墓参りには必ず着物を着ていく、凄腕の仕立て屋で和裁の師匠だったお袋の影響で、十代の頃から着物を着て東京をぶらついていたアタシ。
冠婚葬祭は着物で出かけ、ネクタイは結べないが帯や羽織紐は直ぐに結べる。てんで、着物で出かけるのが苦にならぬ。
この日身に着けた着物も角帯も、久しぶりに引っ張り出したもの。三・四年は袖を通していない。
角帯の色は金茶で良いのだが、その織が綴れの様な織なので粋ではない。てんで、同じような色の博多西村の角帯ばかり締めている。
羽織も久しぶりに着た、これを着るのは泥大島の着物の上に重ねる時ぐらい。この日締めた羽織紐も、乳に通す輪を直してもらってから初めて締めた。
この詳しい話は、明日のお楽しみに・・・。
風呂敷の中は墓掃除の時水がはねてもいいようにと、着物の上から巻く裾除けの様なものと、襷掛け用の腰紐が入っている。
のめりの下駄に印伝の鼻緒、着物は万筋の様な細かな縦縞の紬。これを洗い張りに出し、羽織に仕立てようと思っていた。
手持ちの墨色の羽織が痛み、新たに墨色の生地を探しているがなかなか見つからぬ、てんで、この着物を仕立て直すつもりでいたのである。
その前にもう一軒日本橋の呉服問屋に電話をし、紬墨色の生地を探してくれと声を掛けてある。見つからないときは白生地を手前で染めるのも良いかなと、思っているのだ。
京都の絞り職人に探してくれと頼み、一反送ってもらったが生地がイマイチで送り返した。何でもない生地が、今のご時世姿を消し手に入らなくなった・・。
ホームページ https://senoji.web.fc2.com/