず抱きしめるからだ。そのうち、日本人全般に対して拒絶反応を示すようになり、やがて、ロシア人女性も受け付けなくなってきた。モスクワ時代、うちの住人でもないのに、最後まで気を許していたのは、習い事の先生や技術者として我が家を訪れるロシア人男性のみだった。「ムルカはロシアねこ、女性なんだから、日本人よりはロシア人を、女性よりは男性を好むのは当然でしょうよ」という人もいた。

 そんなムルカ。寝姿にもくつろぎの度合いがはっきりと現れる。

 まずは、丸くなった普通の寝姿。普通くらいにくつろいでいる。この段階で熟睡していることは少ない。人間でいうと、「夜、寝る時間になったからとりあえずベッドに横になった」段階だ。人間がみんな寝てしまったから仕方なく寝ているときもこの格好だ。この段階では何か楽しそうなことが近くで始まると、すぐに起き出してくる。ピンポンがなれば、すぐさまベッドの下に逃げ込む準備もできている。

寝姿


 次に身体を最大限に伸ばした姿。丸まって寝ていて気持ちがよくなると思いっきりのびをして、その格好のまま眠り続ける。かなりくつろいでいる。それでも、人が近くに来ただけでぱっと目を開き、すぐにでも次の動作に入ることができる。

のびぃ

 くつろぎ度がもっとも高いのはこの姿勢。あまりにも気持ちがよくて、のびをした後さらにその心地よさを味わっているときのポーズだ。身体は伸ばしたまま、身体をひねってあおむけになりお腹を見せる、そして両腕はまるでお化けのように目の前で折り曲げている。何かまわりで変化が起こっても、眠たそうな目でぼんやりと見つめているだけだ。


しあわせっ

 モスクワ時代は、午後在宅しているとよくムルカに昼寝に誘われた。そんな幸せなひとときは決まってこの寝相だった。