コレクターを騙す人達 <前編> | 特撮PROP COLLECTION

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特撮ヒーローのマスクや小道具などについて呟いて行きます。


2008年9月25日 中日新聞夕刊より抜粋。

戦隊ヒーロー衣装を無許可販売 愛知県警が小児科医逮捕へ

テレビ番組で人気の戦隊ヒーローの衣装を無許可で作り
販売したとして、愛知県警生活経済課と一宮署は25日、
著作権法違反の疑いで、茨城県つくば市、サーフショップ経営
卯○木容疑者(41)を逮捕した。
共犯の愛知県一宮市の小児科医の男(47)も逮捕状を取り、
午後、逮捕する。



この事件、みなさんご存知でしょうか?
去年、「 Yahoo Auction での怖い話 」での N田氏の
仲間の1人がこの卯○木氏だったと書きました。
人づてに聞いたのですが、恐らく間違い無いだろうと
言う事でした。
この事件を機に一時期オークションでマスク系の出品が
殆ど無くなりました。

この事件、表面上はこの2人の逮捕で幕を閉じていますが、
実際は複数の人間が絡み合った複雑な事件だったのです。

逮捕されてはいませんが、この卯○木氏の共犯とも言うべき
E田という男がカゲで暗躍していました。
E田がオークションを介して知り合ったマニアからアトラクブツを
言葉巧みに取り上げて卯○木氏に渡し、
彼がそれを複製して販売すると言う共存関係にあったようです。
E田も詐欺の疑いで起訴されそうになったと聞いています。
と言うのも、借りたブツを本人に返さずに転売していたからです。
結果的に被害者は泣き寝入り状態になっているようです。
お金を返す能力が無いという事で、未だに返金されていないと
思います。

自分も長くコレクターをやっていますが、こんな風にマニアを騙して
ブツを巻き上げ、複製し、更にオリジナルのブツまで転売してしまう
という余りにも想定外の事件が起こるとは夢にも思いませんでした。
マニアの物欲を逆手に取った事件ではありますが、
当然マニアの方にも責任があります。
"うまい話" はそんなに有る筈は無いですからね、、、。

しかし、その "E田" はあくまでパイプ役だったようです。
ここからが重要なのですが、

"更にそのE田の裏にブツの調達係の女性の存在が有った事 "
です。


まずその話をする前に、自分の後輩にあたるコレクター
「 N君 」の事を話しておかなくてはなりません。

このN君は元々、マスクやプロップのコレクターでは
ありませんでした。
バンドをやったり、スノーボードなんかを趣味にしている
普通の若者でした。
元々はAK元さんの会社時代の後輩で、一時期AK元さん主催の
ヒーローショーを手伝ってくれていました。
このショーはゲリラ的に幼稚園などで不定期にやっていたもので、
完全なボランティアです。





勿論、アトラクションをやっている方に教えてもらいつつ、
現役のスーツアクターさんと組んでやっていました。
アクターさんもこちらが代金を支払って客演と言う形です。
自分はショー自体にはあまり参加しませんでしたが、
ショーテープを作るのが自分の担当でした。
(仕事柄、出来る環境にありましたので、、。)

そんな事が縁で、AK元さん共々N君とも長い付き合いになります。
自分とAK元さんのコレクション人生に感化されて、
彼もコレクターになってしまったんです、、、。N君、ゴメン

当時はさんざん

「イバラの道だから、絶対止めておけ!!」
「こんな趣味をやってる奴なんてロクな奴じゃないからね!!」
「N君は純粋だから、きっと変なマニアに騙されるよ!!」
「人間不信になっても知らないよ!!」

こんなような事を言っていたのですが、
その心配が的中してしまうのです、、。

この話をN君から打ち明けられたのは、2006年の事です。
彼の自己判断で動いた事なので、自分やAK元さんには
なかなか言いづらかったんでしょう。
ですから事の発端は2004年ぐらいになると思います、、、。

その頃、N君も着々とコレクションを増やして、
堂々と "コレクター" を名乗っても可笑しく無いぐらいに
なっていました。
たまたまコレクション整理でオークションにアトラクブツを
出していたときの事、、。
質問欄から「 H田 」と名乗る女性から連絡がありました。
「自分も何点かアトラクブツを所有しているので、
  トレードなど可能か? 」 との内容でした。
出来れば直接電話で話したいとの事が書いてあったとそうです。
相手が何を持っているか気になったN君は電話をしてみると、
確かに女性が電話口に出ました、、、。

「どうも初めまして、H田と言います。女です。」



まあ、声を聞けば女と分かるのですが、、。
こんな不思議な台詞が始まりでした。
明らかに詐欺師が「自分は怪しく無いですよ!!」という
アピールに聞こえます。

話を聞いてみると、仮面ライダーナイトのアトラクブツを
所有しているらしい。
ただ、今は人に貸してしまっているので手元に無い、、。
それと何か戦隊物のスーツをトレード、若しくは貸して
くれないかとのこと。

実は、ボランティアでヒーローのコスチュームで病院の
慰問に訪れては、子供達と握手や写真撮影をしていると
いうのです。
自分も障害を持っていて、
入院していた時同じようにヒーローが握手に来てくれた。
その手のぬくもりが今も忘れられないので、
人に頼んでヒーローの中に入ってもらって握手会をしている。
出来れば、N君もそれに協力して貰えないかと言うのです、、。

"ボランティア"と言う言葉と、握手会での子供のキラキラとした
表情を身をもって体験しているN君は喜んで協力を約束しました。
着ぐるみを貸してくれたお礼に仮面ライダーナイトのブツを
貰えると言う好条件です。
傍から聞いていると胡散臭い話なのですが、
当事者は分からなかったと思います。

さらに、
彼女が東京に来る用事が有るので会いましょうと言って来ました。
N君も当然「一体、どんな人だろう、、、??」と興味があったので
会いにいったようです。
後日その彼女の写メを見せて貰った事がありますが、
見た目はオタクっぽい感じで良くコミケとかにいるタイプでした。



大木凡人に良く似ていました。
この写真、特に似ています(笑)
片足をすこし引きづっていて、
少し障害がある感じだったみたいです。
障害者手帳を持っていて、
わざわざ見せてくれたらしいですけど、、、。

(この行動も怪しいんですよね。
「女性で障害者で決してあなたを騙しません。信用して下さい。」
 と言ってるようにしか思えないんですよ。)

会って話すと、更に色々と話が出たらしいです。
撮影用の "王蛇" があるとか、"タイムファイヤー" があるとか。
画像も携帯で見せて貰ったみたいです。
自分も見せて貰いましたが、携帯の画像なので本物かどうかの
判断はつきませんでした、、。
しかし、これでN君は彼女を信用してしまったのです。
良いラインが出来たと、、、。
ただ彼の場合、自分の為と言うより人のため
(例えば自分とかAK元さんとかのため)に
このラインを大事にしようと思ってくれたようです。


そんな流れで、彼はアトラクスーツを
送ってしまったのです、、、。

当時N君が相手に送ってしまったブツは、



ギンガグリーン、



レッドレーサー、



ウルトラマンA、

他には、
ダイナブルー、ブルー・ビート(撮影仕様の作り起こし)等々、、、。

当時でも大変な金額を支払ってN君はこれらのコレクションを
入手していた筈です、、。

そのブツたちの行方は、、、???
次回、完結予定。