【ブリッジャー/スーパークルーザー級】ボクシング世界王座:リアルタイム状況チェック | ボクシング・ダイアローグ

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世界王座をめぐる、リアルタイム状況のチェック&おさらいシリーズも大詰めの Part.17「ブリッジャー/スーパークルーザー級」。

 

現状、この200~224ポンド(約90.72キロ~約101.61キロ)級を設置しているのはWBCとWBAの2統括団体だけながら、全階級のタイトルの現状がテーマとなれば省く訳にもいかない… という訳で要点を羅列。

 

 

【WBCブリッジャー】

 

王者:ルカシュ・ロザンスキー(37=ポーランド:15戦全勝14KO)

 

暫定王者:ケビン・レレナ(31=南アフリカ:30勝14KO2敗)

 

[20年11月9日、ヘビー級とクルーザー級の中間に創設を決定、その翌月にはランキングが発表されたものの新型コロナ禍の影響もあって、王座決定戦は1年近く行われず。

 

 21年10月、オスカル・リバス(コロンビア)vs ライアン・ロジッキ(加)で漸く決定戦が開催され、判定で勝利したリバスが初代王者となるも、翌年の初防衛戦がキャンセルとなった後に網膜剥離を発症→ 休養王者スライドを経て1度も防衛戦を行わないまま引退、の経緯]

 

ロザンスキーは今年4月、リバスの引退・返上で空位となった王座の決定戦で、アレン・バビッチ(クロアチア)を初回TKOして戴冠。

 

それから既に8ヶ月が経過しているものの、今のところまだ次戦の具体的な話はない模様。

 

レレナは、昨年12月に当時のWBAヘビー級レギュラー王者 ダニエル・デュボア(英)に挑んで敗退(大逆転の3ラウンドTKO負け)した後にブリッジャーに移り、今年11月にセナド・ガッシ(独)に判定勝ちして暫定王座を獲得。

 

もともとはクルーザー級(マイナー団体IBOの〝世界〟王座獲得・防衛6)だったのが、昨年から本格的にヘビーに転級、しかしデュボア戦でナチュラルウェイトの差を感じたのか再起後は新階級を選択、次戦は同様にまだ未定らしい状況。

 

※WBC最新ランキング(11月度)では、レレナはインターナショナル王者の表記。

 そもそも暫定王座設置の理由も経緯も伝わっておらず、実際にはインター王者なのかも?というあやふや状態。

 

ロザンスキーの不活性が原因での同一階級2王者なのであれば、取り敢えずWBCは今すぐ団体内統一戦を指令し、先ずはタイトルを1本化すべき。

 

そうすることで、両者の次戦も自ずと決まる訳ですので。

 

 

【WBAスーパークルーザー】

 

王者:エフゲニー・ティシェンコ(32=露:13勝8KO1敗)

 

[今年の11月30日(12月1日とする情報も)に、ヒルベルト・メンドサ会長の提案を執行委員会が全会一致で承認、WBCに事実上追従する格好で新設が正式決定。

 

 ランキングが間髪置かずに制定された後、もともとノンタイトル12回戦(もしくは10回戦)としてセットされていた 1位 ティシェンコ vs 2位 ハースの試合を急遽スーパークルーザー級王座決定戦に認定し、勝ったティシェンコが初代王者に… の流れ]

 

※ついでながら、WBAの最新ランキング(11月度)を見ると、スーパークルーザーではなくブリッジャー級の名称で表記

 

ティシェンコは、トップアマ(リオ五輪&2015世界選手権ヘビー級で金メダル)からプロに転向、クルーザー級でキャリアを積み9戦目にタビソ・ムクヌ(南アフリカ:前WBCクルーザー級王者イルンガ・マカブに挑戦経験がある中堅ランカー)に判定で敗れて初黒星。

 

再起後もクルーザー級で戦っていたのが、スーパークルーザー新設のタイミングでこの新クラスに転級、今月9日のレオン・ハース(独)との決定戦に6ラウンドKO勝ちして王座獲得/初代王者。

 

今月戴冠したばかりということもあり、やはり次戦の予定はまだ聞こえて来ず。

 

 

一方、ランカー陣をチェックしてみると、上位&トップ10は概ねクルーザーから上げてきた顔ぶれが多い印象。

 

WBA3位のアレクセイ・エゴロフ(露:昨年11月、WBA王者 アルセン・グラミリアンに挑んで判定負け)は、1位ティシェンコが王座戴冠でランキングから名前が消える&2位ハースもティシェンコ戦の敗北でランクダウンが確実なだけに、次回ランキングは繰り上げで1位?

 

他、名前が通っている上位ランカーは、WBCクルーザー級王座を返上してこのクラスで世界4階級制覇を狙うバドゥ・ジャック(スウェーデン)がWBA4位

 

同じくWBAクルーザー級レギュラー王座を返上して2階級制覇を窺うリャド・メルウィー(コートジボワール/ベルギー)がWBC1位/WBA7位

 

と、世界王者を経験している2人が有力どころ。

 

WBC3位/WBA8位のアンドリュー・タビティ(米:19年6月、当時のIBF暫定王者 ユニエル・ドルティコスに挑み10ラウンドKO負け)もクルーザー級から転級してきた組ながら中堅の感は否めず、層の薄い新階級とはいえ世界はどうか?なイメージ。

 

世界初挑戦を目指す組としては、WBC2位のアダム・バルスキー(33=ポーランド:18勝10KO2敗)やWBA5位のローマン・フレス(29=独:19勝12KO1敗)あたりが好戦績なものの、世界のレベルかどうかとなると…。

 

 

実際問題として、ブリッジャー/スーパークルーザー級の人材は当面、クルーザー級ではウェイトがキツいクルーザー級選手が上げてくる&ヘビー級では体格で不利な選手が下げてくる、の概ね2パターンで構成されることになるのは明白ですが… 

 

ただ、そこは取り敢えず現実的に仕方ない、と容認すべき部分。

 

その中で、単に実力的に通用しなかっただけのヘビー級選手は脱落し、とにかくチャンピオンになりたいからと層の薄さを当て込んで転級したクルーザー級選手もまた同様にふるいにかけられて消える、と考えれば…

 

暫く年月はかかるにしろ、少なくとも理屈的にはこのクラスが適正ウェイトという好選手が徐々に出てくる筈。

 

個人的には、少なくともブリッジャー/スーパークルーザーに反対一辺倒の側ではないので、先ずはとにかくこの階級のタイトル戦と試合を増やしてほしいところです。