12月26日
有明アリーナ:東京都江東区
◇世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦◇
WBC&WBO王者
井上尚弥
(30=大橋:25戦全勝22KO)
vs
WBA&IBF王者
マーロン・タパレス
(31=比:37勝19KO3敗)
結果は 井上選手が 10ラウンド 1:02 KO勝ちで4王座統一:WBA&IBF奪取と共に、WBC&WBOタイトル初防衛。
[Leminoの生ライブ配信で観戦]
井上選手の右ボディアッパーをオープニングヒットに始まった試合は、サウスポースタイルのタパレスがガッチリとガードを固め、ことのほか慎重な立ち上がり。
プレッシャーをかけて出る井上選手に対し、重心を後ろにかけたスタンスのタパレスは悪く言えば腰が引けて見えるような強い警戒ぶりで、3ラウンドに入るとモンスターが両手を広げて打って来いのポーズ。
4ラウンド、ガードが下がり始めていたタパレスが攻めの姿勢を見せるも、上下に打ち分ける井上選手の強打に圧されて単発。
そして残り15秒くらいの所で井上選手の左フックが命中、効いたタパレスがロープ前に後退すると間髪置かずに連打をかけ、再び左フックが決まるとタパレスが前屈みにダウン。
苦笑いを浮かべカウントを聞くタパレスが立ち上がり、再開された直後にラウンド終了ゴング。
チャンスの井上選手は5ラウンド開始と同時にラッシュ、しかしピンチのタパレスは時おり打ち返して粘り、浅いながらもアッパーを当てるなどして抵抗。
6ラウンド以降は、既にタパレスのパターンを見切ったかの井上選手もガードを下げ気味にしてプレスアップ、対するタパレスはL字ガードでボディをカバーしつつ小さなスウェイ&バックステップでモンスターのハードパンチの威力を半減させ、時に軽いながらもジャブなどをヒット。
タパレスの柔軟さプラス下がって芯を外すディフェンスに、右が流れがちのモンスターが攻めあぐねている感が強まって、判定決着の予感も少なからず漂い始めた終盤戦… 突如それを霧散させる猛打爆発の時が到来。
10ラウンド、劣勢を意識してか先手を取って出たタパレスの出鼻を井上選手がワンツーで叩いて止めると、さらにもう一度ステップインを利かしたワンツー。
ツーの右をテンプルのあたりに受けたタパレスは、ロープ際に後ずさってバッタリ両手・両膝を着き、この試合2度目のダウン。
ダメージは深刻、片膝を立て上体を起こすのが精一杯のフィリピンのナイトメアは、そのまま立てずにカウントアウトで試合終了。
井上選手のKO勝ちは殆どの人が予想していた筈につき、結果的には順当な形で終わった訳ですが…
タパレスが被弾を抑えるためにディフェンシブ&その中でカウンターを狙う消極系の戦術を採ることは予想できたにしろ、あれほど辛抱して粘ったことと決着が10ラウンドまで長引いた部分は予想外でした。
以前に観たのと同じままのタパレスだったら、5ラウンドの井上選手の猛攻時や、何度か決まっていた強烈なボディショットで倒されていたように思いますが、今日は気合充分、敗れたとはいえ大健闘だった印象。
ただ、まともな被弾は巧く防いでいたとはいえポイントをとれるほどの戦術ではなく、おそらくジャッジの採点は井上選手の一方的なリードだった筈。
(個人的な採点ではモンスターのフルマーク)
それはともかくとして… タパレスのファイトプランがこれでは判定にもつれ込む可能性もあるな、という状況を一気に吹き飛ばして仕留めた井上選手には言葉もナシ。
試合後、薄いアザひとつなくインタビューを受けているのを観て、タパレスが相打ち覚悟の際どいタイミングでパンチを合わせに行っていたのもやっぱり見切っていたんだな、と改めて凄い選手であることを実感。
今後2年ほどはスーパーバンタムで戦うと明言している井上選手は、今日のリングでスーパーバンタム級4団体すべての王座を獲得した以上、このクラスで行う試合は防衛戦のみ。
WBCは、先月の総会時に指名挑戦権を持つルイス・ネリ(メキシコ)との指名戦を(ネリに対し)指令済み。
IBFは、まだ指令は出していない筈ながら、サム・グッドマン(豪)が同様に指名挑戦権を獲得済みで1位にランク。
(オフィシャルチャレンジャーではないものの、WBOでもランキング1位)
そしてWBAも、先々週のエリミネーターに勝利した前WBA&IBF王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)が指名挑戦者となったばかりで、順番はともかく井上選手の対戦者はもう大体決まっているに等しい状態。
来年5月が有力とされる次戦はネリが最有力らしい?ですが、取り敢えず暫くの間は2階級4団体統一の余韻に浸っていたい気分です。
[ダラダラ長文になりがちなのが自分の悪癖につき、同興行のアンダーカードについてはこれと分けて別に投稿します]