【結果+観戦記】エマヌエル・ロドリゲス vs 西田凌佑[IBF世界バンタム級タイトルマッチ] | ボクシング・ダイアローグ

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 5月4日

エディオンアリーナ大阪第1競技場:大阪

 

◇IBF世界バンタム級タイトルマッチ◇

 

王者 

エマヌエル・ロドリゲス

(31=プエルトリコ:22勝13KO2敗1NC)

vs 

挑戦者1位 

西田凌佑

(27=六島:8戦全勝1KO)

 

当日計量(バンタム級リミットの+10ポンド=約4.5キロ以内:58キロまで)を、ロドリゲス57.4キロ、西田選手58.0キロ[前日計量はロドリゲス53.4キロ、西田選手53.5キロ]でそれぞれクリアし、開催されたIBFの指名戦。

 

結果は 西田選手が 3-0(117-110、115-112×2)の判定勝ちで新王者。

 

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重心をやや前に置くロドリゲスに対し、サウスポーの西田選手は逆に重心をやや後ろに引き、静かに牽制し合う立ち上がり。

 

2ラウンド、ややセーブしているようにも見えるロドリゲスに対し、西田選手が軽い単発打ながらも左ストレートや右フックを当てると、続く3ラウンドはペースを掴みたいロドリゲスも前に出て、力の入ったパンチの交換、ただロドリゲスは序盤の時点で表情にハッキリと焦りの色。

 

4ラウンドの半ば、接近戦に応じていた西田選手の左ボディアッパーが炸裂すると、苦悶に顔を歪めたロドリゲスが片膝&両手をバッタリとキャンバスに着くダウン。

 

劣勢になったロドリゲスは、5、6ラウンドと距離を詰めて反撃、対サウスポーの定石のひとつ、ジャブを略したいきなりの右ストレートなどをヒットして盛り返し。

 

7ラウンドあたりからは、足を止めた西田選手がボディ狙いを再開し、腹をカバーしつつ近距離で打ち合おうとするロドリゲスと鋭いパンチを応酬、9ラウンドあたりになると挑戦者は右目の腫れがかなり進行していたものの、以後も変わらず積極的な攻勢。

 

危機感が表情にあからさまなロドリゲスは、しかし西田選手のプレス&ボディブローへの警戒から得意の中間距離での打ち合いに持ち込めず、さほど差のない後半~終盤戦のラウンドの多くを失った感。

 

ポイントで明白にリードしている印象の西田選手は、最終12ラウンドも守りに入ることなく攻勢をとり、優勢なイメージを維持したまま試合終了のゴング。

 

ジャッジの公式採点は、3ポイント差が2人に7ポイント差が1人でしたが、西田選手の勝利は文句ナシな内容。

 

新王者は

 

「自分のボクシングをして通用しなかったら、ひたすらボディを叩く作戦だった。

 ただ、そのパンチで倒した後はイケると思ってしまい、それ以降は向こうにも見えやすいボディばかりだったので効かなかった。ちょっと変に力んでしまった。

 ずっと足を使うのも無理だと分かっていたので、無駄に下がらないようにと意識した」

 

と冷静な見解をコメント。

 

他団体の同級王者[WBA 井上拓真(大橋)、WBC 中谷潤人(M.T)]について聞かると

 

「この試合に全てをかけ、負けたらやめようと思っていたので、先のことは考えていない。

 実力的には他のチャンピオンが強いと思うが、自分ももっと強くなる」

 

と返答。

 

一方、昨年8月にメルビン・ロペス(ニカラグア)を判定で下し、前4団体統一王者 井上尚弥(大橋)選手が返上したIBFタイトルを奪還する形で返り咲いたロドリゲスは、2期目王座の初防衛に失敗して陥落。

 

「試合には満足している。今日は西田が強かっただけ。

 

 ダウンを奪われたのは(2019年)井上尚弥に倒されて(2019年)以来キャリアで2戦目だっだが、実際にあのボディは効いた。

 

 それ以降は立て直せたが、西田が接近戦を挑んで来たのは想定外で、距離を取ってステップを踏む戦術を想像していた。

 自分のパンチに耐えられたことも想定外だった」 

 

と敗北を認めると共に、西田選手の予想外のファイトプラン&強さを称賛、今後については「しばらく休みたい」と力なくコメント。

 

西田選手の気迫が伝わって来ると同時に、ロドリゲスにペースを渡さず、ハッキリした差のない後半~終盤戦のポイントの多くを引き寄せたことが勝因だったと感じましたが、とにかく内容の濃いファイトでの戴冠劇。

 

ロドリゲスは、モンスターに倒された時の最後のダウンも左ボディでしたが、やはり腹に弱点を抱えているのは確かなのかな、と。

 

何にしても、昨日の投稿でも書いたとおり、もう少しアンダーカードを充実させてほしかったとは思ったものの(音楽&ダンス?のショーが合間合間に入っていたようだったため、メインの世界戦だけしか観ていませんが)...

 

好感度の高い新王者誕生に加え、矢吹正道&力石政法(共にLUSH緑)選手兄弟の解説なども良かったという率直な個人的感想です。

 

ついでながら、自分の採点は 117-110 で西田選手でした。