むね歯科クリニック院長 歯周病インプラント専門医の笹生です。
もう2月も終盤です。
盛り上がらないと噂された平昌オリンピックも、史上最多13個のメダルとともに閉会しましたね。次はいよいよ東京の番ですが、果たしてどうなりますか。盛り上がって欲しいものです。
さて、オリンピックのカーリング女子が盛り上がるさなか、私は先月に引き続き早朝の羽田空港にいました。朝日を浴びる飛行機に乗って向かうは大阪。先月から続く歯科用顕微鏡を用いた手術手技の実際を学ぶ、ハンズオンコースに参加してまいりました。
会場は先月と同じく、㈱ヨシダ大阪支店のセミナー会場。講師は京都でご開業の中田光太郎先生です。
私が専門の一つとする歯周病治療は、時間とともに崩れ行く口の中の組織との戦いでもあります。その治療の中の一つの方法として手術があります。放っておけば、あるいは、放っておいた結果失われてしまった組織を手術によって再生、修復、回復させようと試みるわけです。治療法そのものは、随分と昔からあるものですが、ここ最近では手術用顕微鏡の活用によって、精緻な治療が可能になり術後の経過も成果も、格段に改善が見られます。
顕微鏡を用いた治療は、ここ最近の方法であるために一方でなかなか技術を身につけるのが難しい面があり、常に技術のブラッシュアップが求められます(と個人的には思っています)。しかし顕微鏡を用いるセミナーがなかなか開催されていないこともあり、良い評判を聞けば、多少遠方でも出向いて受講するようにしています。
この、歯周病に手術で対応する手法を「歯周外科」といいますが、この手法は私が行う一連の治療の中ではかなり頻度高く出てきます。セミナーがなかなか開催されない、と先述しましたが、私のように頻繁に行う先生もいればほとんど行わない先生もおられます。どうしても限られた領域になってしまう上に、さらに顕微鏡使用となると、レア度が一気に増すのでしょう。
レアなだけにセミナー参加の先生方も個性的で面白いのですが、やはり出色なのは講師の中田先生でした。土曜の実習後は近くのイタリアンレストランで懇親会でしたが、その席では中田先生のクルマ談義炸裂で、翌日曜の実習後の夜になんとあのイタリア製スーパーカー(ウマのマークのクルマですね)が納車されるとの話も飛び出しました...
日曜の実習では車の話など、おくびにも出さず、タイトなスケジュールで講義と実習が進みます。タイトなだけに集中しないと置いて行かれます。
今回はより本物に近い練習のため、通常の模型の他に豚の下あごを使って実習します。
この環境で集中しながら繰り返し練習していると、普段何気なく行っている処置の中で感じるふとした疑問が氷解していくのがわかります。初日の模型の痕跡とを見比べると、ひいき目を抜きにしても、上達が実感できました。面白いもので、こういう実感を伴って身につけた技術や視点は、少々のトラブルや問題でも淡々と行使できるもののようです。まさに「鬼手仏心」。集約した練習は裏切らないのでしょう。
そして、実習を終えてサーティフィケートをいただきました。
帰り支度を整えて、空港へ向かいました。
大阪空港から、満席の飛行機は羽田空港に向かいます。羽田空港に再び降り立ったとき、テレビの画面はすでにオリンピックの閉会式の中継中でした。
先月と今月の都合4日で、とても濃密な時間を過ごすことができましたし、確かな手ごたえともに帰京できたことは何よりの収穫でした。得た技術や手技をすべからく還元できるように努めてまいりたいと思います。