【結果+観戦記】ミケーレ・マグネシ vs 力石政法[WBCシルバー王座&挑戦者決定戦] | ボクシング・ダイアローグ

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3月22日(日本時間23日):伊ラツィオ州ローマ・コッレフェッロのパラツェット・ロンボリで行われたWBCスーパーフェザー級挑戦者決定戦&WBCシルバー同級タイトルマッチ、王者/WBC6位 ミケーレ・マグネシ(29=伊:23勝13KO1敗)vs 挑戦者WBC5位/WBOアジアパシフィック同級王者 力石政法(29=LUSH緑:14勝9KO1敗)。

 

マグネシは昨年10月、ニケ・ゼラン(コロンビア)に判定勝ちして以来のリングとなり、シルバー王座2度目の防衛戦。

 

黒星は3戦前(22年9月)にアンソニー・カカセ(英:IBO〝世界〟同級王者)に2ー1判定負けを喫したのみで、欧州圏内でのキャリアながら徐々にポジションを上げ、世界挑戦チャンスを窺える所までランクアップ。

 

一方、初の海外試合の力石選手は、元世界ランカーのリカルド・ヌネス(パナマ)を3ラウンドKOした昨年6月以来のリング。

 

昨年11月にセットされていたカルロス・フローレス(メキシコ)戦が試合間近のタイミングでキャンセル(フローレスがパスポート盗難被害に遭い来日できず)となった影響で、9ヶ月ぶりの試合とやや久々の形。

 

WBCの指名挑戦権をかけ、日伊の29歳同士が激突した一戦…

 

結果は 力石選手が 12ラウンド 2:34 TKO勝ち。 

 

 

[ABEMAの生ライブ配信で観戦]

 

手数で勝負するタイプのマグネシが初回から積極的に出、サウスポーの力石選手選手は下がりながら迎え撃つ立ち上がり。

 

2ラウンド以降も、肉薄して接近戦を挑むマグネシに対し、圧される中で力石選手が反撃する展開が続き、ペースは序盤の時点で前に出て手を出しヒッティング率でも上回るマグネシが完全に掌握、逆に力石選手は相手の前進を止めるためのリードブロー等よりも一発狙い的なパンチが目立ち、手数も乏しい良くない流れ。

 

(4ラウンド終了時の公開採点:40ー36、39ー37×2で3者ともマグネシ)

 

4ラウンドにマグネシの左フックをもらった力石選手が足をもつれさせるシーンがあったものの、続く5ラウンドはマグネシのプレスが弱まったことを利用し、サークリング&ジャブで立て直し。

 

ただ効果的な攻撃には繋げられず、引き続き攻勢点で地元のシルバー王者が優勢をキープ。

 

6ラウンド、開始直後から力石選手が鼻から出血、チャンスと見たかマグネシは再び圧力を強め返して突進、足を使って凌ぐ中で打ち返す力石選手のパンチも時おり当たるながら相手が得意とする近距離のため威力はイマイチ、形勢を変えるには至らず。

 

(8ラウンド終了時の公開採点:78ー74×3でマグネシ)

 

が、終盤戦に入った10ラウンド、右フックのヒットを起点に力石選手が思い切った連打で反撃、終了間際の力のこもったパンチの応酬に打ち勝ち、ダメージを負ったマグネシが急激にペースダウン。

 

11ラウンド、マグネシはロープを背負って力なく守りに入るなど、10ラウンド途中まで維持してきた前進&勢いをなくして失速、ここぞと開始からスパートをかけた力石選手が完全に優位に立つも、しかし打ち疲れたか手数&ヒット精度が落ち、詰め切れず。

 

このままマグネシが粘って持ち堪えれば、9ラウンドまでの蓄積でポイント逃げ切りか… な状況で迎えた最終12ラウンド、開始から30秒あたりの所で力石選手の右フックが炸裂、マグネシが横倒しに倒れ、遂にダウン。

 

土壇場に追い込まれた心理の裏返しか、マグネシはスリップをアピールするも完全に効いているのは明白で、再開後の力石選手の左フックであっさり2度目のダウン。

 

これも立って続行されたものの、レフェリーに力石選手から引き離された直後にヨロヨロと後退し尻餅を着きスリップダウン、もう危険ではと思えるフラフラ状態。

 

非スマートなレフェリングもあり、残り時間の少なさにマグネシの終了ゴング逃げ込みもある?という逼迫の中で力石選手の最後の猛攻、ロープに詰まったマグネシが再三の被弾でディフェンスもできなくなった所で漸くレフェリーが止め、試合終了。

 

 

見応えのある熱戦の末、力石選手が逆転TKO勝ちでWBC挑戦権&シルバー王座を獲得。

 

9ラウンドまでの採点(ジャッジ2人以上)がマグネシの5ポイントリードなら、もし最終ラウンドにTKOできていなければドローだった計算(10&11ラウンドを10-9、12ラウンドを10ー7でそれぞれ力石選手が取っていた前提で113ー113)になり、倒し倒されとはまた違う種類の逆転決着。

 

これで指名挑戦権獲得となれば、自ずとターゲットはWBC王者 オシャキー・フォスター(米)で決まり、な感じですが…

 

昨年9月に対戦内定がご破算になったIBF王者 ジョー・コルディナ(英)もまだ候補に残っている、との話も一部にあるようで、現時点ではフォスター一本に絞っている訳ではなく、複数構えの選択肢で行く?模様。

 

フォスターは今年2月、選択防衛戦でアブラハム・ノバ(プエルトリコ/米)を2ー1判定で下してV2、次戦でWBCから指名戦を指令される可能性はかなり高そうな一方、WBCは1位のムハマドフジャ・ヤクボフ(タジキスタン=22年3月、シルバー王者時代のフォスターと対戦して判定負け)がこれより先に挑戦権を確保していたような記憶が。

 

そのとおりであれば、力石選手が狙いをWBCに定めてもチャンスが回ってくるのはヤクボフの次になる筈で、少なくとも年内の挑戦は相当に厳しそうな感。

 

(因みにシルバー王座は、今回はマグネシ側の要望でタイトルがかけられたものの日本では非公認につき、おそらくそのまま返上することになると思われます)
 

部外者の想像からすると、いったん成立したのを破談されたというコルディナと再交渉&対戦締結できる可能性は現実的に低そうと感じるので、やっぱり確実なのはWBC、だとすれば早くて来春 !? とのイメージですが…

 

とにもかくにも今日の勝利で確実に前進したことは間違いない筈ですから、取り敢えずボクシングファン的には、今のところは各王者の動向やタイトルの推移にしっかり注目しておくの最善、かと思います。