【結果+観戦記】ブリーディスvsオペタイア/コルディナvsカカセ[ウシクvsフューリー興行] | ボクシング・ダイアローグ

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世界ヘビー級4団体王座統一戦:オレクサンドル・ウシクvs タイソン・フューリーをメインイベントとする興行の主要アンダーカード結果&簡単な観戦記。

 

[動画サイトでフルラウンド映像を見つけて観戦]

 

 

5月18日(日本時間19日)

キングダム・アリーナ:サウジアラビア・リヤド

 

◇ IBF世界クルーザー級王座決定戦◇

 

3位/元WBC&WBO&IBF同級王者

マイリス・ブリーディス

(39=ラトビア:28勝20KO2敗)

vs 

4位/前IBF王者

ジェイ・オペタイア

(28=豪:24戦全勝19KO)

 

ブリーディスは、22年7月の前戦でオペタイアに判定負けして王座陥落、以後は負傷もあって長期ブランクをつくりつつも上位をキープし、1年10ヶ月ぶりの再起戦でオペタイアとのダイレクトリマッチ&決定戦に臨む形。

 

オペタイアは昨年12月にエリス・ゾロ(英)を初回KOして以来のリングとなり、戦わずして手放したタイトルの奪回をかける一戦。

 

[ゾロ戦をIBFが防衛戦として承認しなかったことへの不満から、試合間近のタイミングで王座を返上、紆余曲折を経て再び同じタイトルの奪還を目指す、という経緯]

 

結果は オペタイアが 3-0(117-111、116-112×2)の判定勝ちで王座返り咲き。

 

スタートから序盤戦は、ブリーディス&サウスポーのオペタイアとも牽制が多くハッキリした差のない状態で進行、ジリッとプレッシャーをかけて前に出る分だけオペタイアが圧しているように映る印象。

 

大まかにオペタイアがペースを握っている感じの中、中盤からは力のこもったパンチの交換が増えるもアクションの乏しいままにラウンドを消費、サークリングで動きながら無理せず当てて行くオペタイアに対し、後半に入るとブリーディスが前進率を上げて出たもののなかなか当たらず、ヒッティング数は概ねオペタイアが上回る展開。

 

終盤になって漸くブリーディスの攻撃が功を奏し、11&最終12ラウンドと右ストレート、アッパー等をたびたびヒットして明白に優勢に立ったながらも、最後に盛り返したところで試合終了のゴング。

 

細かいヒット数で上回り、妥当な 3-0 判定で勝利したオペタイアは、元の鞘に収まる格好でIBF王座に返り咲き。

 

この日の出来はちょっとイマイチだった気がしますが、現在のクルーザー級は牽引者がいない状況(WBA:ヒルベルト“スルド”ラミレス、WBC:ノエル・ゲヴォル・ミカエリアン、WBO:クリス・ビラム=スミス)につき、今後は先頭に立って盛り上げてほしいところです。

 

 

◇IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチ◇

 

王者

ジョー・コルディナ

(32=英:17戦全勝9KO)

vs 

挑戦者9位

アンソニー・カカセ

(35=アイルランド:21勝7KO1敗)

 

コルディナは昨年11月、エドワード・バスケス(米)に判定勝ちして以来のタイトル2度目の防衛戦、マイナー団体 IBOの同級〝世界〟王者カカセは昨年5月、ダミアン・ウルツェシンスキ(ポーランド)に判定勝ちして以来のリングで、メジャータイトルは初挑戦。

 

結果は カカセが 8ラウンド 0:39 TKO勝ちで新王者。(&IBOは2度目の防衛)

 

両者ガードを固め、ジャブの牽制でスタートした試合は、2ラウンドになるとコルディナが一転ガードを下げて前進を開始、対するカカセは押されているように見えるものの、落ち着いて隙を窺っている感じ。

 

3ラウンド、カカセが左ボディーを起点に仕掛けて接近戦、パンチ応酬後の両者がクリンチした離れぎわにカカセの左フックが炸裂すると、レフェリーの中途半端なブレイク処置の直後だったことにより、いったん試合を止めて20秒ほどの中断。

 

再開後、チャンスと捉えたカカセは間髪置かずに連打、再び左フックが決まるとコルディナは顔を跳ね上げられてフラつき、更ににじり寄って追撃したIBO王者がまとめ打ちからの右を叩き込むと、IBF王者が前屈みにダウン。

 

再開後カカセはラッシュ、ロープに詰まったコルディナはブロックと上体のボディワークで粘って持ち堪え、辛くもラウンド終了ゴングに逃げ込み。

 

続く4ラウンド、ダメージを引きずるコルディナはジャブから立て直しつつ自分から攻めて反撃を図る一方、カカセは手数が減ったながらもクリンチのはぐらかせを交えつつ、巧妙に応戦。

 

5ラウンドあたりからは接近戦でもつれ合うシーンが多くなるも、当て率も頭をつけてのインファイトもカカセが打ち勝ち、6ラウンドは右アッパーの4連打から一気の追撃、コルディナは完全に追い詰められた状況に。

 

7ラウンド、カカセの方も打ち疲れたか攻めがテンポダウン&それでも攻勢は維持、ロープを背に追われるコルディナは足も停止して、厳しい戦況に拍車。

 

迎えた8ラウンド、開始から出たカカセがスパート、右フックでコルディナをロープ前に下げて数発を追撃、反撃できずガード一辺倒のコルディナにレフェリーが早めのタイミングで割って入り、試合終了。

 

当てるタイミングの良さと試合運びの巧さで世界的には無名のカカセが快勝、王座奪取という結末になりましたが…

 

コルディナ同様に英国圏でキャリアを構築し、よほどの好条件を提示でもされない限り今後もイギリス=欧州圏内から出そうにないイメージがあるので、この先は対戦相手との兼ね合いを踏まえ、実力レベルのチェックをしたいところ。

 

敗れたコルディナは、尾川堅一(帝拳)選手をワンパンチKOして初王座を獲った時はハマった際の強さを発揮した反面、王者に返り咲いたシャフカッツ・ラヒモフ(タジキスタン)戦&初防衛のバスケス戦では出来ムラや打たれ脆さが見て取れ、個人的には決して有望な王者ではないと感じていましたが… ここで陥落したことは流石に意外。

 

スーパーフェザーに留まってカカセとの再戦を目指すのか他団体のタイトルに方向変換するのか、或いはライト級に上げるのか、こちらもこの先の動向に注目。

 

 

トリプル世界戦の前に行われたWBCコンチネンタルアメリカ&NABOヘビー級タイトルマッチ10回戦、王者 WBC2位/WBO3位/WBA4位/IBF6位 フランク・サンチェス・ファウレ(31=キューバ:24勝17KO無敗1NC)vs 挑戦者 WBC3位/IBF7位/WBO8位/WBA9位 アギト・カバィエル(31=独:24戦全勝16KO)。

 

結果は カバィエルが 7ラウンド 2:33 KO勝ち。

 

ジリジリとプレッシャーをかけ、ジャブから被せるような右を主体に出るカバィエルに、サンチェスは下がりながら速いパンチを合わせに行くも序盤からけっこう被弾する展開となり、容易くという感じでカバィエルが主導権を掌握。

 

サンチェスは時おり鋭い右などで応戦するものの、お構いなしに前進するカバィエルの圧力に負けて逃げのクリンチが増えると共に手数も減少、ペースは完全にカバィエル。

 

カバィエルはジャブから右の単純な攻めパターンが主体ながら、サンチェスが消極的なためヒット率は着実に上がり、一方的な状況で試合進行。

 

迎えた7ラウンド、カバィエルの左ボディフックが決まるとサンチェスが座り込みダウン。

 

ここは立ち上がって試合続行、しかしカバィエルがロープに詰めて連打→ 再び左ボディをねじ込むとサンチェスが前屈みに2度目のダウン、今度は立てずにテンカウントで試合終了。

 

昨年12月、同じリヤドのイベントで全勝のアルスランベク・マクムドフ(露)を4ラウンドKOしているカバィエルは、立て続けに次期王者候補を撃破。

 

個人的にはスピード差でサンチェス有利と見ていたので、この試合も予想外の結果でしたが、現在のヘビー級は意外と有望株は多くない気がするため、久々のドイツ人ヘビー級王者の誕生なるかも含め、これからに期待したいところです。

 

 

他…

 

クルーザー級10回戦、元WBO&IBF&WBAライトヘビー級王者 セルゲイ・コバレフ(41=露:35勝29KO4敗1分)vs ロビン・サーワン・サファル(31=スウェーデン:16戦全勝12KO)は、サファルが 3-0(99-90、97-92、95-94)の判定勝ち。

 

19年11月のカネロ・アルバレス(メキシコ)戦に11ラウンドKO負けした2年半後、テルベル・プレフなる無名のブルガリア人に判定勝ちして一先ず再起していたコバレフ、それ以来となる2年ぶりの復帰戦だったものの、最終ラウンドにダウンを奪われて敗退。