5月4日(日本時間5日): 米ネバダ州ラスベガスのTーモバイル・アリーナで開催された、サウル〝カネロ〟アルバレス(メキシコ)vs ハイメ・ムンギア(メキシコ)の4団体統一スーパーミドル級タイトル戦をメインとするPBC(プレミア・ボクシング・チャンピオンズ)興行の主要アンダーカードの結果。
◇WBC暫定世界ウェルター級タイトルマッチ◇
暫定王者
マリオ・バリオス
(28=米:28勝18KO2敗)
vs
挑戦者20位
ファビアン・マイダナ
(31=亜:22勝16KO2敗)
セミファイナルにセットされた一戦、バリオスは昨年9月のヨルデニス・ウガス(キューバ)との決定戦に判定勝ちして暫定王座を獲得、それ以来となる初防衛戦。
マイダナ(元WBAスーパーライト&ウェルター級王者 マルコス・マイダナ氏の弟)は昨年11月、イスラエル・ロペス(ニカラグア)との調整戦に判定勝ちして以来のリングで、暫定ながら初の世界タイトル挑戦。
結果は バリオスが 3-0(116-111×3)の判定勝ち。
動画サイトをサッとあたってみた限りではフルラウンド映像は見つからず、ごく短いハイライトを観たに過ぎませんが…
マイダナがカウンター狙いで消極的に映る試合運び&バリオスも最後まで深追いしなかったこともあり、大きなヤマ場は3ラウンドにバリオスが打ち下ろしの右でダウンを奪ったシーンくらいだったようで、攻勢、手数、ヒット率とも上回ったバリオスが妥当にポイントを取って順当に勝利、という内容だった模様。
一定レベルの力は証明済みのバリオスはともかく、試合決定時はランキング30何位で全く無名だったマイダナは、兄マルコス氏とは違った持ち味でなかなか巧いところも見せていたらしく、今後映像が見つかるようなら観てみたい、という感じです。
なおバリオスの方は、エロール・スペンスJr.(米)とテレンス・クロフォード(米)の4団体統一戦交渉が長引いた影響で設置された暫定王座に就いた経緯があり、第一の責務はWBC正規王者との団体内統一戦になる筈ですが…
スペンスJr.を下してWBCを含む4団体統一を達成したクロフォード(のちIBFは剥奪)は紆余曲折の末、次戦はスーパーウェルターに上げてWBA王者 イスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)に挑戦することが先ごろ正式に発表されたばかり。
ウェルター級タイトルを返上しての転級ではなく、持ったままでの挑戦になるらしい?ので、団体内統一戦は引き続きズルズル先延ばし=バリオスがまだ暫くの間、暫定王者として留まりそうな雲行きです。
◇WBC暫定世界フェザー級タイトルマッチ◇
暫定王者
ブランドン・フィゲロア
(27=米:24勝18KO1敗1分)
vs
挑戦者13位/元WBOスーパーバンタム級王者
ジェシー・マグダレノ
(32=米:29勝18KO2敗)
セミセミにセットされた興行内3つ目の世界戦、フィゲロアは昨年3月の決定戦でマーク・マグサヨ(比)を判定で下して暫定王座を獲得、正規ではないもののWBA&WBCスーパーバンタム級に続く2階級制覇を達成し、今回がそれ以来となる初防衛戦。
マグダレノは、昨年4月の前戦でレイモント・フォード(米=現WBAフェザー王者:マグダレノ戦の次戦でオタベク・ホルマトフをストップし、空位の王座を獲得)に判定負け、1年1ヶ月ぶりの再起戦で暫定ながらも世界王座に挑む形。
… の筈だったのが、マグダレノが前日計量を2.6ポンド超過して失格、試合はフィゲロアの勝ち&引き分けならタイトル防衛、マグダレノが勝っても王座移動のない変則ルールで開催。
肉弾戦法の〝ハートブレイカー〟フィゲロアvs嘗てノニト・ドネア(比)に勝利したこともある元世界王者マグダレノの一戦…
結果は フィゲロアが 9ラウンド 2:59 KO勝ち。
これも短尺なハイライトしかなく、全体的な内容や展開等はわかりませんが、フィゲロアがいつも通りこまめな左右スウィッチを交えたアタックで肉薄し、9ラウンド終了間際にマグダレノをロープに追い込んでサウスポースタイルからの左ボディアッパーをねじ込み、前屈みにうずくまったマグダレノがそのまま立てずテンカウント、という決着。
しつこい連打&打たれ強さをベースに相手を根負けさせるタイプのフィゲロアは、対戦者にとってはやりにくい&攻略が難しい筈だけに、なんのかんので案外フェザー級のトップはこの男かも?
WBCフェザー級暫定王座は、WBC正規王者 レイ・バルガス(メキシコ)のスーパーフェザー級狙いに伴い設置されたものながら、そのバルガスはオシャキー・フォスター(米)に敗れて結局フェザー級に出戻っているため、WBCには速やかにバルガスとフィゲロアに団体内統一戦を指令してほしいところです。
◇WBA世界ウェルター級(レギュラー)タイトルマッチ◇
王者
エイマンタス・スタニオニス
(29=リトアニア:14勝9KO無敗1NC)
vs
挑戦者4位/元WBA暫定王者
ガブリエル・マエストレ
(37=ベネズエラ:6勝5KO無敗1分)
PPV第1試合:セミセミセミにセットされ興行内で最初に行われた世界戦、スタニオニスは22年4月にラジャブ・ブタエフ(露)を判定で破り王座を奪取して以来2年1ヶ月ぶりとなるリングで、これが初防衛戦。
3団体統一王者だった時のスペンスJr.や、スペンスJr.を倒し4団体を統一したクロフォードに加え、それに換えて指令された全勝全KO勝ちの注目株 バージル・オルティスJr.(米)との指名戦がことごとく、ほぼ全て相手側の都合で実現せず、漸くにして迎えるV1戦。
マエストレは、昨年8月にトラヴォン・マーシャル(米)を2ラウンドTKOして以来の試合となり、初の正規の世界タイトル挑戦。
21年8月にミカル・フォックス(米)との決定戦に判定勝ちしてプロ4戦目でWBA暫定王座を獲得するも、それから間もなくしてWBAが1階級1王座制への移行を宣言、実質的な剥奪で無冠になった経緯。
リトアニア初の世界王者vs既に37歳とはいえポテンシャルの高そうなマエストレ、の一戦…
結果は スタニオ二スが 3-0(119-109、118-110、117-111)の判定勝ち。
これまたごく短いハイライトしか見つからず、全く観ていないに等しいため申し訳程度のコメントも出来ないものの…
スタニオ二スがブランク明けを感じさせない好調な戦いぶりで、ジャッジが下した10、8、6ポイント差が示すとおりの、ほぼ危なげない勝利だったようです。
スペンスJr.とクロフォードに振り回されたことが主要因で試合枯れに見舞われた格好のスタニオニス、とはいえそれによってその2強と対戦せず世界王者になれた部分は幸運に恵まれた、とも言える筈。
それはそれとして、バリオス同様いま暫くの間は王座に留まれそうな状況につき、今後はタイトルホルダーらしく防衛戦の義務を果たして行ってほしいと思います。
その他の主なアンダーカードの結果は…
WBAスーパーウェルター級北米大陸王座決定戦、WBA10位/WBC4位/IBF6位/WBO15位 ヘスス・ラモス(23=米:20勝16KO1敗)vs WBA8位 ホハン・ゴンサレス(33=ベネズエラ:34勝33KO2敗)は ラモスが 9ラウンド 2:56 TKO勝ち。
全体的に優勢に進めていたラモスが、9ラウンド終盤に立て続けに2度ダウンを奪ってレフェリーストップ、昨年9月の前戦でエリクソン・ルビン(米)に判定負けして以来の再起に成功。
122ポンド契約8回戦、WBCスーパーバンタム級2位/アラン・デヴィッド・ピカソ(23=メキシコ:27勝15KO無敗1分)vs ダミアン・バスケス(26=米:17勝10KO3敗1分)は、ピカソが 5ラウンド 2:11 TKO勝ち。
メキシコでの人気は既に相当なものらしいピカソ、モンスター井上選手の挑戦者候補に浮上か !?