むね歯科クリニック院長 歯周病インプラント専門医の笹生です。
三寒四温じゃないですが、10月なのに夏のような陽気に包まれていますね。
さて、北イタリアの地方都市ヴェローナで開催された「SJCD International Summer Seminar in Italy」。初日のWelcome Party、イタリアンのコース料理の後になぜか日本食レストランへ出向くことになった私達でした。
もちろん翌日もセミナーが続きます。初日のインプラント外科、解剖、歯周外科といった基礎系よりではなく、2日目は歯冠補綴、修復の最終形態を目標とした分野が中心となります。
2日目前半の講演は Mauro Fradeani先生です。
イタリアのみならず、審美歯科治療では有名な先生ですが、今回の目玉は審美治療それだけにとどまりませんでした。
なんと、Fradeani先生が自ら監修して開発に当たったという、審美歯科診断用アプリ「Get App」の紹介とそれらを用いて展開されるため息しか出ないような治療を、目一杯見せていただきました。
そして補綴(被せ物)を担当される先生ですし、イタリアですからデザインセンスは抜群です。それはもちろんプレゼンテーションにも反映されていて、目を見張るきれいな写真の数々と、センスの良いフォント。
後日談ですが、最後のパーティの席で、他の先生方も同じような感想を持たれたようです。歯一本とっても写真映えがよいのですが、これは日本でやってもウケない(確かに、他の会なのでは「記録性が優先されるべきで美術写真ではない!」と一喝されることがあると聞いたことがあります)とか、アメリカではフォントに赤い字(基本的にヘルベチカという名称のフォントを黒字で使うことが推奨されていることが多いのです)を使うとその時点で修正が入る、などという話がでていました。
質疑応答も盛り上がり、やはり時代はデジタルデンティストリー(コンピュータや3Dプリンタなどを多用した歯科治療)なのだと実感しました。ちなみにFradeani先生は講演の最後にアプリケーションソフトを開発しても、売上の殆どはアップルが持っていくとの嘆き節を語っていました。もっともこれは、GetAppにかぎらず、タブレット端末でも使えるアプリの開発者が同じように語っている内容でもあるので、先生自身が携わっているのが作製監修のポーズだけではなく、本音なのでしょう。
続く午後の講演は Roberto Spreafico先生。
半蔵門で開業されている岡口先生が、このSpreafico先生のダイレクトレストレーション(白い詰め物で直接歯を形作っていく手法)に感動してダイレクトを始めた、というくらいこの手の治療では最初期から行っている先生です。
「...先生です。」なんて、訳知り顔で書き留めていますが、実は自己紹介の途中に出てくるスライドを見て、俄然かぶりつきで、見入ってしまうことになります。
話は半年前に遡ります。
この4月に顕微鏡歯科学会がありました。その際、学会(プレスカンファレンス)で講演をした同期で岩手県開業の佐藤先生の発表に、少しばかりお手伝いをさせていただきました。佐藤先生の講演テーマもダイレクトレストレーションで、その論理背景を探る必要があったのですが、この分野では残念ながらいわゆる「教科書」というものが存在しません(正確には、それっぽいものは多くあるのですが...しっかりと論理展開しているハードカバーの本がほぼないのです)。あちこち調べまくった結果、私は一冊の本に行き当たります。それが、こちら。
「Adhesive Metal-Free Restorations」
初版が1997年ですから20年前の書籍なのですが、未だにアマゾンでは中古が高値で取引されるくらい、貴重な本です。曲折を経て、入手し、佐藤先生の講演に多少なりとも協力できたのですが、この著者の一人が誰あろうSpreafico先生。
ソレを知った瞬間、ギャーともキャーとも言えない声を発し、食い入るように講演を聞きます。いやあ、日本から書籍を持参してサインでも書いてもらえばよかった...
やはり20年の歳月は、人を俟ちません。書籍の内容からは長足の進歩を遂げており、ダイレクトレストレーションといえど、Fradeani先生同様にプレゼンテーションは目を見張る内容でした。また、経過例や統計値からの示唆もあり、とても勉強になる内容でした。
あまりに感動したため、Cortellini先生同様に最後まで残り無理を言って、写真を撮らせていただきました。
そして、最後はFarewell Party.
前日の着席でのコース料理とは変わって、講演会場の下の広間を使ったビュッフェスタイルです。
その後は、また懇意の先生方と地元でも美味しいというお店に移動して2次会。今回はさすがに、日本食ではありません。お肉とパスタ、そしてワイン。しっかりと味が濃いので少しでお腹いっぱいになります。
明日はいよいよ、ヴェローナから、そしてミラノを経由してイタリアを離れます。




































