一昨日の総務会において、総裁選挙の実施方式が決定されました。その結果、総裁公選は、実施せず、両院議員総会において新総裁が選出されることとなりました。

 両院議員総会では、国会議員票394票と、47都道府県連に3票ずつ割り当てられた141票の計535票が争われることとなります。各県連の3票の決め方については、各県連に任されていますが、埼玉県連を含め多くの県連で、党員投票を実施した上で、3票の行方を決定することとなる予定です。

 

 私も、強く総裁公選を求めていたこともあり、このような形に決まった経緯・理由・今後の課題について、以下のとおり整理させて頂きます。

 

 まず、自民党の党則第6条によれば、総裁が任期途中で代わる場合であっても、原則は「総裁公選」を行うこととされています。総裁公選とは、国会議員と同じ数の票数を党員票として割り当て、公選規程に基づき全国で一律に党員投票を行うものです。「フルスペック総裁選挙」とも呼ばれます。

 

 その一方で、「ただし、特に緊急を要するとき」は、今回決定された、両院議員総会方式をとることもできるとされています。

 

(参考 自由民主党党則)

第6条 総裁は、別に定める総裁公選規程により公選する。

2 総裁が任期中に欠けた場合には、原則として、前項の規定により後任の総裁を公選する。ただし、特に緊急を要するときは、党大会に代わる両院議員総会においてその後任を選任することができる。

3 前項ただし書の規定により総裁を選任する際の選挙人は、両院議員及び都道府県支部連合会代表各三名によるものとする。

 

 私は、

 ① できるだけ党員の意思を反映させる開かれた総裁選挙を行い、その過程で各候補者の政策や考え方を広く一般有権者に共有すべきであること、

 ② 当面のコロナ対策については、8月28日に総理が公表済であること、

 ③ 都知事選挙や衆議院議員の補欠選挙はコロナ禍においても実施済であること

 などから、原則通り、「フルスペック総裁選」を実施すべきと主張してきました。

 詳細は、8月29日の投稿をご覧下さい。

 

 事実、そうした私を含めた若手議員の主張に多くの賛同があり、国会議員で約150名(自民党議員の約4割)・地方議員約450名の署名がわずか半日で集まりました。そうした署名については、幹事長に申入れを行うと共に、一昨日の総務会でも紹介をさせて頂きました。

 

 党総務会においては、様々な議論がありましたが、特に大きな論点となったのが、「フルスペック総裁選挙」を実施した場合、どの程度の時間がかかるのかという点でした。

 我々が、事前に党の事務方から聞いていた情報では、両院議員総会方式に加えて、1週間程度で実施可能であるというものでした。しかしながら、総務会での党事務局長からの説明では、「フルスペック総裁選挙の実施は最低でも2か月間かかる」というものでした。事務局長によれば、総裁が任期満了で迎えるフルスペック総裁選挙は、その年の3月ぐらいから準備を始め、事前の準備ができているので、1か月程度で実施できるが、任期途中で退任された場合は、直近2年間の党費を納めた選挙人の名簿の精査・確定などに時間がかかり、相当の時間がかかる。そもそも、任期途中で総裁が代わって、フルスペック総裁選挙を行った前例もないというものでした。

 

 私としては、

 ① (そもそも最低2か月間かかるかどうかは確認のしようがありませんが) 2か月間かかるとすれば、そうしたことを、議員・党員は勿論、一般有権者にも丁寧に説明を行う必要があること、

 ② 2か月間かかるとすれば、事実上任期途中で総裁が欠けた場合、党則上は原則フルスペック総裁選挙といいつつ、現実的には、名簿の整理など実務が追い付いていないという理由で、常にただし書き(両院議員総会方式)が適用される状況になっており改善が必要であること

から、総務会でそうした趣旨の発言をさせて頂きました。(なお、私は、総務会のメンバーではありませんので、本来発言権は与えられておらず、場外からの発言という形になりましたが、そうした発言の機会を特別に与えて頂いた、鈴木俊一総務会長の寛大なご配慮にはこの場を借りて御礼申し上げます。)

 

 党の最高意思決定機関である総務会は、1時間40分にも及ぶ大議論となりましたが、最終的には執行部の皆さんのご判断で、両院議員総会方式で総裁選挙を行うことが決定をされました。私としては、多くの方にご協力頂いたにも関わらず、フルスペック総裁選挙を実施することが出来ずに率直に言って大変残念です。

 

 しかしながら、誤解なきように申し上げると、両院議員総会方式も、党則上何らの瑕疵もない、正統な総裁選出方式です。これから選ばれることとなる、自民党総裁の正統性に一点の曇りもありません。

 

 ただし、「特に緊急を要する場合」とされていることとの関係で、なぜフルスペック総裁選挙だと最低2か月間という時間がかかってしまうのかという点は、できるだけ党事務局に丁寧な説明を求めたいと思います。(既に、昨日青年局の場で、事務局長から説明を頂きました。)

 また、お話しを伺ったところ、党員名簿の管理等に改善の余地が大いにありそうですので、今回を契機に、党員の加入・更新手続きや、党費の支払い、名簿の管理のデジタル化を抜本的に進め、今後は、総裁が途中で欠けた場合であっても、原則規定(フルスペック総裁選挙)をまずは適用できる環境を創っていく必要があります。

 

 さらに、今般の両院議員総会方式においても、できるだけ多くの党員の皆様の意思が反映できるよう、ほぼ全ての県連で、党員投票が行われるように促すと共に、これから行われる総裁選挙を通じて、一般有権者の方もできる限り、各候補の政策や人柄が共有できるように、分かりやすい選挙を心がけていきたいと存じます。

 

 今回の一連の流れを通じて、自らの至らなさを痛感すると共に、多くの学びがありました。自民党の総裁選挙は、ひいては我が国の内閣総理大臣を選ぶ手続きとなることが多く、その実施方法の整理と実施に伴う事務処理の改善は喫緊の課題です。今般の総裁選挙が一段落したらそうした課題にも取り組んでいきたいと存じます。

 

 皆様のご理解ご協力何卒宜しくお願い致します。

 

 写真は、3日前。Nスタに出演した際のもの。