【結果+観戦記】ザンダー・サヤス vs パトリック・テイシェイラ 井上尚弥と対戦熱望キャリントン | ボクシング・ダイアローグ

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8日(日本時間9日):米ニューヨーク州ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン・シアターで開催されたトップランク興行。

 

メインイベントはスーパーウェルター級10回戦、WBO5位/WBC7位/IBF13位 ザンダー・ザヤス(21=プエルトリコ:18戦全勝12KO)vs WBO8位/元WBO同級王者 パトリック・テイシェイラ(33=ブラジル:34勝25KO4敗)。

 

昨年12月、ホルヘ・フォルテア(スペイン)に 5ラウンドKO勝ちして以来のリングとなるザヤスは、全階級を通じた次期世界王者候補の筆頭格の1人。

 

テイシェイラは昨年3月、エディソン・サルタリン(ベネズエラ)に 4ラウンド棄権TKO勝ちして以来となり、21年2月にブライアン・カスターノ(亜)に判定負けしてWBO王座を明け渡した後、さらに続けて黒星を重ねトータル3連敗の時期があったものの、現在は格下相手に3連勝で立て直し中。

 

次の王者/スター候補の若手注目株vs世界戦線復帰を目指す元王者の一戦…

 

結果は ザヤスが 3-0(100-90×2、99-91)の判定勝ち。

 

[動画サイトで見つけたほぼフルラウンドの映像+ハイライトで完全版にして観戦]

 

プロ初のサウスポー相手となるザヤスは、そんなことは全く気にしていない風にリラックスした立ち上がり、対するテイシェイラは足を使って動きながら隙を狙う待機戦術。

 

2ラウンドあたりには早くもザヤスがハッキリとペースを掴み、徐々にヒッティングを増やして着実にポイントを取って行く一方、逆にテイシェイラは着々とジリ貧になって行く感じで、ラウンドを追う毎に展開は完全にザヤスが掌握。

 

テイシェイラもフットワークで動きつつジャブや左ストレート等を返すものの、圧し下がらされた状態からの腰が入らないパンチのためザヤスの前進を止められず、まともにもらわないのが精一杯と映る状況のままズルズル。

 

反対に、容易く距離を詰めて行けるザヤスはスムーズに上下へと多彩な攻撃でリードを拡張。

 

ただ、ムリに倒しに行かず&テイシェイラのカウンターを警戒して堅実さに徹したことで、一方的な展開ながらもKOは逃し、判定決着に。

 

ちょっとこぢんまりになった印象が無くもないのは、たぶん攻防が巧くまとまっていることから来るイメージの筈で、とにかくザヤスが相変わらずの期待のホープ感を発散させて圧勝。

 

終始リードしながら倒せず、特に見せ場もない判定決着になった部分にはもの足りなさも残ったにしろ、いよいよ来年あたりは勝負をかけることになりそうで、期待は今から高まります。

 

現在のスーパーウェルター級は、4団体統一を果たしたジャーメル・チャーロ(米)がその頂点で上げ止まった挙句に剥奪&返上で無冠になり、今後はこのクラスからの転出が確実視&しかし今は音沙汰すらない状態。

 

それに加え、後を継ぎ空位の王座に就いた王者陣も皆まだ新米…

 

という訳で、ザヤスには新しい盛り上げ役にぜひ加わってほしいところです。

 

テイシェイラは、決定的な被弾を防ぎダウン&KOは逃れたながらも殆ど何も出来ない完敗で、復活路線はいったんストップ。

 

今後はどういった形で再起を図るのか、まだ踏み留まる力はあると思われるだけに、引き続き注目しておきたい選手です。

 

 

セミファイナルはフェザー級10回戦、WBO5位/WBC7位/IBF12位 ブルース・キャリントン(27=米:11戦全勝7KO)vs ブライアン・デ・グラシア(30=パナマ:29勝25KO3敗1分)。

 

※本来のキャリントンの対戦者 ホセ・エンリケ・ビバス(メキシコ)のビザ発給が間に合わず、直前になってグラシアに変更

 

結果は キャリントンが 8ラウンド 2:56 TKO勝ち。

 

これはハイライト視聴のため全体的なことはわかりませんが、内容としてはスピード差を活かしてイニシアティブを取ったキャリントンの完勝。

 

最初のヤマ場は5ラウンド残り50秒を切ったあたりで、右フックを叩きつけてグラシアに片膝を着かせるダウンをゲット。

 

さらに7ラウンドの終了間際、相手にロープを背負わせたところで打ち下ろしの右を決め、ロープにしがみつくようにグラシア2度目のダウン。

 

そして8ラウンド、キャリントンの連打にロープに詰まったグラシアが防戦一方になると、レフェリーが止めに入って試合終了。

 

キャリントンは最近、フェザー級の世界王者たちと同様、盛んに4団体統一スーパーバンタム級王者 井上尚弥(大橋)選手との対戦希望をアピール中。

  

そのモンスターは、ニューヨークで開催された全米ボクシング記者協会(BWAA)の 2023 シュガー・レイ・ロビンソン賞(年間最優秀選手賞)授賞式出席のため同市に滞在中で、この日は会場を訪れて試合を観戦。

 

試合後キャリントンはリング上で井上選手にお辞儀し、モンスターも手を振って応えたそうですが、少なくとも現時点で対戦相手になる可能性は事実上ゼロ。

 

キャリントンは

 

戦う準備はできている。井上に何が欠けているか、それをどのように晒して簡単に利用できるかをわかっている。

 

俺はそれを出来る武器を持っている。ネリ戦の時も、その何試合も前から俺が突けるだろう弱点は見えていた。

 

対戦する時が来たら井上を倒せる自信がある。井上のディフェンス面に欠落している特定の部分は俺が攻撃面で得意としているもので、その隙を楽々と突けるが、攻略法は教えられない。

 

今は時期尚早とわかっているが、適切な時期が来た時はチャンスがほしい、云々…

 

と言いつつ

 

スーパーバンタム級に下げる気は全くない、俺も井上も100%の状態で戦えるようにしたい。

 

井上が負けた時に言い訳できないように。

 

と、対戦はあくまでモンスターがフェザー級に上がって来てから、との条件を米メディア等にコメント。

 

センスの良い注目株であることには違いないにしても、これまで世界レベルとの対戦経験はなく、まだビッグマウスを叩けるポジションではないと自分は思うんですが…

 

相打ちや打ち終わりの一瞬にタイムリーにもらって倒されそうなイメージも少なからずあり、井上選手がフェザーに進出した時に本物のホープになれているのか、個人的には静観しとこうくらいの感じです。

 

なお、米メディア「ボクシングシーン.com」によると、キャリントンはモンスターが観戦に訪れたことに対し、井上は俺を見に来た、と語ったとのことですが…

 

アメリカ人にしては、ジョークのセンスには欠けているような気がします。

(笑えはするけど、それは失笑)

 

 

他、スーパーライト級8回戦に出場したWBC34位 デランテ “タイガー” ジョンソン(25=米:12戦全勝6KO/東京五輪ウェルター級ベスト8)は、タリク・ザイナ(29=モロッコ:13勝8KO1敗1分)に 3-0(79-72、78-74、77-75)の判定勝ち。