【結果+観戦記】元世界4階級王者 エイドリアン・ブローナー復帰戦 vs ブレア・コブス | ボクシング・ダイアローグ

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7日(日本時間8日):米フロリダ州フォートローダーデールのセミノール・ハードロック&カジノで行われたドン・キング・プロモーションズ興行。

 

メインイベントはウェルター級10回戦、元WBOスーパーフェザー&WBCライト&WBAスーパーライト&WBAウェルター級王者 エイドリアン・ブローナー(34=米:35勝24KO4敗1分1NC)vs ブレア・コブス(34=米:16勝10KO1敗1分)。

 

※本来メインにセットされていたWBCクルーザー級タイトルマッチ、王者 ノエル・ゲボル・ミカエリアン(アルメニア/独)vs 挑戦者 ライアン・ロジッキー(加)がミカエリアンの練習中の負傷(らしい)で中止→ 変わって消滅と報じられていた当初のメインカード、ブローナーvsコブスが再設定

 

ブローナーは昨年6月、ビル・ハッチンソン(米)に判定勝ちして以来のリングとなり、1年ぶりの復帰戦。

 

但し、前々戦は判定勝ちした21年2月のホバニー・サンティアゴ(プエルトリコ)戦、その前は19年1月のマニー・パッキャオ(比)氏に判定で敗れた一戦と、ここ5年半弱で戦ったのは僅か3試合だけで、実質的には長期ブランク中に等しい状況。 

 

一方のコブスも、22年8月に元WBOスーパーライト級王者 モーリス・フーカー(米)に判定勝ちして以来1年10ヶ月ぶりの復帰戦。

 

世界4階級制覇の栄誉と数々の犯罪歴が混在する “The Problem” ブローナーと、フーカー戦で手にした世界ランクを試合枯れの間に失ったコブスによる、再浮上をかけた34歳同士の対戦…

 

結果はコブスが 3-0(97-91、96-93×2)の判定勝ち。

 

同日の別の興行で開催されたWBOミニマム級タイトル戦、オスカー・コラゾ(プエルトリコ/米)vsヘラルド・サパタ(ニカラグア)を探していた際、たまたまフルラウンドの映像が見つかったので観戦しましたが…

 

とにかく、ブローナーの出来があまりに冴えなさ過ぎで、先に結果を知った上で観るにはしんどかったのが正直な感想。

 

腰を落として重心を低く構え、フットワークで動きながら牽制するサウスポーのコブスに対し、ブローナーはガードを高く固めて様子見。

 

2ラウンド30秒過ぎ、ガードの隙間を割ってコブスの力任せの左ロングフックが決まり、ブローナーが後方へ弾けてダウン、再開後コブスはロープに詰めてボディ連打、これを凌いだブローナーは自分から前に出てやんわりと反撃。

 

3ラウンドも、ブローナーは攻めようとする姿勢は見せるものの、威力が感じられないジャブや右などばかりで非効果的、以後は終盤戦に差し掛かるあたりまで、こまめなステップで位置取りを変えて軽く当てるコブスが主導権をキープ。

 

ダウンの失点もありポイントの不利を意識したか 、9ラウンド&最終10ラウンドはブローナーがプレスを強めて攻勢、逆にリードを確信しているらしいコブスは無難に流す感じだったことで、最後は元4階級王者が少し盛り返した印象で試合終了ゴング。

 

チョッピング気味のパンチが目についたブローナーは、動きは重い、キレもスピードもない、手数も出ない、戦況に対応出来ず一本調子のワンパターン… と、全く良いところのないまま敗退。

 

現代のボクサー的にはまだ老け込むほどの年齢ではないにしろ、そのへんは様々な要素による個人差が大きいのは衆知の事実で…

 

ブローナーの場合は、もうここから全盛期に近いレベルまで戻すのはとてもムリそうなイメージで、とにかく体力から何から全てが落ちていたように感じたの一言。

 

コブスも、これを機にまたランキングに復帰して来るかもしれないにしても、世界の一線で勝負するほどの選手とは思えず、個人的にはそれほどマークしなくていいかな、という判断です。

 

 

セミファイナルは WBAヘビー級ゴールド王座決定戦、7位 カシアス・チェイニー(37=米:23勝16KO1敗)vs 8位 マイケル・ハンター(35=米:22勝16KO1敗2分)。

 

当初はWBA暫定王座決定戦と発表されていたながら、いつの間にかゴールド王座決定戦に変更されて行われた一戦…

 

結果は ハンターが 3-0(100-90×3)の判定勝ち。

 

この試合は観ていませんのでノーコメントですが、それにしてもかけられるタイトルが正式発表後にコロッと変わるアメリカやヨーロッパの興行のテキトーさというのは…。

 

いかに1階級1王者制移行の公約を自ら堂々と踏みにじってウヤムヤにしたWBAとはいえ、ハンターとチェイニーの組み合わせによる暫定王座なんていうのを承認するのか?との疑念は大きかったものの、流石にこれは認めなかった模様。

(そもそもそれで当たり前ですが)

 

ついでながらWBAのヘビー級は、5月に4団体統一を果たしたオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)の他に、この日の興行主キング氏とWBA&ヒルベルト・メンドサWBA会長らを相手取ったプロモート上の理由による裁判で勝訴、その代償でレギュラー王者に〝復帰〟したマヌエル(マフムード)チャー(シリア/独)が存在。

(ウシクはレギュラーより格上のスーパー王者)

 

しかし、戦わずして王座に戻った一方で相変わらず以前と同じく試合/防衛戦の機会が回って来ないまま新たなブランク中と、依然として全く陽の当たらない状態。

 

WBAの開き直りや、同様に暫定王座を連発するWBCなどの凋落を見るに、やっぱりもうタイトルに価値や権威を求めるのはムダと割り切らないといけない…?