JBCが処分を発表:井岡一翔に戒告、平仲信明会長はプロモーターライセンス無期限停止 他 | ボクシング・ダイアローグ

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日本ボクシングコミッション(JBC)が10日、WBA世界スーパーフライ級王者 井岡一翔(志成)選手に戒告処分、平仲ボクシングスクールジムの平仲信明会長(元WBA世界スーパーライト級王者)にプロモーターライセンス無期限停止処分を科したと発表。(ともに7日付)

 

井岡選手は、22年の大晦日(東京・大田区総合体育館)でのジョシュア・フランコ(米)戦後のドーピング検査で採取された検体から大麻成分(THC)の陽性反応が検出された件(昨年6月発表)の処分。

 

「井岡選手は、日本男子の世界戦最多勝利記録などボクシング界を代表するボクサーとして知名度が高く、その行動が業界に及ぼす影響は小さくない立場。


  常に品位を高め、ボクシング界の信頼を維持するよう務めることを期待されているその同選手が、日本において所持が禁止されているTHC-COOHを摂取する/摂取したとの疑いを完全に払拭できなかっのは、ボクシング界を代表するボクサーが違法に大麻を使用しているという疑念を生じさせた。

 

  よって、常に品位を高めボクシング界の信頼を維持するように努めなければならない義務を怠り、倫理規定第2条に違反したと認める」

 

要するに、ドーピング違反は完全に否定された訳ではないものの不問に付す(立証不可能)一方、ボクシング界のマイナスイメージに繋がる疑惑を生じさせた倫理的な部分には処分を科す、ということで、取り敢えず井岡選手の選手活動には事実上何の影響もない形の決着。

 

【 JBCのボクサーに対する処分規定は、軽い順に「厳重注意、戒告、制裁金、没収、ライセンス停止、ライセンス取り消し、の6段階 】

 

経緯としては、検出量が世界アンチドーピング機構(WADA)による上限(閾値150ng/ml)の基準値よりも少ない微量だったことから、ドーピング禁止を定めるJBCルール第97条には違反しなかったと判断したながらも、WADAの閾値に達していなくても大麻成分が検出されたという事実を問題視し、第97条「違反以外の各種規定違反」を理由とする処分の可能性について協議、漸くその結論が下された、という流れですが… 

 

(井岡陣営は一貫して大麻の摂取を強く否定)

 

それにしても、あまりに時間がかかり過ぎな感は否みようがナシ。

 

原因については昨年の発表当時、使用しているTHC成分を含有するワックスが影響した可能性がどうの、などと報じられていましたが、そもそも日本で通常の生活をしている日本人からそうした物質が検出されることが異常(思いがけない禁止物質の摂取に神経質なのが当たり前のアスリートなら尚更)という考え方からすれば、グレーのまま終わり=疑惑も結局そのまま残存、な印象。

 

【井岡選手の場合は、WBO同級王者時代の20年12月、田中恒成(畑中)選手との試合のドーピング検査でも簡易検査のA検体から大麻成分、その後のB検体の一部から禁止薬物が検出されて騒動になった経歴あり:その時は、JBC側の検体の管理態勢の不手際や検査の不備で検証が出来ず、処分なし&JBCが井岡サイドに謝罪して終了】

 

過去にはタトゥー騒動などもあり、個人的には好ましくは感じられないタイプの人物につき、観られる試合は観る(ボクシングというスポーツ自体のファンなので、試合と選手の人間性等の部分は切り離して考えるスタンス)にしても、やはり応援する気にはなれないな、という感じ。

 

タトゥーの件も、JBCに引退届を出した後、30過ぎてアメリカで入れて帰国し、国内で現役復帰してからは試合の際にファンデーションで隠せておらず剥き出しだったと批判を受けた他、一部からは帰国後に更に増えている(日本で新たに彫った=であればルール違反)との指摘もあったようで…

 

何というか街で普通に見掛ける、ワル系に憧れていた10代の頃から成長していない、アウトローぶるのがイケてると勘違いしているいいトシした中年とムチャクチャ被る気が。

 

年端もいかない子供はともかく、何かやってしまって問題になる前にいろいろ先のことを考えて言動するのが年齢相応の人間性となのでは、とは思うものの… 

 

とはいえ、結果どうなろうと自分で自分に責任を持てるのなら、他人がとやかく言うことではナシ&別に悪口を言うつもりもナシ。

 

それはそれとして、井岡選手の次戦については最近、引き続き対戦交渉継続中とされるWBC同級王者 ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)が方向変換し、6月にWBO&IBFフライ級王者 ジェシー〝バム〟ロドリゲス(米/帝拳)と防衛戦か !? という一部情報も。

 

WBAは1月の時点で指名挑戦者 ジョン〝スクラッピー〟ラミレス(米)との指名戦を指令済み、井岡陣営はエストラーダ戦実現の前提でラミレス戦の後回しの承認をWBAに申請しているらしいですが、統一戦がまとまらないようであれば次は指名戦に応じざるを得ない?

 

 

同じく10日、JBCは平仲ボクシングスクールジムの平仲信明会長(元WBAスーパーライト級王者)に対し、プロモーターライセンスの無期限停止処分を科したことを発表。

 

問われていたのは、昨年5月に北海道・札幌で行われた同ジム主催興行で起用したナイジェリア人の2選手が、その後プロライセンスのない日本国内在留の別人だったことが発覚した〝替え玉〟問題。

 

平仲会長はナイジェリア人のタレント、ボビー・オロゴン氏に仲介を依頼(オロゴン氏は、マッチメイクを更に別のナイジェリア人に委託)し、本来決まっていた出場選手2人、マネジャー2人、トレーナー1人の計5人分の航空券代やファイトマネーを入金したものの、当人達はナイジェリアからの入国も出国もなく、その穴埋めに「素人」を出場させて興行を催行したという一件。

 

【試合は、オロゴン氏の息子ジェイジェイがカジーム・ラワルとされる相手に、日本フェザー級1位(当時)リドワン・オイコラがサミュエル・モセスとされる相手にそれぞれ初回KO勝ち/問題発覚後、JBCはこの2試合の承認を取り消し】

 

JBCの説明によると、平仲氏は5人のビザ発給の申請結果と入国を確認しなかった上、前日計量の際にJBC職員がナイジェリア人3人のパスポート提示を求めるとこれを拒否、その身元について何らの報告をしないまま翌日の試合開催を強く要望し、14日の興行終了後は本来の招聘選手の本人が出場:既にナイジェリアへ帰国した、との虚偽の説明を繰り返し行っていたという内容。

この事態を受けてJBCは、これら平仲氏の行為はルール第35条第1項第13号に違反するものであり、制裁規程第2条第1号が定める規律違反行為「JBC試合ルールおよび同ルールにより制定された諸規則等に違反したとき」に該当する、として今回の処分を決定。

 

なおJBCも、試合前のパスポートの確認作業を怠ったことにより、安全管理をはじめ興行面でも観客を欺く前代未聞の不祥事となった点を踏まえ、担当の管理職を事実上の解職とするなど既に処分を遂行。


何としても興行ドタキャンは回避したかった、という思惑による不正だったろうことは察せされるにしても勿論あってはならないことで、これもちょっと酷すぎる話。

 

ボクシングが盛んでない、過去にあまり交流実績のない国の興行関係者が相手の場合は時に、本人確認などのチェックは厳重にやってほしい、と思います。

 

 

大阪府警南署が今月8日までに傷害・恐喝恐喝の疑いで逮捕した格闘技イベント「OSAKA KINGDOM」出場者を含む4名の中に、プロボクサーのヒロキングこと福重浩輝(KWORLD3)容疑者と元プロボクサーの大沢宏晋容疑者が含まれている、というボクシングファンにとっては残念な報道。

 

昨年12月、格闘技イベントの会場となっていた大阪市中央区のクラブで、マイクパフォーマンス中の容疑者の1人が来場していたティックトッカーの挑発に激怒、顔面を殴る暴行を加え全治2週間の怪我を負わせた後、スポンサーにつけと脅迫して後日30万円を自身の口座に振り込ませた疑い。

 

同署が全員の認否を明らかにしていないとのことで、詳細や事実関係は不明ながら、ボクシングに関わりを持つ2人は傷害ではなく、恐喝容疑での逮捕の模様。

 

現役の方には別に驚きも何もなかった一方、介護士として働きながら世界挑戦まで果たし、ファイトマネーは全額寄付していたという元ボクサーの方は意外な形で名前を目にしたことで、こちらは非常な驚き。

 

こうした事件の場合、知人として居合わせていただけで実際は何も関与していない、といったケースも少なくないため、報道内容に触れるだけでそれ以上はノータッチとしておきますが、この事態を受けてKWORLD3ジムは6月に予定していた試合の中止を発表。

 

 

残り半分ちょっとの3月のボクシング興行はそう多くもなく、その分ブログ更新の方も良くも悪くも頻度は少なくなるかな、な状況なだけに、この先はどうせ投稿するなら新たな注目戦が決まったとか、出来るだけそういう内容で占められたらいい、と思います。