F.R.Pマスクの製作 | 特撮PROP COLLECTION

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特撮ヒーローのマスクや小道具などについて呟いて行きます。


ここ数回、ライダーマスクについて書いているので
今回もライダーマスクネタです。

ちょうど今、造形の師匠からライダーマスクの
製作をお願いされています。
なんでも最近 "仮面ライダー熱" が再燃してきて、
昔のライダーのバリエーションが作りたくなった
らしいです。

いい機会なので、
FRPマスクの作製法について書きたいと思います。
マスク等の場合、バイクのカウルとは積層法が
違うので、これからやってみたいと思う方の参考に
なればと思います。

造形の師匠もFRP初心者の頃があって、造形家の
原口さんや若狭さんなどに、

「樹脂が入りにくい所はどうやってるの?」

と聞いたそうですが、返って来た答えは

「入らないとかじゃなくて、入れるんだよ!!」

という会話にならない会話だったそうです。
まあ、プロ同士なんで教えないんでしょうね、、。

原型に使ったマスクはこちらです。
ウルトラマンVS仮面ライダーに使用されたマスクが
原型になっています。(師匠作)
かなり厚めに積層されています。
ディスブレイ目的だからでしょう。





このオリジナルビデオを作った当時、T映に残っていた
一番古いマスクを改修して使ったそうです。
ちょっともったいない気もしますが、とにかく予算が
無かったからだそうで、、。



本来は型取りから始めるべきなのですが、
型の製作は人それぞれ違うと思うので、
今回はFRP作業に重点を置きました。
あくまで独学で学んで来たやり方なので、
このやり方が正しいと言う物ではありません。



耳の部分をさけて斜めに分割線をとっています。
シリコン型には分割が分かりやすいように着色してあります。
バックアップは石膏です。



一層目に "ゲルポリ" を塗布します。
ポリエステル樹脂にダレ止めとして、
タルクやグラスバブルスなどを混ぜ込んであります。
ゲルポリのレシピは抜く物によって変わるので、
この配合でOKと言う物はありません。
初心者は市販のFRPゲルコートを使うほうが
手っ取り早いかも知れません。
ゲルポリは硬化が遅いので、硬化促進剤(ナフテン酸コバルト)
を少し入れてあげると早く硬化します。
なるべく均等に塗布します。



半硬化の状態になると表面が "つや消し" 状態に
なってきますので、よく揉みほぐしたウールを
張って行きます。
グラスウールは基本的に平面なので、曲線に
なじませるにはよく揉んであげないと気泡の
原因になります。
※ちなみに、グラスウールはそのままの厚さだと積層が厚くなってしまいます。
1枚を2枚か3枚に剥がしてから揉んで積層します。



ひとつ置いて、もうひとつ端が重なるように
繋げていきます。



積層が難しく無い部分は全体を均一に、、。
後頭部の方も一緒に乗せていきます。



ライダーマスクで、一番気泡が入りやすくて
しかも強度の要る部分は、覗き穴の下とクラッシャーです。



チョップドストランドマットは、
ほぐすとこんな感じの繊維のみになります。
これを「こより」にしてしまいます。



そして、気泡の入りそうな隙間に入れてしまいます。



クラッシャー部分も「こより」と、
よくほぐしたウールを併用して張り込みます。



そして、生ポリ(ポリエステル樹脂のみ)で
気泡が入らないように慎重に刷毛で積層します。
まだ一層目なので樹脂の色は薄めです。
後頭部も一層目の積層をしてしまいます。



ここでまず、二層目としてクラッシャー周りに
更にウールを張り込んで積層してしまいます。
クラッシャー周りのみ濃い樹脂の色になっています。
この作業後に、全体にウールを張って二層目の積層を
完了させます。
これでクラッシャー周りは都合三層の積層になります。



後頭部もフチの部分は強度が必要なので厚めに
積層します。



前後の型を合わせると、パーティングラインに
少し隙間が出ますので、ゲルポリで繋ぎます。



ウールを張って積層し、前後を繋ぎます。
大体均等な飴色になっていれば積層は完了です。
ライダーマスクは比較的形が単純なので、2~3時間で
作業が終了します。
その後、型の中で24時間以上置いて硬化させます。

脱型してそのまま表面の硬化が終われば、
マスクの素抜きとして完成です。



バリ取りした成形品がこちらです。
歪みも無く奇麗に抜けています。
パーティングラインと各部の修正ぐらいで
完成品に出来ると思います。
FRP作業をキッチリとやっておくと、
後々の作業の色々な手間を省く事が出来ます。
マスクの重量は450gぐらいです。
フチの部分とクラッシャーに強度を持たせて
あるので、このぐらいの重さになってしまいます。



原型と並べた画像を載せます。

FRP作業は丁寧に行えば誰でもきれいな
造形物を作る事ができます。
ただし、強烈な臭いがしますのでそれなりの
環境が無いと難しいですが、、。


今回はFRPの入門的な話でした、、。