【結果+観戦記】エマヌエル・ナバレッテ vs デニス・ベリンチク[WBOライト級王座決定戦] | ボクシング・ダイアローグ

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5月18日(日本時間19日)

ペチャンガ・アリーナ・リゾート&カジノ:米カリフォルニア州サンディエゴ

 

◇WBO世界ライト級王座決定戦◇

 

WBOスーパーフェザー級王者 

エマヌエル〝バケロ〟ナバレッテ

(29=メキシコ:38勝31KO1敗1分)

vs 

1位 

デニス・ベリンチク

(37=ウクライナ:18戦全勝9KO)


前4団体統一王者 デビン・ヘイニー(米)の返上で空位となっている王座の決定戦。

 

スーパーバンタムから現在保持しているスーパーフェザーまで、全てWBOで3階級制覇を達成しているナバレッテは、昨年11月の最新試合でロブソン・コンセイサン(ブラジル)とドローで辛くもタイトルV2、今回はWBO現王者に与えられている特権(優先権)を使っての4階級制覇挑戦。

 

対するベリンチクは、2012年のロンドン五輪ライトウェルター級銀メダルからプロに転向、10戦目の18年12月にWBOインターナショナル王座を獲得後、ここまで8度防衛中(19年4月の初防衛戦は荒川仁人氏に判定勝ち)&その間にEBU欧州タイトルも奪取、今回は昨年8月にアントニー・ジギ(スウェーデン)を判定で下して以来のリングとなり、初の世界戦。

 

結果はベリンチクが 2-1(116-112、115-113、112-116)の判定勝ちで王座獲得。

 

[動画サイトでフルラウンドの映像を見つけて観戦]

 

右から左へとスウィッチを交えるベリンチクが積極的に出、ナバレッテは大振りのパンチで対応する立ち上がり。

 

サウスポースタイルからの右フック、左ストレートなどを当て始めた3ラウンド以降、一時的なシフトを除き左構えで戦ったベリンチクに対し、ナバレッテはロングパンチ狙いで空振りが目立ち、ポイントを取られている印象。

 

軽いヒットを少しずつ積み重ねるベリンチュクvs的中率は悪いながらも力を込めて打つため見栄えでは上かも?のナバレッテ、という対照的な部分をジャッジがどう振り分けるのか、読みにくい展開で試合進行。

 

やはり、と言うかナバレッテは危機感があったのか、10ラウンドあたりになると焦りの表情を露わにして強引な攻め、対してベリンチクは捌いてるというほどではないにしろ外しながら時おり軽く当てる戦術をキープ。

 

ラストラウンドは、リードしているかどうか分からないからかベリンチクも打ち合いに応じ、互いにクリーンヒットのないガチャガチャしたパンチの交換で試合終了のゴング。

 

軽かろうがヒット数を第一基準で採点すれば、ベリンチクの勝ちは妥当な線という感じでしたが…

 

とはいえこれといったインパクトのないスタイルと言えるのも確かで、1週間前にIBFの同級王者に返り咲いた同胞ワシル・ロマチェンコをはじめ、豪腕パンチャーのWBA王者 ジェルボンテ〝タンク〟デービス(米)、高速テクニシャンのWBC王者 シャクール・スティーブンソン(米)らと同列で語るのは流石に早急に過ぎる感。

 

典型的な技巧派やアウトボクサーというわけではなく、パワー不足を手数で補って勝負するタイプの枠に入る選手だと思うので、他の3王者とは違う持ち味でどれだけ存在感を上げるか、先ずは防衛ロードに注目。

 

敗れたナバレッテの方は、やはりライト級では少し重いんじゃ?な感が大。

 

スーパーバンタム級時代の安定感がウェイトを上げるに連れて薄まり、スーパーフェザーではリアム・ウィルソン(豪)にダウンを奪われる大ピンチから逆転してのストップ勝ちで戴冠、初防衛戦のオスカル・バルデス(メキシコ)戦で良い内容で判定勝ちしたと思ったら、前戦のコンセイサン戦は一転して薄氷のドローと、強豪王者のイメージもかなりの割引状態。

 

クラスアップと共に、パワーだけでなく耐久力が落ちている印象も強いので、一先ずはスーパーフェザー級に戻り、足固めをし直した方がいいのでは?と思いますが…

 

ナバレッテ自身は、敗北を受け入れつつ135ポンドでやれること、大差はなかったが今回の敗因が技術力の差だと判ったことは収穫だったとコメント、ライト級に留まる可能性を示唆。

 

その一方では、冷静にチームとじっくり検討して決めたいとも語っていたようで、これから暫くは停滞となりそう?

 

ついでながら、個人的な採点は 116-112 ベリンチクでした。

 

 

WBO世界ウェルター級暫定王座決定戦

 

1位

ジョバニサンティラン

(32=米:32戦全勝17KO)

vs

10位

ブライアンノーマンJr.

(2325勝19KO無敗2NC

 

WBA&WBC王座も併せ持つWBO正規王者テレンス・クロフォード(米)が、8月の次戦で3タイトルを保持したままWBAスーパーウェルター級王者イスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)に挑戦することが決定、当面の見通しが立たないことにより設置される暫定王座の決定戦。

 

サンティランは昨年10月の上位ランカー対決でアレクシス・ロチャ(米)に6ラウンドKO勝ち、満を持しての初世界戦。

 

ノーマンJr.は、3ラウンド無効試合に終わった今年3月のvsジャネルソン・ボカチカ(米)以来のリングで、同じく初めての世界戦。

 

結果はノーマンJr.が 10ラウンド 133 KO勝ちで王座獲得。

 

この試合はフルラウンド映像が見つからず、ハイライトを視聴しただけにつき細かな内容等についてはわかりませんが…

 

序盤から出た好戦的スタイルのサウスポー、サンティランに対しノーマンJr.も引かずに応戦、徐々にリード。

 

中盤サンティランが見せ場をつくるも8ラウンドにノーマンJr.が逆襲、サンティランは左瞼のカットに加え鼻からも流血&ダメージ蓄積。


そして10ラウンド、ノーマンJr.の右アッパーでサンティランが膝を着き最初のダウン、再開後の詰めで今度は左アッパーがモロにヒット、背中から倒れ込んだサンティランにレフェリーがノーカウントで止め、試合終了。

 

活きのいい若手が一気に世界へと駆け上がった一戦でしたが、個人的にはノーマンJr.って誰だっけ ⁉️ という感じにつき、出来たら間が開いてでもこの試合はフルで観たいな、と。

 

倒しっぷりの良さもあり、少なくともフロックの勝利ではなかったように思えますが、とにかく次代の旗手候補かもしれない新鋭王者の台頭に期待&注目。

 

 

他、セミセミで行われたヘビー級8回戦、リチャード・トーレスJr.(24=米:9戦全勝9KO/東京五輪スーパーヘビー級銀メダル)vs ブランドン・ムーア(30=米:14勝8KO無敗1NC)は、トーレスJr.が 5ラウンド 1:39 KO勝ち。

 

これも観ていませんが、トーレスJr.が 5ラウンドに2度倒しての完勝だったようです。