【ダフニスとクロエ】 | 村の黒うさぎのブログ 

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大自然の中で育って、都会の結婚生活へ。日常生活の中のイベント、出来事、雑感を、エッセイにしています。脚色はせず、ありのままに書き続けて来ました。

 

-布団に入って寝付く迄の空想の世界-
子供の頃私は、寝付く迄が長かった。布団の中で、毎晩、心に空想物語を膨らませて、その世界に浸っていた。11歳の時から、我が頭の中を駆け巡った少年と少女。

■私の創作物語
ストーリー第一部。舞台は紀元前8800年。最後の氷河期が終わった頃、我々ホモ・サピエンス(現代人)達が、狩猟・採集をして暮らしていた時代が舞台。
幸せな家庭に育った少女は、ある日、山鳥を狩り仕止めた少年の姿
に、恋をした。
ストーリー第二部。夫婦となったかつての少年と少女は、初めて興った文明と出合うことになる。私は、第二部で登場する存在を、古代エーゲ文明と名付けていた。

独り空想していた、自分の大切な世界だった。その後10代~30代に、私の頭の中でストーリー構築は本格的に進み、自分の成長と共に内容の枝葉末節も変化しながら、33歳で、一つの物語は完成した。
私は、自分の創作物語を「Spring of the yourth」と名付けた。
文明発祥前の、人類の創世の時代。
主人公の男女の青春の時代。
この二つを掛けた言葉だ。

■音楽・ダフニスとクロエ
15歳の時、冨田勲のアルバムで「ダフニスとクロエ」を知った。
レコードジャケット、楽曲の本編共に、私が空想してきた世界とイメージがそっくりで、驚いた。

22歳の時、LPレコードでバレエ「ダフニスとクロエ」を入手した。
ラベル作曲 小澤征爾指揮
冨田勲の抜粋版と違い、管弦楽曲の全曲版だった。
増してや、私の創作(空想)物語と、イメージが同じ曲だ。あらためて驚いた。

「ダフニスとクロエ」のストーリーを簡単にお話する。
古代ギリシャ時代。羊飼いダフニスと山羊飼いクロエは共に孤児だが、素晴らしい美男美女だった。ライバルと争ったり、クロエが海賊に拐われたりと波乱がある。されど神の加護のもと、二人は結ばれて、素晴らしい花嫁花婿姿を披露する。

■バレエ「ダフニスとクロエ」の構成
ラベル作曲管弦楽作品中の、曲目の構成をご紹介する。

バレエ「ダフニスとクロエ」

第一場
神聖な森にある牧草地-
序奏と宗教的な踊り-
宗教的な踊り-
全員の踊り-
ドルコンのグロテスクな踊り-
ダフニスの優雅で軽やかな踊り-
リュウセイオンの踊り-
夜想曲-
間奏曲-

第二場
切り立つ岩に囲まれた海岸
海賊達の陣地-
戦いの踊り-
クロエの哀願の踊り

第三場
夜明け前の神聖な所にある牧草地
-夜明け-
無言劇-
全員の踊り

■文学・ダフニスとクロエ
25歳の時「恋愛小説フェア」で、ロンゴス著「ダフニスとクロエ」の小説を入手した。
古代-いにしへ-に書かれた恋愛小説である。
SF小説に「宇宙戦争」がある。私は、小学生の時、この宇宙戦争の本を買ったが、つまらなさに棄ててしまったことがある。
古典的SF小説「宇宙戦争」は名作で、作品としての価値は高いのだが、10代の少女(少年)が読めば、面白みに欠ける。「猫に小判」というのだろう。

「宇宙戦争」同様に、小説「ダフニスとクロエ」も、現代の目で見れば面白みに欠けていると思う。
しかしそのイメージ世界は、私の抱いてきた世界とやはり同じだった。

■私の創作物語と「ダフニスとクロエ」の相似性
主人公の、羊飼いと山羊飼いダフニスとクロエは相思相愛である。
そしてその次の段階として、どうすれば、心が満たされるのかわからない。
一言で言えば、相思相愛の男女が、性に目覚めてゆき、心身共に結ばれるまでの過程を描いている。
野暮なので内容は割愛するが、非常に純粋で淡白な恋愛観・世界観の中で繰り広げられる物語である。

私の創作物語の主人公も、絶世の美男美女である。
私の創作物語も、共に14歳の夫婦が性に目覚めてゆく過程を主旨としており、ダフニスとクロエに全く同様である。

■絵画・ダフニスとクロエ


絵画では、ミレーが画に現している。
書でダフニスとクロエのストーリーを確認出来た。その後27歳の時、山梨県立美術館の常設展で、「ダフニスとクロエ」を3作品拝観した。
ミレーが表現しているものは同じで、やはり男女の純愛である。自分の空想物語の世界との一致は、予想通りだった。


■見つけた同類への親愛なる想い
古代の小説家ロンゴスが、現代に生きる私と、心に同じものを抱いていて、書き表している物事は同じであった。そして、画家・作曲家・バレエの演出家共に、その世界感を表現してきた。

私が子供の頃に空想して、10代に膨らませて、20代に温めて、33歳に書き上げた創作物語。「ダフニスとクロエ」と私の「Supring of the  yourth」は、驚くほど同じ世界観のお話であった。


ラベル作曲 バレエ「ダフニスとクロエ」には、斯様な、ひととおりではない思い入れがある。


ラヴェル「ダフニスとクロエ」第二組曲 by サイモン・ラトル指揮ベルリンフィルハーモニー(Maurice Ravel:<<Daphnis et Chloe>>.2eme Suite,Simon Rattle)https://www.youtube.com/watch?v=14OM6Ysnk6M