✳️【犠牲者数30万人は政治的数字】
藤田 南京事件とは1937年12月13日の南京陥落から6週間の間、中国側に軍民合わせて多くの犠牲者が出たとされる事件です。
そちらは南京事件の犠牲者数を30万人と言いましたが、ここ日本では大きく分けて3つの見解があります。
十数万人以上の犠牲者数を主張する虐殺派。
犠牲者数を数千人から最大4万人とする「中間派」。
そして虐殺行為自体がなかったとする「まぼろし派」。
ちなみに日本ではまともな研究者で30万人という犠牲者数を主張する人はいません。
荻野 東京裁判でさえも30万人という数字は採用されていないからな。
藤田 陳くんたちは30万人説を盲信していますが、30万人という数字はいわば「政治的数字」なのです。
荻野 中国の研究者もそのことはすでに認めているよ。
2007年1月に来日した中国の南京事件研究者、程兆奇と張連紅は公開講演で犠牲者数30万人は「政治的数字」で「正確な人数は確定できない」と述べている。
中国人も30万人という数字がおおげさであることはわかっているんだろ?(中略)
藤田 日本の虐殺派の人たちは30万人という犠牲者数に固執する中国の態度に困り果てているのではないですか?
荻野 中国の主張するあまりに荒唐無稽な犠牲者数では到底足並みが揃わないからなぁ…。 山野車輪〈マンガ嫌中国流〉より
✳️【市民の殺害などほとんどなかった】
「戦争中に敵の将兵をやっつけることは当然のことですから、虐殺というからには、あくまでも市民の殺戮が問題にされるべきです。そこで伺うのですが、あなたはいったい何人の普通の市民が殺されたと認識しておられるのですか」
この質問にきちっと答えられる人はいないはずです。なぜならば、そのような事実はほとんどないからです。首都陥落の際の常識的被害だったと言えます。それでもなお、無理矢理に「何十万人だ」というように答える人がいたなら、「それはどのような資料でたしかめられますか」と問えばよい。そうすれば、おそらく誰も答えられないでしょう。(渡部昇一) 小室直樹/渡部昇一〈封印の昭和史[戦後50年]の自虐の終焉〉より
✔️【真相〈南京には100万人以上の中国人がいた〉】
ほかの記事にも書いたことですが、当時の南京特別市行政区には150万人以上の中国人が住んでいました。
そしてほかの地域に避難できるのは富裕層だけで、貧乏人は南京に留まり続けるしかありませんでした。
よって大虐殺が巻き起こっていた頃の南京には、100万人を軽く超える中国人がいたと考えられます。
【日本軍の暴虐記録】
では、日本軍は中国の民間人を何人殺害したのか?
田中正明は〈南京事件の総括〉の中で「善良な市民を集団殺害したという記録はどこにもない」などと言っているんですが、今までの記事で説明してきたように、日本軍は中国の民間人を殺しまくっていました。
改めて一例を紹介します。
1937年12月4日、午前8時40分、中島今朝吾中将率いる第16師団は句容から東方15キロにある倪塘村に侵攻し、120余人の民間人を火あぶりや銃殺などで殺害しました。
翌日の12月5日、日本軍のとある一部隊が句容県城の北にある本湖村に侵攻し、40余人の民間人を小屋に押し込めて焼き殺しました。唯一の生き残りが当時16歳のバン・ジンショウという人です。
この2つはあくまでほんの一例であり、日本軍による虐殺事件は飯沼守日記、牧原信夫日記、日軍侵攻句容機関暴行録などの史料に数多く記録されています。
【捕虜も入れないとフェアではない】
では、日本軍は具体的に何人の中国人捕虜、および民間人を殺害したのか?
渡部昇一は「敵の将兵をやっつけるのは当然のこと。あくまでも市民の殺害が問題とされるべきだ」などと言っていますが、殺害した捕虜の人数も加えなければフェアではありません。
「厳密には捕虜ではなかった」という声が聞こえてきそうですが、その意見が誰も納得できないものであることはほかの記事で説明したとおりです。
【秦郁彦の4万人説はNG】
日本軍が殺害した中国人捕虜と民間人の人数──1番わかりやすいのが東京裁判で出た20万人。
紅卍字会などの葬儀団体が埋葬した死骸の数は15万5000ほどだったのですが、それには焼かれて灰になった中国人は含まれていません。そのため「もう少し増やして20万人」ということになったそうです。
が──戦闘員の死骸も含まれていたり、紅卍字会とともに埋葬にあたった崇善堂の記録の正確性に疑問があるといった理由から、秦郁彦や板倉由明は「4万人説」を主張しています。
が──揚子江で中国人捕虜を実際に射殺した元日本兵、黒須忠信さん(仮名)の言葉にこういうものがあります。
「何万という捕虜を殺したのは間違いねぇ」
揚子江で殺された捕虜だけでも数万人なのです。4万人説は「あまりにも少なすぎる」と言わざるをえないでしょう。
また、ジョン・ラーベの言葉にこういうものがあります。
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「中国側の申し立てによりますと、10万人の民間人が殺されたとのことですが、これはいくらか多すぎるのではないでしょうか。我々外国人はおよそ5万から6万人と見ています」
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ラーベら国際委員会のメンバーたちは、南京城外・郊外の情報には詳しくなかったので、5~6万人説はあくまで南京城内のみのものと思われます。
日本軍の大虐殺を実際に見ていたラーベら国際委員会が、「南京城内だけでも5、6万人」と言っているんです。
秦郁彦らの4万人説は、やはり除外せざるをえないでしょう。
【まとめ】
●日本軍が善良な中国人市民を虐殺した記録はある。
●被害者数4万人は少なすぎる。