朝霧さんとの出会い。そして別れ、、。 | 特撮PROP COLLECTION

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特撮ヒーローのマスクや小道具などについて呟いて行きます。


今回は少し気の滅入る話なので、
気分が落ち込んでいる方は読まない方が
いいかも知れません。




以前のブログで色んなエピソードを書きました。
人に騙された話や裏切られた話、、、。
未だに解決していない話等々。
まあ、そういったゴタゴタに巻き込まれない為に、
コレクター間の付き合いは
なるべく "ドライ" に距離を置いて付き合っていました。
コレクターとは「友人付き合い」はしないように
していたのです。

AK元さん達はとかはかなり特殊な例です。
こういう腹を割って何でも話せる相手はそう何人も
居る訳では無いですから、、。


今から8年前の或る時、
(当時、ライダーマフラーなんかを出品していました。)
オークションの質問欄から連絡を取って来た人がいました。
朝霧さんと言う方で、どうしてもサンプル用に作った旧1号の
マスクが欲しいという事でした。
オークションのサンプル画像が、理想の旧1号像だと言うのです。
自分用に作っておいた物ですが、
また作れるのでお譲りする事にしました。



直接手渡しを希望されたので、近くのファミレスにて受け渡しです。
この頃自分は大泉学園に住んでいましたから、家の側と言う事は
すなわちT映の側という事になります。
ドキドキものですね、、。
そして取りに来た朝霧氏はダンディーで長身。
ライダーなんかに全く興味の無さそうな風貌でした。

暫くマスクを眺めてから、「うん、これです!! この顔です!!」
と言ってうれしそうに微笑みました。
何か旧友に出会えたような、人なつこそうな笑顔でした。
今までオークションで買ったマスクとの相違点や、
数々の資料を見せて貰い彼が旧1号に心酔しているのが
良くわかりました。
あっという間に何時間か話し込んでいました。

この事が縁で、全身スーツを彼の為に作る事になります。
前から気になっていた「ちゅ~ねんライダー倶楽部」
(現在、HPは閉じてしまっています)の
メンバーに一緒になろうと彼を誘って、
オフ会にも参加するようになりました。



こうして彼とはあっさり友人付き合いになり、
たまに会ってはライダー談義をして盛り上がったり、
旧1号に関して考察を深めて行きました。
彼の観察眼は鋭く、毎度毎度驚かされました。
西村佑次氏に直接連絡を取ったりと、行動力もありました。
(この時の会話はかなり興味深いので、後々書かせてもらう
つもりです。)



こちらは本編からのキャプチャー画像。
当時、朝霧さんから送られて来たものです。



そうして何年か経った時、朝霧さんから電話がありました。
車を買い替えたいので、以前話していたAK元さんを
紹介してくれないかと言うのです。
彼は良い車屋さんですから、朝霧さんにピッタリの車を
安く提供してくれるという確信がありました。



そうしてAK元さんを紹介してから、しばらく経った或る日、、。
唐突にAK元さんから電話がありました。




「昨日、朝霧さんが亡くなったよ、、、。」




一瞬、言葉を失いました。つい最近会って話をしたばかりです。
絶句して、ただただ話を聞くしかありませんでした。
おとといの夜、会社帰りの電車の中で倒れ、
そのまま意識が戻らず亡くなられた事。
乗り手の無くなった新車の処分をしてほしいと、
奥さんから電話があった事。


AK元さんに車をお願いしていなければ、
自分はかなり遅れてこの事実を知った事でしょう。



朝霧さんはペースメーカーを入れていて、
一級の障害者手帳を持っていました。
亡くなる何ヶ月か前にバッテリーの交換手術をしたと、
普段と変わらない様子で、にこやかに話していました。

にわかには信じられませんでしたが、
ご自宅へお邪魔して彼の残した "遺品" を引き取りに行き、
御霊前に線香を上げた時、現実と認識せざるを得ませんでした。
AK元さんが、
「彼が好きだった物を一つぐらいは残しておきませんか?」と
奥さんに進言しましたが、
"今はそれを見ているだけでつらい" という事で
全て引き取りました。

暫くは立ち直れず、かなり落ち込みました。
彼に何か出来る事は無かったのかと言う、
自責の念ばかり押し寄せて来るのです。
朝霧さんはちょうど自分の兄と同い年でした。
兄も特撮好きですが、その手の話はほとんどした事がありません。
今考えると、彼の事を兄のように慕っていたのかも知れません。

当時、AK元さんに電話をしていろいろ話を聞いて貰いました。
その時言ったAK元さんの
「絶対に死なないで下さいね!! 嫌ですよ身内が死ぬのは!!」
という言葉が心に沁みます、、、。
AK元さんは、
自分やN君など仲のいい仲間を "身内" と言ってくれます。
「オレの身内に何かしたら、
     自分がどうなろうが そいつを叩きのめす!!」
たまに彼が言う言葉ですが、
表現としてはヤクザかヤンキー発言に聞こえます。
しかし自分にとっては、
とても暖かく心地よい言葉に聞こえるのです。


「ちゅ~ねんライダー倶楽部」のメンバーには暫くこの事実は
伏せておきました。
確かにメンバーも平均年齢はそこそこですから、
周りで亡くなった同年代の話も聞こえてくる年です。
しかし、
趣味の仲間で亡くなった方というのは初めてだったでしょう。
mixiでも彼のトップページをいまだに見る事が出来ます。
本人が亡くなっても、トップ画像はほほえみを絶やさずにいます。
あれから数年経って、自分は朝霧さんの年齢を越えてしまいました。
"いい人程早く亡くなってしまう" というパターンを
もう何度も経験して来ました。

この頃から色々 "コレクションの行き先" に関して
考えるようになりました。





或る程度シェィプアップして、
必要な物だけ残して行くようにしないと、、。
これだけの物量のコレクションは、
「墓」までは持って行けないのです。
残された者にとっては、悲しい思い出にしかならないのです。
まだまだ先の事と思ってはいますが、 こればかりは分かりません。
不測の事態だってある訳ですから、、、。

現在そんな思いから、少しずつコレクションを処分しています。
皆に薦める訳ではありません。一個人の感傷的な考えです。
ただ、人間の死亡率は100%!! 死なない人なんて居ないのです。
この機会に自分のコレクションと向き合ってみるのも
良いかも知れません、、。




自分はコレクターとしてはかなりラッキーな道を歩んだと
思っています。
現在良い仲間に囲まれて、あまり嫌な思いをすることなく
コレクターライフを楽しんで来ました。
孤独にコレクションを続けるのも悪くはないですが、
仲間が居た方が何倍も楽しいと思っています。
仲間は一朝一夕にできる物ではないので、或る程度努力は
必要でしょう。
みなさんにもそんな楽しい仲間の居るコレクションライフを是非
体感して貰えたらと思います。