12月26日
有明アリーナ:東京都江東区
[世界スーパーバンタム級4団体統一戦、井上尚弥vsマーロン・タパレス興行アンダーカード:Leminoの生ライブ配信で観戦]
◇日本バンタム級タイトルマッチ&モンスタートーナメント決勝戦◇
王者
堤聖也
(28=角海老宝石:9勝7KO無敗2分)
vs
挑戦者3位
穴口一輝(23=真正:6戦全勝2KO)
結果は 堤選手が 3-0(95-91、94-92×2)の判定勝ちでタイトル4度目の防衛&トーナメント(賞金1000万円)優勝。
サウスポー同士の一戦は、軽快に動いて当てる穴口選手が序盤からペースを握り、堤選手は3ラウンドの打ち合いで左瞼の上をカットし、ドクターチェックが入る厳しい展開。
両者とも小刻みにキビキビした動きながら、パワーで勝る王者がかけるプレッシャーを挑戦者が素早い身のこなしでかわし、巧く流れを掴んだ感。
4ラウンド、傷を意識し少々強引に詰め寄る堤選手を穴口選手が冷静に迎撃、しかし残り15秒くらいの所で王者が左ストレートからの右フックを決めると挑戦者が後退、そこに左のフォロウで穴口選手が背中から倒れるダウン。
5ラウンドは、到来したチャンスをモノにして仕留めたい堤選手と、立て直しを図りたい穴口選手がそれぞれの思惑で接近戦、6ラウンドは挑戦者がアウトボックスに戻して修正、2度目のドクターチェックを受けた王者の方は焦りの色。
いつ負傷TKO負けを宣告されるかわからない&5ラウンド終了時の公開採点でリードされていた(48-46×2 穴口、47-47)堤選手は、右スウィッチを交えて食らいつきしつこく前進、これが功を奏して7ラウンドには左ストレートが決まり、穴口選手が尻餅をつく2度目のダウン。
8ラウンドも堤選手が積極的な攻撃、ただヒッティング精度はややセーヴしながら当てる穴口選手の方が上で、判定決着になった場合のポイント差がいよいよ気になる状況。
9ラウンド、1分を経過したところで堤選手の被せるような右が当たり、追撃打で穴口選手が前屈みに3度目のダウン。
ダウン自体はプッシュ気味にも見えたもののダメージは深く、KOの雰囲気も漂ったながら穴口選手も必死に打ち合って凌ぎ、激戦はラストラウンド突入。
この回のポイントをとった方が勝ち、という形で迎えた最終10ラウンドは一進一退、どちらにも振り分けられる展開で迎えた終了直前、堤選手の起死回生の右→左が炸裂、持ち堪えられず4度目のダウンを喫した穴口選手が立ち上がったところで試合の終わりを告げるゴング。
個人的な採点も2ジャッジと同じ94-92でしたが、これはダウンがあったラウンド以外はすべて穴口選手が取っていた、ということで、もし最終回を挑戦者が倒れず10-9で抑えていたら王者交代だった形。
激闘を制した堤選手は既にランキング上位に名を連ねており、試合後のインタビューで来年の世界タイトル奪取を宣言していましたが…
国内のバンタム級の有力どころは、同じリングに登場した武居由樹(大橋)選手をはじめ、IBFの指名挑戦権を持つ西田凌佑(六島)、同じくWBAの指名挑戦権を手にしている石田匠(井岡)、2階級制覇を目指す比嘉大吾(志成)の各選手がいる一方、さらにそこに那須川天心(帝拳)選手もスーパーバンタムから下げてくる、という活況状態。
戦線の現況&近い展望としては
WBA:来年2月24日に行われる王者 井上拓真(大橋)vs ジェルウィン・アンカハス(比)の勝者が、石田選手と指名戦の見込み。
WBC:井上vsアンカハスと同じ興行で前WBOスーパーフライ級王者 中谷潤人(M.T)選手が王者 アレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)に挑戦することが正式発表済み、先ずはこの一戦の結果待ち。
IBF:おそらく年明けに王者 エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)vs 西田が指令される筈で、その前にロドリゲスが選択防衛戦を行う可能性は相当に低そう。
WBO:王者 ジェイソン・モロニー(豪)が来年1月13日にサウル・サンチェス(米)との防衛戦を控えており、これも一先ず結果待ち。
という感じで、ターゲットの想定も絞りにくい状況。
穴口戦は白熱の好ファイトだったとはいえ、世界挑戦の前提としては危うい内容だったため、今のうちに少しでも修正点を強化しておくのが大事では、と思います。
◇スーパーライト級8回戦◇
IBF10位
平岡アンディ
(27=大橋:22戦全勝17KO)
vs
セバスティアン・ディアス・マルドナド
(30=メキシコ:18勝13KO6敗1分)
結果は 平岡選手が 5ラウンド 1:07 TKO勝ち。
共にサウスポースタイル、初回もうすぐ1分半のあたりで平岡選手の右フックが決まるとディアスが尻餅をつき、早くもダウン。
早々に優位に立った平岡選手は、以後ジャブとフットワークで距離を維持、小柄なディアスは逆に接近戦に持ち込もうと前進するも流れは変わらず、4ラウンド終了間際には平岡選手が相手をロープに詰めて好打を連発。
そして5ラウンド、開始と同時に平岡選手がスパート、ローブローによる中断を経たのち再びロープに追い込んで数発の連打をまとめると手の止まったディアスがバランスを崩し、そこにレフェリーが割って入って早めのタイミングでTKOの宣告。
完全に調整試合だった感じながらも、平岡選手がまる1年ぶりのリングで無難に勝利。
先の堤選手と同様、来年は世界挑戦を目指す流れが既に出来ていますが… 選手層の厚いスーパーライト級ということで、まずマッチメイク自体が難しいのは想像に難くないところ。
WBC王者はスターのポジションに達したデビン・ヘイニー(米)、WBO王者もライト級に続く2階級制覇で再び注目を浴びているテオフィモ・ロペス(米)と、取り敢えずこの2人への挑戦は現実味が極薄。
IBF王者のスブリエル・マティアス(プエルトリコ)はデンジャラスなハードパンチャーだけに、大橋会長もわざわざ選んでまでターゲットにはしなさそう。
となると、消去法的には年明けの6日にラスベガスで行われるWBAの決定戦、オハラ・デービス(英)vs イスマエル・バロッソ(ベネズエラ)の勝者が標的?
実績は欧州圏内、強豪というほどのイメージはないデービス(25勝18KO2敗)と、一発パワーはあっても打たれ脆く既に40歳のバロッソ(24勝22KO4敗2分)なら、どちらになってもマッチアップと勝機の両方の意味でチャンスはありそう?な気はしますが…
個人的には正直、平岡選手の線の細さやスピード不足が気掛かりな感じです。
◇54.5キロ契約8回戦◇
WBCスーパーバンタム級9位
武居由樹
(27=大橋:7戦全勝全KO)
vs
マリオ・ディアス
(28=メキシコ:21勝9KO6敗)
結果は 武居選手が 2ラウンド 2:23 KO勝ち。
離れた間合いからディアスが入って来るところに、サウスポーの武居選手がパンチを合わせていく立ち上がり。
武井選手の大振りとリキみが目につく流れで迎えた2ラウンド、ここまで何度も放っていた振りかぶるような大きなモーションの左ボディフックが命中、屈んで崩れ落ち横に転げて悶絶したディアスはそのまま立てず、試合終了。
平岡選手と同じく、これもチェーンナップという感じの試合でしたが、大橋会長は武井選手についても来年の世界挑戦計画をコメントしており、実現の可能性はかなり高い?
バンタム級の世界戦線は先述したとおりの図式で、同僚の井上選手=挑むことは現実的にないWBAを除くと、狙いは他のWBC、IBF、WBOの3つ。
WBCは中谷選手がサンティアゴからベルトを奪う可能性が高いと思われるものの、武井選手との日本人対決となると組みやすいのか逆にそうでないのか、部外者には推測不能。
IBFは、指名戦の指令のタイミングや交渉に要する期間など読みにくい要素が多く、まずはその確定&結果待ちが前提。
WBOは、モロニーvsサンチェスが来年1月上旬ということで一番先に結果が出ることもあり、単純なイメージ的にはどちらが勝ってもその次戦で対戦できそうな気は少なからず。
ただ何れにしても、踏み込みの際にガードが下がって無防備になる部分などは、堤選手と同様チャンス待ちする間に改善しておく必要があると思います。
◇49.5キロ契約8回戦◇
日本ライトフライ級ユース王者
坂間叶夢
(20=ワールドスポーツ:8戦全勝7KO)
vs
ジョン・ポール・ガブニラス
(23=比:10勝7KO2敗)
結果は 坂間選手が 5ラウンド 2:35 TKO勝ち。
一進一退の展開から、5ラウンドに坂間選手がボディブローを起点にガブニラス追い込んでレフェリーストップ。