【公開されている資料は三分の一にすぎない】
しかし、南京城内だけでも5〜6万人が殺されたということは、広大な南京特別市全体の被害者数はいったいどれほどのものになるんでしょうか?
笠原十九司は捕虜および敗残兵の処刑記録、国際委員会の記録、遺体埋葬記録、ルイス・スマイスの調査などを総合して《20万人以上説》を唱えています。
「まあ、そのくらいでいいんじゃないかな……」と納得しそうになったのですが、1つ重要な点が抜け落ちていることに気づいたのです。
一橋大学名誉教授・藤原彰の調査によると、公開されている戦闘詳報や陣中日記などの公式資料は、なんとわずか三分の一にすぎず、多くは敗戦前後に証拠隠滅のために焼却されたそうなのです。
公開されている資料から計算、推測するだけでも20万人以上になるんですから、焼却された記録、公開されていない記録も合わせると、被害者数はどこまで膨れ上がっていくんでしょうか?
【なぜか下巻が公開されていない岡村寧次(やすじ)大将資料】
今、《公開されていない記録》と言いましたが、次のようなおもしろいエピソードがあります。
中国戦線で第11軍司令官をつとめた岡村寧次大将という人がいるのですが、彼の日記に次のような記述があるんです。
〈南京攻略時、数万の市民に対する略奪強姦等の大暴行があったのは事実である。
第一線部隊は給養困難を名として俘虜を殺してしまう弊がある。〉
この記述は原書房から出版されている『岡村寧次大将資料(上巻)』に載っています。
ところで上巻があるということは、下巻もあるということです。
しかし、河合塾世界史講師の青木裕司によると、下巻はなぜかまだ公開されていないそうなのです……。
【被害者数は中国の主張どおりでいい】
相当やばい内容であることは間違いなく、こうした点からも南京大虐殺の被害者数は、10万や20万どころでないことが理解できると思います。
では、南京大虐殺の本当の被害者数は何人なのか?
私は中国の主張どおり、30万人〜40万人と見るのが妥当だと思います。
【まとめ】
●公開されていない、または隠滅された日本側の資料が膨大にある。
●南京大虐殺の被害者数30万人説は、決して大げさな数字などではない。