ロタウイルス
これは乳児の、軽症ですぐ治る程度の下痢を伴う病気で、詳しいことはまだ解明されていません。この病気で一番心配されるのは、子供が脱水症状を起
こす可能性ですが、こうしたケースはごく稀なものです。昔はただ、腹痛と呼ばれていて、大抵の場合短期間で治ってしまう病気です。ごく稀にこの病気で死亡
することもありますが、死亡者は世界中でも最も環境の悪い地域、つまり貧困と伝染病が蔓延っているような場所で出るもので、「ワクチンによる死亡件の
90%はアジア、アフリカで起こっています。」[24]アメリカ合衆国における死亡者は、最も不衛生な生活環境の地域や、成人の発病者を考慮に入れても、
およそ年に20人くらいにしかならないでしょう。[25]
A型肝炎の項目でもすでに挙げたように、国内でワクチンを売り出す際に世界全体の統計を用いるセールス方法は良く使われていますし、1998年に
ロタウイルスが接種指定の予定表に追加された背景には、科学的根拠ではなく、政治的なやりとりが絡んでいるのです。現在のMerck社のマニュアルにおい
ても、ロタウイルスは深刻な伝染病という扱いはされていません。asymptomatic症の乳児は、よくロタウイルスにかかるものですが
([280],p2173)、
この病気は大した病気ではないため、唯一すすめられている治療は、乳児にたびたび水分補給をしてあげることくらいです。
人々を驚かすために世界規模の統計を使ったり、製薬会社が基金を出してさせた、間に合わせの実験調査で、効果率は95%だとか絶対に安全だとか主
張して、とうとう1998年にはRotashieldというロタウイルスのワクチンが接種指定されてしまいました。しかし、ワクチン接種の後で
Intussesceptionという、致死することもある腸の機能障害を訴える件が非常に多くあり、その他の障害の訴えも絶えなかったため、始めてから
たった11ヶ月後の1999年夏には、CDCがRotashieldワクチンを市場撤去することになったのです。(Newsweek, 13 Sep
pp)[239]
ここで質問ですがーたった1年で取りやめにしてしまうくらい、ロタウイルスワクチンについて政府のFDA局が良くわかっていなかったのなら、なん
で最初から3回も(生後2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月)接種するように薦めたりしたのでしょうか?
CDC機関のアドバイザーであったポール オフィットは当時ロタウイルスワクチンが法律で認可するために後押しした専門家ですが、彼は議会におい
て、ワクチンの製造社であるMerck社から報酬を得ていたことや、なんと専売権まで手に入れたことまで認めているのです!国民を伝染病から守る、という
機関の方針と、彼の行為が矛盾していると思わないかと尋ねられた彼は、あつかましくもこう応えています。
「私はロタウイルスワクチンの専売権保持者の1人であり、このワクチンが定期的に接種義務化されれば、当然そこから利益を得ることになります。安
全面のデータを取り調べる際に、えこひいきしたか、ですって?いいえ、答えは簡単です。NO!」
「ワクチンを後押ししている人間と、ワクチン製造社の間で、不健全な協力関係が結ばれている、ですか?いいえ、答えはNOです。」
オフィットは、Merck社からロタウイルスワクチンの後押しをする代わりに、過去17年もの間報酬をもらい続けてきました。また、専売権も持っ
ている上、ロタウイルスワクチンの開発奨励金として350万ドルものボーナスも受け取っています。[30]
これはもう、ただのビジネスでしかありません。ワクチン業界においては、こうした例はもはや当たり前のことになってしまっています。この点につ
き、代表者のダン バートンは以下のように述べています。
「アドバイザー委員会とは、新ワクチンの推奨を取り決める、CDC機関において影響力の強い委員会であるが、CDCは定期的に、明らかに矛盾した
目的を抱いている科学者をこの委員に選抜している。」と、バートンはUPIに述べています。「そしてこうした科学者は、本来ならば公平に判断してアドバイ
スをする筈の、その対象である製品(及び製造社)に経済的に援助を受け、金で縛られており、その他諸々の利益をその製品にかけているといった有様であ
る。」[354]
ROTATEQ
1999年のRotashieldワクチンの大失敗の後、彼らが再チャレンジするなど誰にも予想できないほどでしたが、9/11事件後の抑圧政権
のさなか2007年始めに突然、この新バージョンのロタウイルスワクチンが現れ、FDAの竜巻ごとく素早い許可を得て、接種指定の予定表に組み戻されまし
た。今度は新しい、Rotateqという名前です。
ここで気になるのが、このRotateqのデビューに伴い、9年前に前のワクチンで発生したのと同じ副作用反応が次々と報告されているという事実
です。つまり、intussusceptionです。これは時として死に至ることもあり、大抵の場合手術が必要な症状ですが、もともとロタウイルスの病気
とは何の関係もなく、ただそのワクチン関連で出てしまうものなのです。
Rotateqワクチンによるそれ以外の副作用としては、NDV, otitis media, pharyngitis,
bronchospasmなどが挙げられます。
Rotateqの昇進
Rotateqの製造社であるMerck社が掲載している、医学検査の主な研究発表が、2005年1月にNew England Journal
of Medicine誌に載せられました。[28]が、この研究の資金援助はMerck
社であり、Merck社の検査手順に従い、共著者はと言えば、オリジナルのワクチン及び新バージョンのワクチン両方の専売権所得者という具合です。最後の
方に、著者の殆どがMerck社から資金援助を受けていると、その著者名と共に記してあります。もちろん、それが研究内容を左右することは、無いそうです
が...(?)
このワクチンはほとんど前のと変わりは無く、違いといえば新たなウイルスが1系統追加されたことと、サルの代わりに人間の赤ちゃんで実験してい
る、という点くらいでしょうか。[251]ちなみにこの研究調査において使用された参考資料の殆どは、1999年に禁止されたあのオリジナルのワクチンに
関する研究資料であったことも、載せておきます。
そんな訳で、当然ながら新ワクチンの方も同じ様な結果でした。
「9605人を対象に(ワクチン接種が4806人、代用の砂糖ピルが4799人)詳しい研究をした結果、ワクチン接種したグループと砂糖ピルを飲
んだグループでは、ほとんど同じ確率で服用後42日以内に発熱、嘔吐、下痢の症状が見られた」ということです。
その上、ワクチンを接種した34,035人のうち803人(2.4%)の深刻な副作用反応が報告されていますし、ワクチン摂取した方の24人が死
亡しています。
死亡件数のうち、一番多かったのが乳児の突然死によるもので、ワクチン接種者のうち7名にもなりました。
この研究発表では、オリジナルのワクチンによる最も危険な副作用、腸重積について最初から終わりまで、しつこいほど触れています。この新しい研究
報告では、腸重積の発症事件が特に異常な出来事ではありませんでしたとか、ワクチンが原因で腸重積になったのではありませんとか、何度も何度も繰り返して
います。[28]もともと、10年前に以前のワクチンが廃止になった主な原因が腸重積だったため、著者の面々も、皆で口調を合わせて新ワクチンの売り上げ
を固めなければ、と思ったのでしょうが、この記事はどう見ても正しい薬学評論ではなく、セールス宣伝のような感じなのです。
それなのに、ワクチンが接種予定表に追加されてからたった1ヵ月後に、FDAが自ら乗り出して、この新しいRotateqワクチンが前のと同じ副
作用があるから危険だと、国民に向けて警告発表しているのですから、驚いてしまいます!それによれば、新たに28件の発症があったとのことでした。
「この症状は腸重積と呼ばれ、8年前に最初のロタウイルスワクチンが廃止されるに至った原因である症状と同じものである。(Associated
Press, 13 Feb 07[13])
これを否認するMerck社と、この会社の差し金であるCDC役員達のセリフは、悲しいことに思ったとおり、お決まりのセールス文句で、「関連性
の証拠はない」とか「リスクよりも効能の方が上回る」というものでした。
新しい商品と、古い宣伝法
PDRの2007年度版では、いつものお決まりの調子で、この新ワクチンの安全性や効果をうたっています。あの廃止されたRotashieldワ
クチンの時と同じ主張、「高い効能性、最小限の副作用」という決まり文句です。Rotashieldワクチンは、おそらく接種指定されている期間中に
PDRに記載されることのなかった唯一のワクチンですが、考えてみると、まるで彼らは初めからこのワクチンが廃止されることを見通していたようで、気味が
悪い感じがします。現在では、Rotashieldワクチンが存在していたことを証明する公式な資料を見つけること自体、殆ど不可能になってしまっている
くらいです。
Rotashield ワクチンは、新しいRotateqワクチンとは、ほんの少しだけ違っていました。
Rotashieldは人間と猿を媒体として使用していたのに対し、Rotateqのほうは人間と牛属の動物が媒体である、という違いです。それ
以外は、Rotateqワクチンの謳い文句もほとんど同じで、「95%の効果率、絶対に安全、本当に必要」という主張です。
自然な病気か、それとも人が作った病気か?
2007年度のPDRには、次のような特異な文章が記載されています。
「生きたワクチンウイルスが、ワクチン接種を受けていない対象にわたってしまう…危険がある。自然なロタウイルスに感染する危険性と、ワクチンの
ウイルスに感染する可能性の危険とを比較検討する必要がある」([251] p2076)
では、この文についてちゃんと考えてみましょう。まず、この文には誤記があります。だって、子供から子供にウイルスが手渡されるなんて、ありえま
せんよね?赤ちゃん達に、ウイルスの試験管でもあげなきゃいけないことになりますから。つまり、正しい記述はおそらく、「生きたワクチンウイルスが、ワク
チン接種を受けていない対象に感染してしまう危険がある」となるべきでしょう。そしてこの生きたワクチンウイルスは、自然のロタウイルスの系統から人工的
に作られた系統を、5種類も含んでいるのです。子供が自然にこの病気にかかった際にはたった1系統なのに比べて、大きな違いです。まあ良いとして、それか
ら彼らが主張しているのは、何世紀もの間、子供時代にかかる軽くてすぐ治る感染症だった自然のロタウイルスに感染した場合の危険性と、上記で示したような
ワクチンの悪化症状の危険性を比較検討する、ということでしたね?答えは、明らかでしょう。PDRの編集者が、この文章をごく小さい文字で記載するように
したのも、わかる気がします。こんなに小さな文字で書いておけば、誰もわざわざ読もうとはしないだろう、と確信していたのでしょうが。