【結果+観戦記】ビラム=スミス vs リチャード・リアクポー[WBOクルーザー級タイトル戦] | ボクシング・ダイアローグ

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6月15日(日本時間16日) 

セルハースト・パーク:英ロンドン

 

◇WBO世界クルーザー級タイトルマッチ◇

 

王者

クリス・ビラム=スミス

(33=英:19勝13KO1敗)

vs

挑戦者1位

リチャード・リアクポー

(34=英:17戦全勝13KO)

 

昨年5月、ローレンス・オコリー(英=現WBCブリッジャー級王者)を判定で破って王座を獲得したスミスは、同年12月にマテウス・マステルナク(ポーランド)に 8ラウンドTKO勝ちで初防衛、それ以来となるV2戦。

 

対し、昨年11月にディラン・ブレジョン(英)を2ラウンドTKOして以来となるリアクポーは、戦績は良いものの世界レベルの実績はナシ、これまで昨年1月の前々戦で斜陽の元WBO同級王者 クリストフ・グロワッキ(ポーランド)に4ラウンドTKO勝ちしている程度ながら、196センチの長身から繰り出す強打を武器に、初の世界挑戦。

 

なお、両者は19年7月に対戦、同時はWBAインターコンチネンタル王者だったリアクポーが2-1で判定勝ちしており、スミスにとっては初&唯一の黒星の雪辱戦。

 

結果は スミスが 3-0(116-111、115-112×2)の判定勝ち。

 

[試合が行われた時間帯は日本の早朝→ 午前中の早めの時点で動画サイトに映像が上がっていて、結果をチェックしてしまった後とはいえせっかくのフルラウンド版だし… という訳で観戦]

 

初回はリアクポーの軽めに突くジャブが有効も、2ラウンドからスミスがジリッと出始めると挑戦者はちょっと打ってはクリンチ、王者もそれに付き合ってしまう感じの盛り上がらない展開となり、以後ほぼその繰り返しで試合進行。

 

所々で細かいパンチを当てるスミスが、右狙いの顕著なリアクポーにヒット率で上回り、明白な差のない振り分けのラウンドを取って行く…

 

という流れで迎えた9ラウンド、リアクポーのスウィング気味の右が決まり、スミスがマウスピースを落として短い中断、挑戦者はここぞの好機をいったん遮られた格好になったものの、ラウンド終盤には左フックを当てて王者をロープに後退させる見せ場。

 

10ラウンド、形勢逆転チャンスのリアクポーが積極的に出るも、しかしレフェリーからバッティングの注意を受けてまた短い中断で転機を逃すなど、疲れの色濃いスミスを詰められず。

 

そして最終12ラウンドの残り40秒あたり、スミスに軽い右を被されたリアクポーがクリンチと同時に頭をぶつけると、ここまで何度もベッドバットを警告していたレフェリーが減点を科し、一時は追い上げムードだった挑戦者は余計なポイントロス。

 

最後は両者が体をくっ付け合って共にパンチの少ないまま、試合終了のゴング。

 

試合前のオッズは、そこそこハッキリとリアクポーが有利だったようですが… 終わってみれば、少なくとも採点的にはスミス勝利で問題ナシな印象。

 

苦戦の末、相手の棄権に救われる辛勝だった前戦のvsマステルナクに続き、イマイチ冴えない内容とはいえ手数と的中率で上回ったスミスが王座に踏み留まり、V2&初戦の雪辱に成功。

 

正直、長く王者でいられるイメージは浮かびませんが、今やボクシング大国となったイギリスの選手だけに、自国圏でのマッチメイクの妙しだいではもう少し防衛できるかも?

 

敗れたリアクポーの方は、スタミナ切れした選手が誤魔化しや時間稼ぎにやるようなクリンチを序盤から多用し、無駄に映るような失点を重ねたことが一番の敗因では。

 

あからさまな右狙いの反面、自分から体を付けに行って距離を潰していたあたりも含めて攻めパターンは単調に見え、戦績ほどの凄みも感じられず、世界のレベルでどれほど通用するのか、依然よくわからないままな感じです。

 

ついでながら、個人的な採点も 116-111 スミスでした。

 

 

他、主要アンダーカードは…

 

EBU(欧州)クルーザー級王座決定戦、IBF8位/WBA9位 アイザック・チェンバレン(30=英:16勝8KO2敗)vs 元IBO同級王者 ジャック・マッセイ(31=英:21勝12KO2敗)は、マッセイが 3-0(116-112、115-113×2)の判定勝ち。

 

IBFインターナショナル・ライトヘビー級王座決定戦、ベン・ウィテカー(27=英:7戦全勝5KO/東京五輪ライトヘビー級銀メダル)vs エズラ・アレニェカ(28=ナイジェリア:12戦全勝10KO)は、ウィテカーが 3-0(100-89、99-90×2)の判定勝ち。