【ドラマ「虎に翼」結婚は社会的信用】 | 村の黒うさぎのブログ 

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大自然の中で育って、都会の結婚生活へ。日常生活の中のイベント、出来事、雑感を、エッセイにしています。脚色はせず、ありのままに書き続けて来ました。

 

猪爪寅子(いのつめともこ)は、日本初の女性弁護士となった。
猪爪家には、ご近所から次々にお祝いの品が届いた。寿司屋からも、立派な寿司桶の差し入れがあった。
「先生 おはようございます!」
「先生    行ってらっしゃい!」
近所の人達と会えば、挨拶の言葉が飛び交う。寅子は地域で一目置かれていた。

寅子をよく知る弁護士事務所で、引き続き、これからは弁護士として
働くことになった。
「弁護士 猪爪寅子」
寅子は職業婦人として、名刺を手にしていた。
しかし....
「男性の弁護士さんをお願いします」
どの依頼人も、口を揃えて言うのだ。女性の弁護士では、信頼されなかった。

寅子は、持っていたバッグをほろりと落とした。
挨拶する花岡悟は、傍らに婚約者を連れていた。
-かつて、父の弁護人を恩師に依頼する、橋渡しをしてくれた花岡
寅子の合格を、レストランで二人だけで祝ってくれた花岡-

法学部で同期だった山田よねと轟太一は、花岡を交えて話す。
「あんな紹介の仕方、寅子さんに、ひどいわよ」
「お前はもっと優しい男のはずだ。寅子と冷静に話し合ってみろよ」
「婚約した彼女の家は、僕の家から近い。
 僕の赴任先にも、ついて来てくれる。
 .....僕は彼女を愛している」
花岡の気持ちは固まっていた。

寅子は両親に、三つ指をついて頭を下げて頼む。
「私にお見合いの相手を探して下さい!」
結婚していなければ、社会的に信頼されなかった。
それに加えて、花岡の婚約の事実も、寅子にはこたえていた。

「娘の幸せのためならば」
両親は男性を探した。しかし、弁護士で嫁き遅れの寅子に、なかなか縁談は難しい。
妻を亡くした医師が、後添えを探していた。寅子は、その縁談にのった。しかし、お相手の意向は、お断りだった。
後学のために、寅子は理由を問い出した。
「弁護士の女性は、性格がきつそうだ」
それが先方の言葉だった。

10年も前から、両親は寅子の結婚に心をくだいていたのに、寅子は意に介さなかった。
しかし今のままで独身では、社会的信用を得られずに、弁護士の依頼は来ない。かといって、縁談もままならない。
これが、以前母が心配していた、「地獄をみる日」なのだろうか....?

そんなある日、猪爪家で書生として、共に生活していた佐田優三が、寅子を訪れた。
彼はかしこまっている。
「....僕ではいけませんか?」
「....?....」
なかなか話が噛み合わない二人だった。
「僕と、....僕と結婚して下さいっ」
やっと理解した寅子は、優三と笑顔で握手した。

寅子が子供の頃から、書生として猪爪家に暮らしていた優三。
寅子をずっと見つめてきた優三。
こんなに身近に、お相手はいた。幸せの青い鳥は、寅子のすぐ隣にいた。



ドラマやマンガを見ていて、日頃思うことがある。
主人公は自分のこと、殊に恋愛には鈍いのが相場で、私が見て来た範囲で、大概はそうである。
人のことはとても気にかけて、心配してあげているのに、自分のことになると疎くて意に介さないのが、まるで決まりごとの様だ。

「虎に翼」でも、寅子は花岡との会食の場で、彼の口からプロポーズの言葉が出かかっているのに気づかない。赴任地に一緒に来てほしい気持ちにも、気づけない。
客観的にドラマを観ている側は、鈍い寅子にやきもきしてしまう。

今の時点では、寅子にとって結婚とは、計画的なものだ。優三の、寅子が好きな気持ちは伝わってくる。
果たして寅子の方には、優三に対して愛情があるのだろうか?....
これまでドラマでは、愛とまではいかないまでも、優三と共感し、仲の良い姿を感じとれた。

恋愛感情には三種類あると言われている。
①恋の激情
②穏やかな愛情
③ゲーム感覚の恋愛。例えば王制ヨーロッパの、宮廷などでの恋愛が挙がる。 

①の気持ち-出会って激情で、恋は成就して結ばれる。
それに続く②の気持ち-相手との結婚生活が、長く続いてゆくための、穏やかな愛情の気持ちだ。

③の、ゲーム感覚の恋愛-私にはそういう気持ちは経験が無く、その感覚がピンと来ない。また、そういう感情が、人が生存していく上での意味も、理解し難い。

おそらく、寅子の優三に対する愛情は、これから育ってゆくことだろう。
恋の激情では無く、穏やかに優三を思う気持ちから入ってゆくのかも知れない。
あるいは優三に惚れなおして、温かな愛情に包まれるのかも知れない。


どの様に展開されてゆくのか、楽しみである。
今後のドラマで、寅子が優三を受け入れてゆく様子、二人のラブストーリーを見届けたい。


(追記)
優三と二人で過ごす思いは愛情へと変わり、寅子はおめでたを迎えた。仕事での激務も、日本中の女性の、先駆者としての使命と気負っていた。しかし、依頼を受けた講演会の会場で倒れたことをきっかけに、恩師にも職場の人にも、産休を勧められる。
弁護士事務所を退職した寅子は、肩の荷が降りた思いの中で女の子を授かる。
やがて優三に召集令状がきた。「寅ちゃん、思い切り自分の人生をやり抜いてね」優三は戦地へと発って行った。




■ドラマ「虎に翼」
 放送局:NHK
 曜日 :月曜日~金曜日
 日時 :08:00~08:14
     12:45~12:59(再放送)
 現在放映中
 NHKプラスでも放送後1週間配信中